3-1 有価証券と仕訳(取得、売却、利息、配当金)
有価証券とは
有価証券とは、簡単に言えば、株式・国債・地方債・社債を総称した呼び名です。
会社は、現金や預金といった資金に余裕がある場合に、資金運用などの目的で有価証券を購入することがあります。
例えば、株式を購入して保有すれば配当金を受け取れます。また、国債・地方債・社債を購入して保有すれば、利息をもらえるというメリットがあります。
このように、有価証券を保有して利息や配当金を得ることによる収益(利益)を「インカムゲイン」といいます。
さらに、上場企業の株式や国債のように市場で流通している有価証券を購入し、価格が購入価格より上がった時に売却することで売買益を得ることができます。このような利益を「キャピタルゲイン」といいます。
このように、有価証券は資金運用を目的として購入することがありますが、その他の目的として、例えば、ある会社を子会社にするためや、事業提携といった目的で株式を購入することがあります。
さらに、国債や社債といった債券は、満期まで保有して利息を受け取ることを目的として購入することがあります。
基本取引と仕訳
有価証券の基本的な取引と仕訳を解説します。
※「有価証券を表す勘定科目」は5種類存在します。この点、後に解説します。
ここでは有価証券を表す仮の勘定科目を「有価証券(仮)」として仕訳解説していきます。正式な勘定科目も解説するため混乱するかもしれませんが、後の解説で種類別に仕訳をまとめます。
有価証券の取得(購入)
取得に要した支出(取得原価といいます)は、有価証券という資産の増加に該当するため、「有価証券(仮)」を借方に記入して仕訳します。
取得原価には有価証券自体の価額のみでなく、購入する際に証券会社などに支払う手数料なども含めます(購入の際に付随してかかった費用ということで「付随費用(ふずいひよう)」といいます)。
| 取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 取得(購入) | 有価証券(仮) | ××× | 現金・預金など | ××× |
<例題>
- 株式を100で購入し手数料5とともに来月支払う。
- (仕訳)
- 有価証券(仮) 105 / 未払金 105
有価証券の売却
有価証券の減少(資産の減少)であるため、貸方に「有価証券(仮)」を記入します。
有価証券の取得原価よりも高く売却できた場合には、売買差益が発生するため、差益は「有価証券売却益(収益に属する勘定科目)」で仕訳します(収益の発生のため、貸方に記入)。
逆に低く売却した場合には、売買差損が発生するため、差損は「有価証券売却損(費用に属する勘定科目)」で仕訳します(費用の発生のため、借方に記入)。
| 取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 売却(益) | 現金・預金など | ××× | 有価証券(仮) | ××× |
| 有価証券売却益 | ××× | |||
| 売却(損) | 現金・預金など | ××× | 有価証券(仮) | ××× |
| 有価証券売却損 | ××× |
<例題>
- 取得原価20の株式を25で売却し普通預金に代金が振り込まれた。
- (仕訳)
- 普通預金 25 / 有価証券(仮) 20
- / 有価証券売却益 5
利息・配当金の受け取り
国債・地方債・社債について利息を受け取った場合には、「有価証券利息(収益に属する勘定科目)」を貸方に記入します。
株式について配当金を受け取った場合には、「受取配当金(収益に属する勘定科目)」を使用します。同様に収益の発生であるため、貸方に記入します。
※「2-1 現金」で解説した通り、公社債クーポンの期限が到来した場合や、配当金領収証を受け取った場合には、「現金」で仕訳します。
| 取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 債券利息 | 現金など | ××× | 有価証券利息 | ××× |
| 株式配当 | 現金など | ××× | 受取配当金 | ××× |
<例題>
- 株主であるA社より配当金領収証10が郵送されてきた。
- (仕訳)
- 現金 10 / 受取配当金 10
簿記2級の勘定科目
次回以降で解説する通り、簿記2級では、「売買目的有価証券」「満期保有目的債券」「子会社株式」「関連会社株式」「その他有価証券」といったように保有目的に応じた勘定科目を使用して仕訳します。
仕訳問題
以下の取引を仕訳しなさい。有価証券は「有価証券(仮)」を使用すること。
- 1.A社はB社の株式を1株当たり¥25,000で100株購入した。購入に際して発生した買取手数料¥50,000も含めて小切手を振り出して支払った。
- 2.A社はC社の社債(額面価額¥1,000,000)を¥960,000で購入した。買取手数料¥20,000とともに代金は翌月末に支払うことにした。
- 3.B社より¥20,000の配当金領収証が届いた。
- 4.C社の社債について利札1枚(¥30,000)の期限が到来した。
- 5. 1で購入したB社株式を¥3,000,000で売却した。売却代金は当座預金に振り込まれた。
- 6. 2で購入したC社の社債を¥900,000で売却した。売却代金は当月末に振り込まれる。
| No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 有価証券(仮) | 2,550,000 | 当座預金 | 2,550,000 |
| 2 | 有価証券(仮) | 980,000 | 未払金 | 980,000 |
| 3 | 現金 | 20,000 | 受取配当金 | 20,000 |
| 4 | 現金 | 30,000 | 有価証券利息 | 30,000 |
| 5 | 当座預金 | 3,000,000 | 有価証券(仮) | 2,550,000 |
| 有価証券売却益 | 450,000 | |||
| 6 | 未収入金 | 900,000 | 有価証券(仮) | 980,000 |
| 有価証券売却損 | 80,000 |
