3-6 その他有価証券

その他有価証券

その他有価証券とは、売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社株式および関連会社株式のいずれにも分類されない有価証券(株式と債券)をいいます。

例えば、事業提携のために取得する場合や、配当金によるインカムゲインを得ることを目的として株式を長期的に保有する場合などが該当します。

その他有価証券の取引

その他有価証券に関する取引は、取得と利息、売却、配当金の受け取り、および決算日の評価手続です。

次の通り。

勘定科目

その他有価証券の取得は、「その他有価証券(資産に属する勘定科目)」で仕訳します。

※有価証券共通の仕訳処理については、「3-1 有価証券と仕訳(取得、売却、利息、配当金)」を参照。

取得と仕訳

売買目的有価証券と同様に、仕訳します。

取引ケース借方科目借方金額貸方科目貸方金額
取得株式その他有価証券×××現金預金など×××
債券その他有価証券×××現金預金など×××
有価証券利息×××

売却と仕訳

その他有価証券の売却損益は、「投資有価証券売却益(収益に属する勘定科目)」「投資有価証券売却損(費用に属する勘定科目)」で仕訳します。

売買目的有価証券の場合と勘定科目が異なるのは、売買目的有価証券の保有期間は一年未満であるのに対して、その他有価証券は一年超を想定しているからです。

取引ケース借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売却現金預金など×××その他有価証券×××
投資有価証券売却益×××
有価証券利息×××
現金預金など×××その他有価証券×××
投資有価証券売却損×××有価証券利息×××

利息、配当の受け取りと仕訳

他の有価証券と同様に、仕訳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
配当金現金×××受取配当金×××
利息現金×××有価証券利息×××

決算評価と翌期首の仕訳

その他有価証券は、「決算日の時価で評価」します。

すなわち、取得原価よりも時価が高い場合には、「その他有価証券」は増加し、取得原価よりも時価が低い場合には、「その他有価証券」は減少します。

相手勘定には「その他有価証券評価差額金(純資産に属する勘定科目)」で仕訳します。

この勘定科目は純資産の科目です。売買目的有価証券で使用した「有価証券評価益」や「有価証券評価損」のような収益や費用の科目ではなく、全ての金額を純資産として計上します。

これを、「全部純資産直入法(ぜんぶじゅんしさんちょくにゅうほう)」といいます。

決算日の仕訳処理は、翌期首に貸借反対の仕訳を行い、決算日の仕訳の影響をないものとします。このような処理を「洗替法(あらいがえほう)」といいます。

ケース取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
時価 > 取得原価決算日の評価その他有価証券×××その他有価証券評価差額金×××
翌期首その他有価証券評価差額金×××その他有価証券×××
時価 < 取得原価決算日の評価その他有価証券評価差額金×××その他有価証券×××
翌期首その他有価証券×××その他有価証券評価差額金×××

※税効果会計を適用した場合には、次の通り(「第16章 税効果会計」で解説)。

ケース取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
時価 > 取得原価決算日の評価その他有価証券×××その他有価証券評価差額金×××
繰延税金負債×××
翌期首その他有価証券評価差額金×××その他有価証券×××
繰延税金負債×××
時価 < 取得原価決算日の評価その他有価証券評価差額金×××その他有価証券×××
繰延税金資産×××
翌期首その他有価証券×××その他有価証券評価差額金×××
繰延税金資産×××

仕訳(まとめ)

まとめると次の通り。

取引ケース借方科目借方金額貸方科目貸方金額
取得株式その他有価証券×××現金預金など×××
債券その他有価証券×××現金預金など×××
有価証券利息×××
売却 ※1現金預金など×××その他有価証券×××
有価証券利息×××
投資有価証券売却益×××
現金預金など×××その他有価証券×××
投資有価証券売却損×××有価証券利息×××
配当金現金×××受取配当金×××
利息現金×××有価証券利息×××
決算日の評価時価 > 取得原価その他有価証券×××その他有価証券評価差額金×××
繰延税金負債 ×××
時価 < 取得原価その他有価証券評価差額金×××その他有価証券×××
繰延税金資産 ×××

※1:端数利息が発生した場合の仕訳

仕訳問題

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1その他有価証券2,150,000現金2,150,000
2現金50,000受取配当金50,000
3その他有価証券100,000その他有価証券評価差額金70,000
繰延税金負債30,000

解説

問題1.
1 .D社株式の保有割合 = 500株 ÷ 5,000株 = 10%
→子会社株式にも関連会社株式にも該当しない。

長期的に保有する意図を持って購入
→短期的な時価の変動による利益を得る目的である売買目的有価証券にも該当しない。

債券ではなく、株式→満期保有目的債券にも該当しない。

以上から、D社株式は売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社株式および関連会社株式のいずれにも該当しないので、その他有価証券になります。

問題2.
・時価評価額 = 1株当たり時価@¥4,500 × 500株 = ¥2,250,000
・取得原価との差額 = 時価評価額¥2,250,000 - 取得原価¥2,150,000 = ¥100,000(時価 > 取得原価)
・繰延税金負債¥100,000 × 実効税率30% = ¥30,000
・その他有価証券評価差額金:貸借差額で計算。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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著者プロフィール