13-3 設立と仕訳
株式会社の設立時の取引
設立時の取引としては、「株式の発行」と「設立のために要する費用の発生」があります。
株式発行の仕訳
設立時の株式発行に関する取引は、「資本金(純資産に属する勘定科目)」と当座預金だけでなく、 「資本準備金(純資産に属する勘定科目)」も使用して仕訳します。
最初に、株式の払い込み金額を、発行株式数と発行価額から計算します。
次に、問題の指示に従って、払込金額のうち資本金と資本準備金に組み入れる金額を計算し、貸方に「資本金」と「資本準備金」を記入します。
<会社法上の手続き>
| 項目 | 手続き |
|---|---|
| 設立時に発行する株式数 | 発行可能株式総数の4分の1以上の株式を発行しなければならない。 |
| 資本準備金に組み入れ可能な金額 | 株式発行の払込金額の2分の1までを、資本金とはせずに資本準備金とすることができる。 |
<仕訳>
| 取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 設立時の株式発行 | 当座預金 | ××× | 資本金 | ××× |
| 資本準備金 | ××× |
創立費の仕訳
設立のために要する支出には、例えば、「定款の作成費用や株式発行費用」や「登記のための費用」などがあります。
これらの取引で発生した費用は、「創立費(費用に属する勘定科目)」で仕訳します。
借方に「創立費」を記入し、貸方に現金預金などの勘定科目を記入して仕訳します。
| 取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 設立に要する費用の発生 | 創立費 | ××× | 現金預金など | ××× |
株式会社の開業時の取引
開業とは、簡単にいえば、事業を始めることをいいます。
定款の作成や登記手続きを行い、また、株式発行も行って、株式会社を設立できました。
しかし、この段階では、実際の事業を始めるには、準備が不足しています。
不足している準備としては、例えば、仕事場所であるオフィスの準備や名刺、ハンコの作成、広告宣伝の準備などが挙げられます。
開業費の仕訳
このような、営業を開始するまでに要した支出に関する取引は、「開業費(費用に属する勘定科目)」で仕訳します。
借方に「開業費」を記入し、貸方に現金預金などの勘定科目を記入して仕訳します。
| 取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 開業に要する費用の発生 | 開業費 | ××× | 現金預金など | ××× |
仕訳問題
- 1.A社は株式会社の設立に際して、発行可能株式総数1万株に対して3,000株を発行価額2,000円で発行し、全額申込があり、払込金は当座預金に預け入れた。なお、株式発行の際に株券印刷代金10万円は現金で支払った。
- 2.B社は株式会社の設立に際して、発行価額1,000円で株式発行を行い、全額の払い込みを受けて当座預金に預け入れた。株式発行に関するその他の情報は次の通り。
- (1)設立時に作成された定款には、発行可能株式総数は2万株と記載されており、会社法に定められる最低限の株式数を発行した。
- (2)払込金のうち、会社法に定められた最低額を資本金に組み入れる。
- 3.C社は設立したばかりの会社である。事業を開始する前の支出として、名刺やハンコの作成代金や広告宣伝費に合計20万円かかり、C社を振出人とする小切手を振り出して支払った。
| No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 当座預金 | 6,000,000 | 資本金 | 6,000,000 |
| 創業費 | 100,000 | 現金 | 100,000 | |
| 2 | 当座預金 | 5,000,000 | 資本金 | 2,500,000 |
| 資本準備金 | 2,500,000 | |||
| 3 | 開業費 | 200,000 | 当座預金 | 200,000 |
解説
問題1.
資本金への組み入れ額について指定はないため、原則の「全額を資本金に組み入れる」と推測して仕訳します。
問題2.
設立時には、発行可能株式総数の4分の1以上を発行しなければなりません。2万株の4分の1である5千株が、発行株式数になります。
「払込金のうち、会社法に定められた最低額を資本金に組み入れる」という問題文の記載から、払込金のうち、2分の1を資本準備金として計上します。
