13-4 新株発行と仕訳
新株発行(増資)の手続き
設立時ではなく、会社を設立した後に株式を発行する場合には、必要な事項を定めて、株主総会または取締役会の決議を得る必要があります(決議機関が株主総会なのか取締役会なのかは、ケースによって異なります)。
その後、株主を募集し、株主になりたい者よりお金の払い込みを受けます。この時に、一時的な払い込み用の口座として、「別段預金」を設ける場合があります。
この段階で払い込まれた資金を「(新)株式申込証拠金」といいます。
払込期間が経過し払込期日になると、払い込みをした者は株主になります。別段預金を使用していた場合には、別段預金から当座預金へ資金が移動し、資本金と資本準備金に資金を組み入れます。
| 項目 | 手続き |
|---|---|
| 新株発行の決議 | 新株発行については株主総会または取締役会で決議する。 |
| 株主となる日 | お金の払込期日に株主になる。 |
| 資本準備金に組み入れ可能な金額 | 株式発行の払込金額の2分の1までを、資本金とはせずに資本準備金とすることができる。 |
新株発行(増資)の仕訳
新株発行に関する取引については、「資本金(純資産に属する勘定科目)」「資本準備金(純資産に属する勘定科目)」「(新)株式申込証拠金(純資産に属する勘定科目)」「別段預金(資産に属する勘定科目)」および当座預金などで仕訳します。
資金の払い込みがあった場合には、借方に「当座預金」など預金勘定を記入し、貸方に「(新)株式申込証拠金」を記入します。別段預金を使用する場合には、「当座預金」などではなく、「別段預金」を使用します。
払込期間が経過して払込期日になった場合には、指示に従って、資本金と資本準備金を計算し、借方に「(新)株式申込証拠金」を記入し、貸方に「資本金」「資本準備金」を記入します。
別段預金を使用している場合には、同時に「当座預金」などへの資金移動があるため、借方に「当座預金」などの預金勘定を記入し、貸方に「別段預金」を記入します。
| 取引 | 別段預金 の使用 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 新株発行時の払い込み | 〇 | 別段預金 | ××× | (新)株式申込証拠金 | |
| × | 当座預金など | ××× | (新)株式申込証拠金 | ××× | |
| 払込期日の到来 | 〇 | (新)株式申込証拠金 | ××× | 資本金 | ××× |
| 資本準備金 | ××× | ||||
| 当座預金など | ××× | 別段預金 | ××× | ||
| × | (新)株式申込証拠金 | ××× | 資本金 | ××× | |
| 資本準備金 | ××× |
※(新)株式申込証拠金とは、株式申込証拠金でも新株式申込証拠金でも可という意味
株式交付費とは
株式交付費とは、新株発行の際に要した諸取引によって、発生した支出をいいます。
例えば、株券の印刷代金や株式募集や公告のための費用、証券会社への手数料などが、株式交付費に該当します。
株式交付費の仕訳
株式交付費が発生するような取引については、「株式交付費(費用に属する勘定科目)」で仕訳します。
借方に「株式交付費」を記入し、貸方に現金預金などの勘定科目を記入します。
| 取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 株式交付費の発生 | 株式交付費 | ××× | 現金預金など | ××× |
仕訳問題
- 1.公開会社であるA社は、取締役会の決議を経て新株を発行することになった。条件は次の通りである。
- (1)発行株式数5,000株 発行価額8,000円
- (2)払い込まれた金額のうち、会社法に定められる最低限度額を資本金に組み入れる。
- 募集株式のうち、全額の払い込みがあり、別段預金に預け入れた。
- 2.上記1.の払込期日となったため、別段預金を当座預金に資金移動した。
- 3.上記1.の新株発行に際し、株券印刷代金10万円、証券会社への支払手数料100万円を普通預金より支払った。
| No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 別段預金 | 40,000,000 | (新)株式申込証拠金 | 40,000,000 |
| 2 | (新)株式申込証拠金 | 40,000,000 | 資本金 | 20,000,000 |
| 資本準備金 | 20,000,000 | |||
| 当座預金 | 40,000,000 | 別段預金 | 40,000,000 | |
| 3 | 株式交付費 | 1,100,000 | 普通預金 | 1,100,000 |
解説
問題2.
払込期日には、(新)株式申込証拠金勘定から資本金勘定、資本準備金勘定への振り替えを行います。
