13-5 剰余金の配当と処分

剰余金の配当

配当とは、株式会社の純資産の部で計算された剰余金から、株主に対して主に金銭による支払いを行うことをいいます。

例えば、3月決算の上場企業の株式を購入した結果、その会社の業績が好調のため、6月の定時株主総会で配当が決議され、1株当たり〇〇円といったお金が株主に支払われる、ということが配当になります。配当金ともいいます。

その他、その他資本剰余金から配当を行う場合や、取締役会の決議のみで行われる配当(中間配当といいます)も、一般的ではありませんが、実務で行われる取引です。

配当の制限

配当は、会社が稼いだこれまでの利益の累計(繰越利益剰余金)など、株主資本が会社の外に流出( = 社外流出)することから、あまりにも多額の配当が行われると倒産の危険性が高まり、その結果、金融機関など会社の債権者がお金を回収できない危険性も高まります。

そこで、債権者を保護するために制定された会社法によって、配当できる範囲や計算方法を、ルール化しています。

この配当できる範囲が、剰余金です。

剰余金とは

剰余金とは、「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」のことをいいます。

他の用語と併せて説明します。

資本剰余金、資本準備金、その他資本剰余金とは

資本剰余金とは、財務諸表上の純資産に関する表示区分の一つであり、資本金以外の、株主からの出資に関する取引を取り扱います。「資本準備金」と「その他資本剰余金」から構成されます。

資本準備金とは、資本金の次に厳格な手続きが求められる科目をいい、株式発行による払い込み金のうち、資本金に組み入れなかった金額が含まれます。

その他資本剰余金から配当を行う都度、会社法で定められた一定の金額まで、資本準備金に一定額を積み立てることが求められます。

その他資本剰余金とは、株主の出資に関する取引のうち、資本準備金以外の取引で使用されます。例えば、合併差益などが含まれます。

利益剰余金、利益準備金、その他利益剰余金とは

利益剰余金とは、財務諸表上の純資産に関する表示区分の一つであり、会社のビジネス活動の結果、得られた利益に関する取引を取り扱います。「利益準備金」と「その他利益剰余金」から構成されます。

利益準備金とは、会社債権者を保護するために、その他利益剰余金から配当を行う度に都度、会社法で定められた一定の金額まで、一定額を積み立てるために設定された科目をいいます。

その他利益剰余金とは、会社のビジネス活動の結果、得られた利益(または損失)の累積を取り扱う科目であり、利益準備金以外のものをいいます。株主総会の決議などで積み立てる「各種の積立金」と、それ以外の利益(または損失)の累積である「繰越利益剰余金」から構成されます。

以上の用語のうち、「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」を「剰余金」といい、配当の対象になります。

配当の手続き

剰余金である「その他資本剰余金」や「その他利益剰余金」から配当する場合には、その都度、それぞれ資本準備金または利益準備金に、債権者を保護するために、会社法で定められたルールで計算された金額を積み立てます。

具体的な会社法上の手続きは次の通りです。

項目手続き
積立額の計算共通資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1になるまで積み立てる。
その他資本剰余金の配当配当する金額の10分の1を資本準備金に積み立てる。
その他利益剰余金の配当配当する金額の10分の1を利益準備金に積み立てる。

※この3つのポイントは、簿記2級の仕訳を解く際の計算で使用するので、覚えましょう(仕訳問題を解いて覚える)。

剰余金の処分

剰余金の処分とは、「その他利益剰余金(繰越利益剰余金)」や「その他資本剰余金」を、上述の配当金の支払いや、資本準備金・利益準備金への積立、およびその他の積立金科目へ振り替えることをいいます。

具体的な会社法上の手続きは、次の通りです。

項目手続き
剰余金の処分ケースに応じて株主総会または取締役会で決議する。

※その他資本剰余金を、処分の対象にする場合もあります。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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