13-6 剰余金の配当、処分と仕訳

剰余金の配当、処分の取引

剰余金の配当や、処分に関する取引の一般的な取引として、定時株主総会に行われる配当や処分(任意積立金への積み立てなど)があります。

剰余金の配当、処分の決議(報告)

定時株主総会では財務諸表(決算書)の承認(または報告)と同時に、承認された決算書に記載された繰越利益剰余金のうち、株主の配当金について決議します。

利益準備金の積み立てと効果

決議されれば、配当金が株主に支払われますが、同時に、会社法のルールに基づいて計算した金額を、「利益準備金」として積み立てておく(「繰越利益剰余金」から「利益準備金」に振り替える)という手続きがあります。

この利益準備金の積立には、「過度な社外流出を抑止する」という効果があります。

配当の源泉である「繰越利益剰余金」から「利益準備金」へ振り替えるので、その分、配当可能な金額を減少させることができ、社外流出を防げる、ということです。

仕訳(簿記3級)

簿記3級で学習した仕訳は、次の通り。

取引配当、処分
の源泉
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
剰余金の配当と処分繰越利益剰余金繰越利益剰余金×××未払配当金×××
利益準備金×××

繰越利益剰余金を配当の源泉として、配当します。

仕訳(簿記2級)

剰余金の配当や処分に関する取引については、「繰越利益剰余金(純資産に属する勘定科目)」「未払配当金(負債に属する勘定科目)」「利益準備金(純資産に属する勘定科目)」「〇〇積立金(純資産に属する勘定科目)」「その他資本剰余金(純資産に属する勘定科目)」「資本準備金(純資産に属する勘定科目)」で仕訳します。

(1)源泉の決定と仕訳

配当や処分の源泉となる科目を選択します。定時株主総会で、剰余金のうち「繰越利益剰余金」から処分(配当含む)する、という最も一般的な取引であれば、「繰越利益剰余金」が源泉となります。

この場合には、源泉となる剰余金を取り崩す(純資産の減少)ため、借方に「繰越利益剰余金」を記入します。

これに対して、「その他資本剰余金」を源泉として、処分する場合もあります。この場合には、借方に「その他資本剰余金」を記入します。

(2)配当と仕訳

次に貸方ですが、配当であれば、「未払配当金」を配当額で記入します。

同時に、会社法のルールに基づいて計算した金額で、準備金を記入します。勘定科目は源泉によって異なります。「繰越利益剰余金」であれば「利益準備金」を記入し、「その他資本剰余金」であれば「資本準備金」を記入します。

(3)積み立てと仕訳

積立金への積み立てであれば、「別途積立金」「修繕積立金」などの「〇〇積立金」を記入します。

剰余金の配当や処分の仕訳(まとめ)

※マル暗記は厳禁。問題を解いて覚えましょう。覚えてない場合は、このページで確認。

<会社法上の手続き>

項目手続き
積立額の計算共通資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1になるまで積み立てる。
その他資本剰余金からの配当配当する金額の10分の1を資本準備金に積み立てる。
その他利益剰余金からの配当配当する金額の10分の1を利益準備金に積み立てる。
項目手続き
繰越利益剰余金(またはその他資本剰余金)の処分の決議ケースに応じて株主総会または取締役会で決議する。

<仕訳>

取引配当、処分
の源泉
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
配当と処分繰越利益剰余金繰越利益剰余金×××未払配当金×××
利益準備金×××
〇〇積立金×××
その他資本剰余金その他資本剰余金×××未払配当金×××
資本準備金×××
〇〇積立金×××

<積立金の種類>

勘定科目名積立金の目的
別途積立金なし
配当平均積立金業績が変動しても毎期安定した配当を行う。
修繕積立金建物の診断や修繕工事を行う。
新築積立金自社ビルなどを新築する。

仕訳問題

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1繰越利益剰余金2,150,000未払配当金1,500,000
利益準備金150,000
別途積立金500,000
2その他資本剰余金2,600,000未払配当金2,000,000
資本準備金100,000
配当平均積立金500,000

解説

問題1.
源泉は繰越利益剰余金のため、利益準備金を積み立てます。
<利益準備金の計算>
A.資本金(1千万円)の4分の1 ¥2,500,000 - 準備金(資本準備金と利益準備金の合計)¥1,500,000 = ¥1,000,000(積立の上限)
B.配当金の10分の1 配当金¥1,500,000 × 1 / 10 = ¥150,000
A > Bのため、B.の15万円を積み立ててもまだ積立上限に余裕があります。従って、利益準備金の積立額は15万円になります。

問題2.
源泉はその他資本剰余金のため、資本準備金を積み立てます。
<資本準備金の計算>
A.資本金(1千万円)の4分の1 ¥2,500,000 - 準備金(資本準備金と利益準備金の合計)¥2,400,000 = ¥100,000(積立の上限)
B.配当金の10分の1 配当金¥2,000,000 × 1 / 10 = ¥200,000
A < Bであり、B.20万円を積み立てると資本準備金は260万円となり、資本金の4分の1(積立の上限)である250万円を上回ってしまいます。従って、資本準備金の積立額は10万円になります。

\ SHARE /

仕訳問題(ランダム出題)

著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

詳細はこちら↓
著者プロフィール