税効果会計は難しい?6つの学習ポイントとおすすめ書籍(上級)

記事公開日:2024年10月5日

上級(簿記1級/税理士/公認会計士試験)の学習領域は難しい論点が沢山。「税効果会計」もその1つ。

他の論点にもいえる共通の難しい理由は、「会計用語が多く、複雑にリンクした関係を理解しなければならないから」です。

本記事では、税効果会計の本質にも言及して税効果会計の難しい点を解説しています。また、PDCA会計の電子書籍の紹介と自薦する理由をコメントしています。

※受験者だけでなく経理実務でお悩みの人にも役立ちます。

税効果会計が難しいといわれる理由

それは「法人税の課税所得計算」の知識が必要になるからです。これは税効果会計を学習していれば誰もが思うことでしょう。

この点をより具体化して理由を突き詰めることで税効果会計の難しいと言われる根本的な原因を特定することができます。

苦手な人でも理解できるようになるために理解すべき最も重要な原因

税効果会計の手続きで最も特徴的なことは「大量の二択」です。

「減価償却費の損金算入限度超過額は加算?それとも減算?」
「益金なのか損金なのか?」
「利益と課税所得。多いのはどっち?」
「将来加算一時差異?将来減算一時差異」
「繰延税金資産?繰延税金負債?」
「法人税等調整額は借方?貸方?」
「法人税等調整額のP/L表示はプラス?マイナス?」

といった具合に「全ての二択に正解することが税効果会計を理解できている証」となるのです。

そして、この二択は税効果会計の手続き上、順番に解かないといけませんが、例えば「加算の場合には利益が減少する」のように「増減をひっくり返さなければならない箇所」が存在するため、脳内だけで考えると頭が混乱しやすいのです。

個別と連結2つの財務諸表が登場する連結会計よりも遥かに複雑といえるでしょう。

6つの学習ポイント

以上の税効果会計が難しい根本的な原因を踏まえて、税効果会計が苦手な人でも理解できるようになるための学習ポイントを説明します。

1.目的の理解

はじめに「税効果会計を適用する目的」を学習しますが、「簡易の損益計算書と確定申告書(課税所得の計算書)」を使って税効果会計の仕組みを具体化した「図解」を使用します。

2.法人税の課税所得計算の知識

次に上記の図解を理解するには「確定申告書」による簡単な課税所得計算の知識が必要です。

この段階では計算方法と併せて「益金と損金」「加算と減算」「損金算入限度額」「損金算入限度超過額」などの用語を理解します。

そして、これらの用語を使って税効果会計の手続き(上記の二択を含む)を「A→B→C→D」と1つ1つ順を追って行い、税効果会計の仕組みを理解します。

この作業を行わなくとも仕訳上のテクニックで途中を端折って「A→D」と覚える人も少なくありません。しかし全ての手順を理解しながら進めることが、税効果会計の理解のみならず法人税法の理解にも繋がり今後の学習や実務でメリットになります。

3.P/LとB/Sの双方視点の税効果会計の理解

税効果会計の「繰延法」「資産負債法」を理解することを意味し、この2つの考え方の理解が最初の「税効果会計の目的」の理解に繋がります。

公認会計士試験に合格した人の中でもB/S視点の税効果会計を理解している人は相当数いると思います。

4.用語・キーワードの知識と条文に慣れる

後に紹介する「穴埋め問題」などを使って会計基準上の会計用語や税効果会計上のキーワードや表現に慣れます。

5.ケース別の知識と実践

「減価償却費」「貸倒引当金」「その他有価証券評価差額金」をはじめとする様々な具体的なケースの問題を解いていきます。

そして、この過程で上記で学んだ「A→B→C→D」と順を追って手続きを進める思考方法で解いていくことで各用語間のリンクを脳内で強めて定着させていきます。

慣れてくれば暗記やテクニックに頼らずに、自然と「A→D」と端折って考えられるようにもなるでしょう。

6.応用論点への知識の拡張

最後にこれまでの知識を前提とした応用論点を学習します。

「税務上の欠損金」「繰延税金資産の回収可能額の算定」などが該当します。

(おすすめ)PDCA会計の電子書籍とメリット

以上の税効果会計の学習に役立つ電子書籍を3冊ご紹介します。

「PDCA会計 税効果会計入門 苦手な会計理論を徹底理解」

上記の1〜3の学習におすすめできる書籍です。

「PDCA会計 財務会計論(理論) 税効果会計1 穴埋め問題」

「4.用語・キーワードの知識と条文に慣れる」に役立つ書籍です。会計基準の読解には特有の表現への慣れが必要です。本書では基本的な用語やキーワードを穴埋め部分として選択しているため、難易度の高い問題集に取り組む手前の段階で利用すると効果が上がります。

「PDCA会計 財務会計論(計算) 仕訳問題集 税効果会計①」

「5.ケース別の知識と実践」に効果のある書籍です。簿記2級で学ぶ「減価償却費」「貸倒引当金」「その他有価証券評価差額金」だけでなく上級論点で押さえるべき税効果会計の問題を掲載しています。

解説は詳細ではないため、簿記スクール等の上級用テキストで学習した後の利用を推奨します。

最後に

難しい上級論点の学習であっても一歩一歩時間をかけて進めば理解できるようになります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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著者プロフィール

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