第1章 はじめに

本書は2024年度の試験範囲に準拠した日商簿記3級のテキストです。

はじめに、簿記や日商簿記3級の概要と勉強方法について説明します。

簿記とは

簿記とは、企業が行う様々な取引を資産、負債、純資産、収益、費用に属する勘定科目を使用して、貨幣的価値が分かるように記録し、企業活動を管理するとともに決算書を作成するために利用される技術をいいます。

簿記には「複式簿記」と「単式簿記」とがありますが、簿記といえば通常は「複式簿記」をいいます。複式簿記では1つの取引を2つの側面から借方と貸方にそれぞれ勘定科目を使用して仕訳記帳していきます。

簿記には「商業簿記」と「工業簿記」が存在します。

商業簿記とは、小売業などに代表される、商品を仕入れて販売するような業態の場合に使用されます。

メーカーなど、製品を製造するような業態の場合にも商業簿記が適用されますが、製品を製造するために材料の購入や作業員の投入から、加工・製造を通じて完成までに行う一連の活動は、工業簿記を使用して記録されます。

このうち、日商簿記3級では「商業簿記」が試験範囲です。工業簿記は簿記2級から試験範囲になります。

日商簿記3級の出題形式

2024年度も2021年度から採用された出題形式で出題されます。

年3回(6、11、2月)の統一式試験・団体試験・ネット試験ともに同じ出題形式です(ただし、ネット試験ではPC端末を使用して解答)。

この3つの大問を「60分」という制限時間内に解きます。

合格基準

100点満点中、70点以上を取れば合格です。

日商簿記3級に合格するには

ポイントは3つです。

1つ目は「仕訳を覚える」です。

第1問の仕訳問題だけでなく、他の大問も仕訳は必ず書いて解いていきます。

取引によって仕訳には型があり、仕訳の型を覚えれば覚えるほど点数が伸びるので合格に近づきます。

次に2つ目は「本試験レベルの問題を反復演習する」です。

本書の仕訳問題が解ければ本試験レベルの仕訳問題も理解できるようになります。

また、第2問、第3問の個別・総合問題も仕訳は解けるので、問題を解きながら各種帳簿の書き方や精算表・B/S・P/Lの作成の仕方といった、仕訳以外の部分に慣れていきましょう。

最後に3つ目は「時間を測って解く」です。

本試験は60分という短時間で沢山の問題を解きます。日頃から時間を測って正確かつ速く問題を解けるように習慣をつけておくと合格可能性は高まります。

勉強方法

一例を示すと次の通り。

(2)で本試験の類題(過去問)を1度だけ解いてみます。全て解く必要はなく、眺めるだけでも構いません。

この段階で自分の実力と本試験のレベルとの差を知ることが目的です。

差が分かったらば、(3)や(4)の問題集を使ってどんどん問題を解いていきます。

「本試験レベルに到達した」と自信が持てたらば(5)で本試験レベルの問題演習を繰り返します。時間を測りできるだけ本試験の環境に近づけて解き必ず採点します。

間違えた点や分からなかった点はテキストに戻って復習し、対策ノートにまとめておくと本試験直前に役立ちます。

仕訳問題(ランダム出題)