緊密な者・同意している者とは(連結の範囲)|用語解説

記事公開日:2022年6月27日
子会社の判定基準(支配力基準)に関する用語として「緊密な者」「同意している者」がありますが、分かりにくい用語です。
本記事では、これらの用語について会計基準上のポイントを解説します。
緊密な者とは
緊密な者とは、自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意識と同一の内容の議決権を行使すると認められる者をいいます。
同意している者とは
同意している者とは、自己の意思と同一の内容を議決権を行使することに同意していると認められる者をいいます。
連結の範囲
「緊密な者」「同意している者」は、会計基準に規定されている、連結の範囲の決定に影響を与える要素の1つです。これらの用語を理解し内容を確認し、実際に会社に当てはめて検討することは、連結の範囲の決定に関する重要な連結決算手続きの1つといえます。
支配力基準
子会社かどうかの判定は、現在の会計基準の下では「支配力基準」によって行います。「緊密な者」「同意している者」の検討は、他の会社の実質的な支配に該当するかどうかの判定要素の1つです。
「緊密な者」の具体例
「緊密な者」に該当するかどうかは、次の事実関係などを踏まえて実質的に判断します。
<判断のための事実関係>
- ・両者の関係に至った経緯
- ・両者の関係状況の内容
- ・過去の議決権の行使の状況
- ・自己の商号との類似性
- ・その他
「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」では「緊密な者」の一般的な具体例として考えられる7つを「例示」しています。
<「緊密な者」の該当例>
- (1)自己(自己の子会社を含む。以下同じ)が議決権の20%以上を所有する会社
- (2)自己の役員又は自己の役員が議決権の過半数を所有している会社
- (3)自己の役員若しくは使用人である者、又はこれらであった者で自己が他の会社の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めている当該他の会社
- (4)自己の役員若しくは使用人である者、又はこれらであった者で自己が他の会社の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、代表権のある役員として派遣されており、かつ、取締役会その他これに準ずる機関の構成員の相当数(過半数に満たない場合を含む)を占めている当該他の会社
- (5)自己が資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているもの)の総額の概ね過半について融資(債務保証及び担保の提供を含む。以下同じ)を行っている会社(金融機関が通常の取引として融資を行っている会社を除く)
- (6)自己が技術援助契約等を締結しており、当該契約の終了により、事業の継続に重要な影響を及ぼすこととなる企業
- (7)自己との間の営業取引契約に関し、自己に対する事業依存度が著しく大きいこと又はフランチャイズ契約等により自己に対し著しく事業上の高速を受けることになる会社
また、過去に自己と緊密な関係にあった会社であったとしても、両者の関係が見直された結果、自己の意思と同一の内容の議決権を行使するとは認められない場合には、緊密な者には該当しません。
「同意している者」に該当する場合
「契約」や「合意等」によって、自己の意思と同一内容の議決権を行使することに同意していると認められる者が「同意している者」に該当します。
会計基準
※2022年6月27日現在。リンク先の会計基準等は最新版でない場合があります。
・連結財務諸表に関する会計基準(企業会計基準第22号)
・連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針(企業会計基準適用指針第22号)