連結・持分法の範囲の決定方法|会計基準上のポイントを解説

オフィス街

連結財務諸表の手続きにおいて、連結の範囲の決定は最も重要な手続きの1つといえます。

そこで本記事では、連結・持分法の範囲の決定方法について、会計基準上のポイントを解説します。

一般基準(連結の範囲)

「連結財務諸表に関する会計基準」に定める、連結の範囲に関する一般基準は次の通りです。

さらに「持分法に関する会計基準」「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」には、持分法の適用範囲を定めています(子会社と同様の定め)。

子会社の判定

子会社かどうかの判定は「支配力基準(他の会社の意思決定機関を支配しているかどうか)」に基づいて行います。

「他の会社の意思決定機関を支配している」とは

大きく分けて次の3つの場合が該当します。

「緊密な者」とは、自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意識と同一の内容の議決権を行使すると認められる者をいい、「同意している者」とは、自己の意思と同一の内容を議決権を行使することに同意していると認められる者をいいます。

関連会社の判定

関連会社かどうかの判定は「影響力基準(他の会社の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができるかどうか)」に基づいて行います。

「他の会社の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる」とは

大きく分けて次の3つの場合が該当します。

子会社・関連会社に該当しない場合

更生会社、破産会社その他これらに準ずる会社であって、かつ、有効な支配従属関係が存在しない(関連会社の判定では重要な影響を与えられない)と認められる会社は、子会社・関連会社には該当しません。

他の会社の意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められる場合

次の場合には子会社に該当しないとしています。

なお、持分法においても「他の会社に重要な影響を与えられないことが明らかであると認められない場合」には、関連会社に該当しないことが会計基準上定められています。

支配・影響が一時的であると認められる会社

連結の範囲には含めません(影響が一時的な場合には、持分法を適用しません)。

利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある会社

子会社・関連会社には該当せず連結の範囲に含めません(持分法を適用しない)。当該ケースに該当する場合は、一般的には限定的であると考えられます。

重要性の原則の適用

子会社であって、資産・売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものは、連結の範囲に含めないことができます(関連会社も同様の定め)。

会計監査上は、「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用等に係る監査上の取扱い」に基づいて監査手続きを実施します。

注記

連結・持分法の範囲について次の事項を注記します。

会計基準

・連結財務諸表に関する会計基準(企業会計基準第22号)
・持分法に関する会計基準(企業会計基準第16号)
・連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針(企業会計基準適用指針第22号)
・連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用等に係る監査上の取扱い(監査・保証実務委員会実務指針第52号)

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