営業外収益・費用、経常利益とは|勘定科目などわかりやすく解説
記事最終更新日:2020年3月7日
記事公開日:2012年5月28日
前回、「その26~営業利益・営業利益率」では、営業利益及び営業利益率について説明しました。
今回は、営業外収益・費用と経常利益について勘定科目や財務分析などに言及しながら、実務上のポイントをわかりやすく解説します。
営業外収益・費用、経常利益とは|勘定科目などわかりやすく解説
目次
営業外収益とは
営業外利益(えいぎょうがいしゅうえき)とは、営業利益の次に表示される収益の区分です。
営業利益の次に表示されるということは、営業利益には含まれていない取引ということです。
「営業外収益」という言葉からも、営業の外(営業ではない)ということが分かります。
前回解説しました通り、営業利益とは「会社全体としてのビジネス活動の成果」を表します。
従って、営業利益に含まれない営業外収益とは、「会社のビジネス活動とは別の活動から得られた収益」、すなわち会社の事業として行っているモノ・サービスを製造・販売していく活動とは別の活動から得られた収益と言えます。
営業外収益の勘定科目
営業外収益の科目には、受取利息(うけとりりそく)や受取配当金(うけとりはいとうきん)などがあります。
その他、有価証券利息、為替差益、雑収入もよく使用される表示科目です。
このように営業外収益の区分には、モノやサービスを製造し販売する活動(=ビジネス活動)とは別の科目が表示されます。
営業外費用とは
営業外費用(えいぎょうがいひよう)とは、営業利益の次に表示される費用の区分です(営業外収益があれば、営業外収益の次になります)。
上述の営業外収益と同様に、営業外費用も営業利益の区分には含まれない科目、すなわち「会社のビジネス活動とは別の活動に要した費用」と言えます。
営業外費用の科目
営業外費用の区分に含まれる代表的な表示科目として、支払利息(しはらいりそく)があります。
金融機関等から借り入れを行った場合に支払う利息はこの支払利息に計上されます。
その他、為替差損や雑損失などの科目があります。
経常利益
経常利益(けいじょうりえき)とは、営業外収益・営業外費用の次に表示される利益の区分です。
経常利益は次の式で求めることができます。
経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
プラスの場合には経常利益ですが、マイナスの場合には経常損失(けいじょうそんしつ)といいます。
経常利益から分かること
経常利益の「経常」とは、「通常」という意味です。
従って経常利益とは「会社の通常の活動から得られた儲け(マイナスの場合は損失)」を表します。
より具体的に説明すると、営業利益は「会社全体としてのビジネス活動の成果」を表しますが、経常利益は、それに加えて「「会社の財務的な活動」を含めた、通常の活動の成果」を表すと言えます。
営業外収益・費用の科目を見てみると財務、すなわちお金の運用・資金調達に関係した科目が多いことが分かります。
営業外収益・費用の中で一番重要な表示科目が「支払利息」です。
利息の支払いそれ自体は会社のビジネス(モノ・サービスの製造・販売)ではありません。
しかし金融機関からの借り入れという、会社がビジネスを行う上でも重要な資金調達に関連する取引です。
例えば、ズボンメーカーの会社が2社(A社、B社)あるとして、この2社の財務分析を行うとします。
2社の売上高から営業利益までの各区分の数字は全く同じだとします。
但し、A社は金融機関から高い金利でお金を借り、B社は低い金利でお金を借りることができたとします。
借入れた元本の金額は同じとします。
すると、両者の支払利息の金額が異なります(A社の方が支払利息が大きい)。
従って、営業外費用は高い金利でお金を借りたA社の方が多くなるため、結果としてB社の方が経常利益が大きくなります。
以上から、この2社の財務分析の結果は、営業利益までの数字は同じであるため、会社の営業活動自体の評価は同じですが、財務活動を含めた会社の評価になると、B社の方が高い、と言えます。
経常利益率
参考までに経常利益率(けいじょうりえきりつ)」も紹介します。
経常利益率は次の式で求めることができます。
経常利益率(%)=経常利益(損失)÷売上高 × 100
規模の異なる会社を比較する場合には経常利益率を用いると、金額の多寡による影響を排除できるので便利です。
経常利益率の使用上のポイント
粗利率や営業利益率と同様、業種・業態によって経常利益率は差が生じます(業種・業態の特性によります)。
従って業種・業態の異なる会社を比較しても有用な分析とはならないケースもありますのでご注意下さい。
ROI
その他、経常利益に関連した財務指標としては、「ROI(あーるおーあい 投資収益率ともいいます)」があります。
ROIは財務指標の中でも最も重要視される指標といってもいいと思います。
ROIについて詳細は財務指標の分析の回で解説します。