委託買付とは|概要と仕訳方法を解説

倉庫の商品在庫

執筆日:2023年9月3日

「委託買付」は特殊商品売買の1つですが、「未着品」や「委託販売(積送品)」と比べてマイナーなため、知らない人も多い論点です。

本記事では、「委託買付」の概要や仕訳方法を解説します。

委託買付とは

委託買付」とは、会社(委託会社)が他社(受託会社)に依頼して商品を買い付ける仕入手法をいいます。

仕訳の特徴

海外など、遠方から商品を買い付けることが多く、その場合には貨物代表証券を発行して「未着品」として仕入れることから、未着品の仕訳を記帳します。

受託会社が商品を買い付けた場合には、受託会社から受け取る「買付計算書」に基づき、商品代金の他、受託会社へ「買付手数料」を支払います。

受託会社に対する債権債務は「委託買付」勘定で処理します。つまり、「債権は売掛金、債務は買掛金」のように分けずに、どちらも「委託買付」で仕訳します。従って、「委託買付」は借方残にも貸方残にもなります。

仕訳方法

活動別に委託買付の仕訳方法を解説します。

買付代金の前渡し時の仕訳

事前に受託会社に買付代金の一部を前渡しした場合には、貸方に支払手段を記帳するとともに、借方は「委託買付」で仕訳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
買付代金の前渡し委託買付xxx現金・預金xxx

貨物代表証券の受取時の仕訳

買付依頼を受けた受託会社が商品を仕入れ、発行された貨物代表証券を真の仕入先である依頼主(委託会社)に送付します。

貨物代表証券を受け取った委託会社は、「未着品」として記帳します。

※貨物代表証券の受け取り後の未着品の仕訳方法は、下記の記事で解説しています。

仕入金額は、貨物代表証券と一緒に受託会社から送付される「買付計算書」をもとに計算します。

「買付計算書」には、商品自体の購入価額以外にも、商品購入の諸経費(運賃など)や受託会社が受け取る買付業務手数料などが記載されてします。これらは「付随費用」に該当することから、商品自体の購入価額に加算して未着品を計上します。

貸方は、受託会社への債務として「委託買付」を記入して仕訳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
貨物代表証券の受取り未着品xxx ※委託買付xxx ※
※運賃・買付手数料などの付随費用を含む

買付代金の支払時の仕訳

「買付代金」のうち未払い額を支払った場合には、受託会社への債務が減少するため、借方に「委託買付」を記入して仕訳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
買付代金の支払い未着品xxx現金・預金xxx

「委託買付」勘定の財務諸表上の表示

「委託買付」が貸方残の場合には「買掛金」として表示し、借方残の場合には「前渡金」として表示します。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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