付随費用とは|仕訳と勘定科目を解説(簿記3級)

記事最終更新日:2026年1月19日
記事公開日:2018年4月10日

商品売買や固定資産を購入した際には、送料や代理店手数料などの「付随費用」を要する場合がありますが、「諸掛り」との違いや支払手数料勘定で仕訳する場合との違いなど、簿記の初学者にとって分かりにくい点が少なくありません。

本記事では、付随費用のうち、簿記3級の試験範囲について仕訳を中心に解説し、併せて諸掛りや支払手数料にも言及して具体的に解説します。

付随費用とは

付随費用とは、商品売買や有形固定資産などの資産の購入・処分(売却など)に要した費用をいいます。

分かりやすく表現すると「商品や有形固定資産などが手元に届き、使用できるようになるまでにかかったお金」のうち、「商品や有形固定資産自体の代金以外のお金」をいいます。

例えば、商品仕入の際に発生した送料(郵便局や配送会社に支払う運賃)や、土地・建物を取得する際に不動産会社に支払った仲介・代理手数料が代表的な付随費用です。

簿記3級では、「商品売買」および「有形固定資産(土地・建物・備品・車両運搬具)の取得」に関する取引で付随費用が出題されます。

仕入諸掛りと発送諸掛り

「諸掛り(しょがかり)」は、付随費用の範囲の一部分に該当する用語です。

付随費用のうち、商品売買の際に生じるものを特に「諸掛り」といい、仕入の場合を「仕入諸掛り」、販売の場合を「売上諸掛り」といいます。

付随費用の仕訳処理

1.商品売買

商品売買の場合、仕入諸掛りは「仕入」の金額に含めて仕訳し、売上諸掛りは「発送費」で仕訳します。

<仕訳例1-1>
商品¥100,000を仕入れ、代金は掛けとした。なお、送料¥5,000は現金で運送会社に支払った。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入105,000買掛金100,000
現金5,000

<取引の8要素>

取引の8要素の一覧表

<解説>
本問の送料は、運送会社が仕入先から当社までトラックなどで荷物を運搬してくれたサービスに対する代金です。当社に商品が届かないと使用できない(販売できない)ため、送料は付随費用(仕入諸掛り)になります。

仕入諸掛りは仕入に含めて仕訳するため、仕入の金額は商品代金¥100,000に送料¥5,000を加えた¥105,000になります。

<仕訳例1-2>
商品¥100,000を販売し、代金は掛けとした。なお、送料¥5,000は現金で運送会社に支払った。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売掛金100,000売上100,000
発送費5,000現金5,000

<解説>
当社が商品を販売した場合に支払った送料も、得意先が商品を使用するために必要な支出のため、付随費用(売上諸掛り)になります。

売上諸掛りは発送費(費用に属する勘定科目)で仕訳します。

2.有形固定資産の取得

有形固定資産を取得した場合に支出した付随費用は、有形固定資産の勘定科目の金額に含めて仕訳します。

<仕訳例2>
土地を¥10,000,000で取得し、代金は後日支払うこととした。なお、取得に伴う代理店手数料¥500,000は普通預金口座から不動産会社の指定口座に振り込んだ。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
土地10,500,000未払金10,000,000
普通預金500,000

<解説>
土地の取得に際して不動産会社に支払った代理店手数料も、冒頭の説明の通り、付随費用になります。有形固定資産の取得に伴い発生した付随費用は、有形固定資産の勘定科目(本例では土地)で仕訳するため、土地¥10,000,000に代理店手数料¥500,000を加えた¥10,500,000で土地を借方に記入します。

支払手数料で仕訳する場合との違い

「仕訳例2」の代理店手数料は付随費用に該当するため、有形固定資産の勘定科目に含めて仕訳しましたが、手数料の支出を「支払手数料」で仕訳する取引も存在します。

ここでは、付随費用か否かの違いに着目して、簿記3級で出題される支払手数料で仕訳する3種類の取引について解説します。

(1)不動産賃借の手数料

例えば、本社オフィスなどに使用するために、不動産の賃借契約を締結した場合に不動産会社に支払う「仲介手数料や代理手数料」は支払手数料で仕訳します(支払家賃や差入保証金とは区別して仕訳)。

建物は有形固定資産ですが、取得ではなく賃借(つまり、借りる)のため、この場合の仲介・代理手数料は付随費用ではなく、従って、支払手数料で仕訳します。

(2)振込手数料

銀行の預金口座で振込み手続きを行った場合に、銀行が差し引く振込手数料も、冒頭の付随費用の説明には該当しない取引であり、支払手数料で仕訳します。

(3)専門家への報酬

「弁護士・行政書士・税理士・社会保険労務士などの士業」や「コンサルティング会社」に依頼した業務に対する報酬も付随費用に該当しないため、支払手数料で仕訳する取引になります。

仕訳問題

<問題>
次の期中取引について、適切な仕訳を示しなさい。

  • 5/8 仕入先から商品¥47,000を掛け仕入れた。なお、配送にかかった運賃¥3,000は現金で着払いした。
  • 8/20 事務用机を¥20,000で購入し、代金は配達料金¥1,500とともに後日支払うこととした。
  • 10/5 商品¥50,000を得意先へ販売し、代金は賭けとした。なお、得意先への発送代¥2,000は現金で支払った。
  • 2/15 社用のため自動車を¥1,200,000で購入し、登録・保険料や仲介手数料など取得に要した諸費用合計¥150,000も含めて普通預金より振り込んだ。なお、振込みに際して手数料¥3,000が同預金口座より差し引かれた。

<解答>

日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
5/8仕入50,000買掛金47,000
現金3,000
8/20備品21,500未払金21,500
10/5売掛金50,000売上50,000
発送費2,000現金2,000
2/15車両運搬具1,350,000普通預金1,353000
支払手数料3,000

<取引の8要素>

取引の8要素の一覧表

<解説>
5/8 運賃は送料と同じ意味合い(他にも様々な表現があります)。問題文から付随費用(仕入諸掛り)に該当するため、商品代金と同じく仕入で仕訳します。「着払い」は商品が手元に届いた際にドライバーさんに現金を手渡しで支払うことをいいます。

8/20 問題文から本問の配達料金は付随費用になるため、事務用机の代金とともに備品で仕訳します。本問ではどちらも後日支払うため、貸方も両者の合計¥21,500で仕訳します。

10/5 商品の販売に伴う発送代金は売上諸掛りとして発送費で仕訳します。

2/15 有形固定資産(本問では自動車。車両運搬具で仕訳)の取得に要した諸費用も付随費用のため、車両運搬具の金額に含めて仕訳します。これに対して、普通預金から差し引かれる振込手数料(銀行に支払う)は、付随費用ではなく支払手数料で仕訳します。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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