5-1 貸付金と借入金

貸付金とは

貸付金(かしつけきん)とは、金銭を他社に貸し付けた場合に発生する、利息や貸し付けたお金を回収する権利(債権)のことをいいます。

貸付金の手続き

※日商簿記3級の試験範囲外。覚える必要はありません。

他社に会社のお金を貸し付けるので慎重な手続が必要です。

そこで、会社法などの法律で貸付金の取引について条文を設けて規定しています。

例えば会社法では、取締役会を設置している会社が重要な(会社にとって多額な)金銭の貸付を行う場合には取締役会の決議が必要である旨を定めています。

上場企業や大企業であれば、取締役会決議でなくとも社内規定によって金額に応じて適切な役職者による決裁を定めます。

そして口頭ではなく、書面による金銭消費貸借契約を締結することが安全な取引としてあるべき手続といえます。

金銭消費貸借契約書には貸付の実行日と回収日、貸付元本の金額や利息の利率、利息の受取日などを定めます。

貸付金の仕訳

貸付金の増減に関する取引は「貸付金(資産に属する勘定科目)」を使用します。

利息の受け取りには、「受取利息(収益に属する勘定科目)」で仕訳します。

なお、従業員に対する貸付の場合には「従業員貸付金(資産に属する勘定科目)」で仕訳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
金銭の貸付貸付金×××現金預金など×××
金銭の貸付(従業員)従業員貸付金×××現金預金など×××
利息の受け取り現金預金など×××受取利息×××
貸付金の回収現金預金など×××貸付金×××
貸付金の回収(従業員)現金預金など×××従業員貸付金×××

取引の8要素

借入金とは

借入金とは、金銭を他社から借り入れた場合に発生する、利息や借り入れたお金を返済する義務(債務)のことをいいます。

借入金の手続き

※日商簿記3級の試験範囲外。覚える必要はありません。

大多数の会社が金融機関(銀行)からお金を借り入れています。貸付金と同様に慎重な手続が必要です。

会社法では、取締役会設置会社が重要な(会社にとって多額な)金銭を借り入れる場合には、取締役会の決議が必要である旨を定めています。

銀行から借り入れる場合には、書面による金銭消費貸借契約を締結します。金銭消費貸借契約書には、借入の実行日と返済日、貸付元本の金額や利息の利率、利払い日などを定めます(借入側になりますが、内容は貸付と同様です)。

借入金の仕訳

借入金の増減に関する取引は「借入金(負債に属する勘定科目)」を使用します。

利息の支払いには「支払利息(費用に属する勘定科目)」で仕訳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
金銭の借入現金預金など×××借入金×××
利息の支払い支払利息×××現金預金など×××
借入金の返済借入金×××現金預金など×××

取引の8要素

利息の計算

利息は年率で計算します。貸付金の受取利息も、借入金の支払利息も同じ計算方法です。

例えば、100万円の年率5%の場合の、年間(ねんかん。1年間のこと)の利息は、

1,000,000 × 5% = 50,000円

になります。

利息の月割計算

利息計算は年間(つまり12ヶ月)以外にも、3ヶ月や8ヶ月など、年間に満たない月数で計算する場合もあります。

この年間に満たない計算を「月割計算(つきわりけいさん)」といいます。

月割計算の方法を上の例で考えると次の通り。

まず、1ヶ月の利息を計算します。年間利息が50,000円の場合、1ヶ月の利息は

50,000円 ÷ 12ヶ月 = 6,000円

から、6,000円です。

次に3ヶ月の利息ならば「6,000円 × 3 = 18,000円」、8ヶ月ならば「6,000円 × 8 = 48,000円」が答えです。

以上から月割利息の計算式は次の通りになります。

一般的には、2つ目の計算式で覚えます。

仕訳問題

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1貸付金500,000当座預金500,000
2当座預金2,000,000借入金2,000,000
3現金518,750貸付金500,000
受取利息18,750
4借入金2,000,000当座預金2,020,000
支払利息20,000

<解説>利息の計算

問題の指示では年率で出題されることがほとんどです。

利息の計算は、月数で按分(あんぶん。分割する、といった意味合い)して計算します(問題の指示に従います)。

仕訳問題(ランダム出題)