5-2 未収入金と未払金
未収入金とは
未収入金(みしゅうにゅうきん)とは、営業活動以外の取引によって生じた債権をいいます。
「営業活動(えいぎょうかつどう)」とは、具体的には会社がビジネスとして営む商品を仕入れて、お客に販売する活動をいいます。
例えばスーパーであれば商品である食品や日用品などを仕入れて販売する活動です。不動産会社であれば商品は土地であり、土地を購入して販売します。自動車の販売代理店ならば自動車が商品です。 自動車を仕入れて販売します。
このような営業活動に伴って商品を販売した場合に発生する債権は、「売掛金」で仕訳します。
売掛金に対して未収入金とは、営業活動以外で発生した債権です。例えば、土地・建物・自動車・備品(PC、コピー機など)といった固定資産を売却する場合の取引を 記帳する場合に使用します。
未収入金の仕訳
未収入金の増減に関する取引は「未収入金(資産に属する勘定科目)」で仕訳します。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
営業活動以外の取引に伴う債権の発生 | 未収入金 | ××× | モノやサービスを 表す勘定科目 | ××× |
上記代金の回収 | 現金預金 | ××× | 未収入金 | ××× |
未払金とは
未払金(みばらいきん)とは、営業活動以外の取引によって生じた債務(支払義務)をいいます。
営業活動に伴い商品を仕入れた場合に発生する債務は、買掛金勘定で仕訳します。
買掛金に対して未払金とは、営業活動以外で発生した債務です。例えば、土地・建物・自動車・備品など、商品以外のモノの購入や、 一時的なサービスの利用(広告宣伝費や旅費交通費など)の場合に使用します。
未払金の仕訳
未払金の増減に関する取引は「未払金(負債に属する勘定科目)」で仕訳します。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
営業活動以外の取引に 伴う債務の発生 | モノやサービスを 表す勘定科目 | ××× | 未払金 | ××× |
上記代金の支払 | 未払金 | ××× | 現金預金など | ××× |
<ポイント:土地や自動車が商品の場合>
- ・簿記3級で過去に出題されたことがある論点です。
- ・上記の通り、不動産会社であれば土地は「商品」であり、土地の仕入れや販売は「営業活動」です。
- →この場合、販売用の土地の購入(仕入)や売却(販売)は未払金・未収入金ではなく「買掛金」「売掛金」で仕訳します(商品仕入・販売のため、相手勘定科目はそれぞれ仕入・売上)。
- ・自動車を商品とする自動車の販売代理店も同じです。販売用自動車の仕入・販売は買掛金・売掛金で仕訳します。
- ・ただし、不動産会社の土地であっても、例えば不動産会社の本社ビルの土地など販売用の土地でない土地の購入・売却の場合には、未払金・未収入金で仕訳します。
- ・自動車販売代理店の営業用自動車も販売用ではないため商品ではなく、未払金・未収入金で仕訳します。
- ※問題文を読んで、「商品」なのかどうか考えて解答しましょう。
仕訳問題
- 1.A社はB社に社用車(帳簿価額50万円。「車両運搬具」を使用)を50万円で売却した。代金は来月末に入金される。
- 2.A社は備品を10万円で購入した。代金は来月末に支払う。
- 3.上記1.の代金として、B社振り出しの小切手を受け取った。
- 4.上記2.の代金として、小切手を振り出して支払った。
No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
1 | 未収入金 | 500,000 | 車両運搬具 | 500,000 |
2 | 備品 | 100,000 | 未払金 | 100,000 |
3 | 現金 | 500,000 | 未収入金 | 500,000 |
4 | 未払金 | 100,000 | 当座預金 | 100,000 |