6-2 受取手形と支払手形
受取手形と支払手形とは
約束手形や為替手形といった種類に関係なく、商品販売の代金として受け取った手形を受取手形(うけとりてがた)といい、商品仕入れの代金として支払った手形を支払手形(しはらいてがた)といいます。
約束手形の仕訳
約束手形の仕訳について受取人と支払人(=振出人)に分けて解説します。
受取人の仕訳
商品を販売し、代金として約束手形を受け取った場合には、「受取手形(資産に属する勘定科目)」を借方に記入して仕訳します。
受取手形の満期(まんき。支払期日のこと)が到来した後に銀行に持っていき呈示した結果、預金口座に手形に記載の代金が振り込まれた場合には、「受取手形」を貸方に記入します。
| 取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 手形の受取 (商品販売の代金) | 受取手形 | ××× | 売上 | ××× |
| 代金の回収 | 現金預金など | ××× | 受取手形 | ××× |

支払人(=振出人)の仕訳
商品を仕入れ、代金として約束手形を振り出して渡した場合には、「支払手形(負債に属する勘定科目)」を貸方に記入して仕訳します。
支払手形の支払期日が到来し、当座預金から手形金額が引き落とされた場合には、「支払手形」を借方に記入します。
| 取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 手形の振り出し (商品仕入れの代金) | 仕入 | ××× | 支払手形 | ××× |
| 代金の支払い | 支払手形 | ××× | 当座預金 | ××× |

為替手形の仕訳
為替手形の仕訳処理は、受取人、支払人、振出人の3者が存在します。
受取人の仕訳
振出人に対する売掛金を為替手形で回収したことになります。従って、借方に「受取手形」を、貸方に「売掛金」を記入して仕訳します。
支払人の仕訳
振出人への買掛金を為替手形で支払ったことになります。従って、借方に「買掛金」を、貸方に「支払手形」を記入して仕訳します。
振出人の仕訳
売掛金と買掛金がそれぞれ減少します。従って、借方に「買掛金」を、貸方に「売掛金」を記入します。
| 仕訳する主体 | 取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 受取人 | 手形の受取 | 受取手形 | ××× | 売掛金 | ××× |
| 代金の回収 | 当座預金など | ××× | 受取手形 | ××× | |
| 支払人 | 手形の振出連絡 | 買掛金 | ××× | 支払手形 | ××× |
| 代金の支払い | 支払手形 | ××× | 当座預金など | ××× | |
| 振出人(為替手形) | 手形の振り出し | 買掛金 | ××× | 売掛金 | ××× |

自己受為替手形
為替手形のうち、受取人と振出人が同一の為替手形を「自己受為替手形(じこうけかわせてがた)」といい、「受取手形」で仕訳します。
仕訳問題
- 1.A社はB社に商品20万円を販売し、代金としてB社を振出人とする手形を受け取った。
- 2.上記1.の満期が到来した。A社は、B社から手形代金を当座預金に振り込んだとの連絡を受けた。
- 3.上記1.と2.について、B社側の仕訳を示しなさい。2.で手形代金の支払いは当座預金から引き落とされたとする。
- 4.A社は売掛金と買掛金の支払いのため、B社を支払人、C社を受取人とする、10万円の為替手形を発行した。A社、B社、C社それぞれの仕訳を示しなさい。
| No | 仕訳の主体 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | A社 | 受取手形 | 200,000 | 売上 | 200,000 |
| 2 | A社 | 当座預金 | 200,000 | 受取手形 | 200,000 |
| 3 | B社 | 仕入 | 200,000 | 支払手形 | 200,000 |
| 支払手形 | 200,000 | 当座預金 | 200,000 | ||
| 4 | A社 | 買掛金 | 100,000 | 売掛金 | 100,000 |
| B社 | 買掛金 | 100,000 | 支払手形 | 100,000 | |
| C社 | 受取手形 | 100,000 | 売掛金 | 100,000 |
