6-3 受取手形記入帳と支払手形記入帳
補助簿の1つである受取手形記入帳と支払手形記入帳を解説します。
受取手形記入帳と支払手形記入帳とは
受取手形と支払手形の取引内容を把握したい場合には、取引を記入した仕訳帳・総勘定元帳を見れば分かります。
<ポイント:簿記の手続き(受取手形勘定と支払手形勘定)>
- 取引→仕訳帳(伝票)→総勘定元帳(受取手形勘定、支払手形勘定)
しかし
①仕訳帳(または伝票)には取引の詳細が記録されていますが、受取手形と支払手形以外の取引についても記録されています。そのために受取手形と支払手形の取引だけを抽出するのに時間がかかります。
②受取手形勘定や支払手形勘定の総勘定元帳を見れば、受取手形と支払手形の取引だけが記録されています。しかし、記録してあるのは日付や金額であり、例えば手形の種類や手形番号、受取人、支払人、振出人、裏書や割引の内容といった詳細は記録されていません。
そこで、受取手形と支払手形の取引詳細を簡単に把握できるように、「受取手形記入帳(うけとりてがたきにゅうちょう)」と「支払手形記入帳(しはらいてがたきにゅうちょう)」といった補助簿を記帳する場合があります。
<ポイント:簿記の手続き(受取手形勘定と支払手形勘定)>
- 取引→仕訳帳(伝票)→総勘定元帳(受取手形勘定、支払手形勘定)→受取手形記入帳、支払手形記入帳
受取手形記入帳と支払手形記入帳のひな型
受取手形記入帳と支払手形記入帳のひな型(フォーマット)は次の通りです。
<受取手形記入帳>

<支払手形記入帳>

仕訳例と記入例
次のA社の取引について、仕訳を示し、受取手形記入帳と支払手形記入帳に記帳しなさい。
- (1)4月1日 B社に商品10万円を販売し、代金はB社が振り出した約束手形(手形番号:101)を受け取った(満期日:9月30日 支払場所:甲銀行)。
- (2)5月15日 本日、C社に対する仕入の掛け代金の期日となったため、約束手形(手形番号:36)を振り出して渡した(満期日:11月30日 支払場所:乙銀行)。
- (3)9月30日 B社振出の約束手形(手形番号:101)が本日満期となり、当座預金に入金があったと取引銀行より連絡があった。
- (4)11月30日 当社振出の約束手形(手形番号:36)が本日満期となり、当座預金から引き落としがあったと、取引銀行より連絡があった。
<仕訳>
| 日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 4月1日 | 受取手形 | 100,000 | 売上 | 100,000 |
| 5月15日 | 買掛金 | 250,000 | 支払手形 | 250,000 |
| 9月30日 | 当座預金 | 100,000 | 受取手形 | 100,000 |
| 11月30日 | 支払手形 | 250,000 | 当座預金 | 250,000 |
<取引例(受取手形取引を再掲)>
- (1)4月1日 B社に商品10万円を販売し、代金はB社が振り出した約束手形(手形番号:101)を受け取った(満期日:9月30日 支払場所:甲銀行)。
- (3)9月30日 B社振出の約束手形(手形番号:101)が本日満期となり、当座預金に入金があったと取引銀行より連絡があった。
<受取手形記入帳>

<取引例(支払手形取引を再掲)>
- (2)5月15日 C社から商品25万円を仕入れ、代金は約束手形(手形番号:36)を本日振り出して渡した(満期日:11月30日 支払場所:乙銀行)。
- (4)11月30日 当社振出の約束手形(手形番号:36)が本日満期となり、当座預金から引き落としがあったと、取引銀行より連絡があった。
<支払手形記入帳>

