6-4 手形貸付金と手形借入金
商業手形と金融手形とは
手形貸付金や手形借入金を説明する前に商業手形と金融手形について説明します。
「商業手形(しょうぎょうてがた)」とは、商品の販売や仕入の際に代金の回収や支払い目的で発行する手形をいいます。
「金融手形(きんゆうてがた)」とは、金銭の貸付や借入を目的として発行する手形をいいます。
手形貸付金と手形借入金とは
「手形貸付金(てがたかしつけきん)」とは、金銭の貸付のために金銭を借り入れる者が発行した手形を受け取って貸付を行った場合に発生する債権をいいます。
「手形借入金(てがたかりいれきん)」とは、金銭の借入のために手形を発行して借入を実行した場合に発生する債務をいいます。
このように金銭の貸付・借入を目的として発行される手形であることから金融手形に該当します。
手形貸付金と手形借入金の仕訳
手形貸付金の増減取引には、「手形貸付金(資産に属する勘定科目)」を使用します。
同様に手形借入金の増減取引には、「手形借入金(負債に属する勘定科目)」を使用します。
| 出来事 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 手形貸付 | 金銭の貸付 | 手形貸付金 | ××× | 現金預金など | ××× |
| 利息の受け取り | 現金預金など | ××× | 受取利息 | ××× | |
| 貸付金の回収 | 現金預金など | ××× | 手形貸付金 | ××× | |
| 手形借入 | 金銭の借入 | 現金預金など | ××× | 手形借入金 | ××× |
| 利息の支払い | 支払利息 | ××× | 現金預金など | ××× | |
| 借入金の返済 | 手形借入金 | ××× | 現金預金など | ××× | |

仕訳問題
- 次の取引をA社、B社それぞれの立場から仕訳を示しなさい。
- 1.A社はB社に対して30万円の貸付を行い、当座預金からB社の普通預金に振り込むとともに同額の約束手形をB社より受け取った。支払期日は3か月後、年率は3%である。
- 2.支払期日が到来した。A社はB社から返済および利息についてB社の当座預金からA社の当座預金に振り込みがあった。
| 主体 | No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|---|
| A社 | 1 | 手形貸付金 | 300,000 | 当座預金 | 300,000 |
| 2 | 当座預金 | 302,250 | 手形貸付金 | 300,000 | |
| 受取利息 | 2,250 | ||||
| B社 | 1 | 普通預金 | 300,000 | 手形借入金 | 300,000 |
| 2 | 手形借入金 | 300,000 | 当座預金 | 302,250 | |
| 支払利息 | 2,250 |
(解説)
利息計算:手形額面300,000円 × 年率3% × 3ヶ月 / 12ヶ月
