10-11 直接原価計算と勘定連絡図
<出題可能性・重要度>★★★★☆
本章の最後の論点として、直接原価計算の勘定連絡図を示します。実際原価計算や標準原価計算といった全部原価計算との違いも理解できるようになります。
次の順番で、解説します。
<Check>勘定連絡図の解説-直接原価計算
- ・費目別計算
- ・部門別計算
- ・製品別計算
- ・原価差異
- ・損益計算書
費目別計算
費目別計算は「材料費」「労務費」「経費」といった費目を、直接費と間接費に分類するための手続きです。
直接原価計算の特徴は「原価を変動費と固定費に分類すること」です。費目別計算の段階で、費目別精査法や高低点法といった方法を使って、原価を変動費と固定費に分類します。
そして、各費目の直接費(かつ変動費)は「仕掛品」へ振り替え、間接費は変動費・固定費ともに「製造間接費」へ振り替えます。
製造間接費は、全部原価計算であれば部門別計算を経て、全額を「仕掛品」へ集計します。しかし、直接原価計算では固定費は売上原価に含めないので、「製造間接費(変動費)」のみを「仕掛品」に振り替えます。
製造間接費(固定費)は全額をP/L表示します(製品在庫にならない)。
部門別計算
簿記2級の直接原価計算では、部門別計算の論点はありません。最近の過去問でも、部門別計算は実際(全部)原価計算での出題です。
製品別計算
製品別計算は、各製品の1単位当たりの価格(単価)を計算するための手続きです。
他の原価計算制度と異なるのは、「直接原価計算では変動費のみを仕掛品や製品勘定に集計する点」です。仕掛品勘定を見ると「製造間接費(変動費)」と書いてあり、製造間接費(固定費)は仕掛品勘定へ振り替えていないことが分かります。
仕掛品勘定→製品勘定と製品別計算を行った結果、「変動売上原価」が計算でき、P/Lにつながります。
原価差異
「原価差異」には、いくつも種類がありますが、直接原価計算では、「製造間接費の原価差異」が出題されることがあります。
勘定連絡図は次の通り。
予算差異や操業度差異を求める問題ではなく、原価差異の金額を仕掛品勘定元帳や損益計算書に記入する問題です。
一見すると単純な問題ですが、勘定連絡図を理解できていないと、仕掛品勘定に製造間接費の実際発生額を含めて計算してしまいます(標準原価計算のパーシャルプランとの勘違いなどが理由です)。
この勘定連絡図では、製造間接費勘定から仕掛品勘定へは「予定配賦額」で振り替えています。問題では勘定連絡図は書いてありませんので、自分で実際発生額と予定配賦額のどちらを仕掛品勘定へ振り替えるのか、勘定連絡図を描いて考える必要があります。
原価差異はP/Lの「原価差異」に記入します。
直接原価計算の勘定連絡図と損益計算書の関係
最後に、勘定連絡図と損益計算書の関係です。
次の勘定元帳の数字を「損益計算書」に記入します。
「製品勘定」:期首・当期完成(当期製品製造)・販売(売上原価)・期末の各金額
「製造間接費勘定」:固定費
「原価差異勘定」:原価差異
直接原価計算の特徴として、「売上原価は変動費のみ」であることが挙げられます。次に、「製造間接費勘定から固定費が直接、損益計算書に記入される点」も特徴の一つです。
損益計算書の表示科目も一般的な全部原価計算の損益計算書とは異なり特徴的です。
何回も解説している通り、全部原価計算の製品別計算では固定費も含めますので、期首・期末製品にも(もちろん当期製造原価にも)固定費が含まれますが、直接原価計算では、製品に固定費は含まれません。
この点も、簿記2級では、全部原価計算の損益計算書から直接原価計算の損益計算書を作成する問題などで出題される論点です。
本章は、以上で終了です。次は「本社工場会計」を解説します。
