12-3 P/LとC/Rの関係
<出題可能性・重要度>★★☆☆☆
最後に、P/LとC/Rの数字の関係を解説します。
P/L上の数値の意味
P/Lでは、全て「実際原価(実際発生額)」に基づき集計します。
これは、第1章で解説した原価計算の目的のうち、「真実の原価」をP/L上に表示させるためです。
従って、予定価格や予定配賦を行っていた場合には、原価差異を使って、「予定配賦額」を「実際発生額」に修正します。
※標準原価計算の場合にも、原価差異を使って、「標準配賦額」を「実際発生額」に修正します。
当期製品製造原価
「完成品原価」を表します。仕掛品勘定やボックス図の右上部分です。
完成品原価については、「仕掛品」から「製品」へ振り替えますが、上図のP/LとC/Rでいえば「当期製品製造原価」の金額を引き継ぐことと同じです。P/LとC/Rの当期製品製造原価は必ず同額になります。
原価差異
この例では、もう1つ引き継ぐ金額が存在します。それは「製造間接費配賦差異」です。
P/L上では、「原価差異」と表示します。
C/R表示との違い
前回の解説「12-2 C/Rと仕掛品勘定の関係」の通り、C/R上の製造間接費は、「原価差異」を使って、実際発生額を予定配賦額に修正しました。
P/L上の「当期製品製造原価」はC/Rから引き継いだ金額のため、「予定配賦額」です。
しかし、P/Lでは真実の原価を集計するため、「実際発生額を表示」させる必要があります。
そこでP/Lでは、C/Rの「当期製品製造原価」の金額をそのまま記入しますが、「原価差異」については、借方差異(不利差異)であれば、C/R上のマイナスをP/Lではプラスにして記入します。
外部に公開するP/L上の金額は真実の原価のため、「予定配賦額ではなく、実際発生額」に基づいて集計しないといけません。今回の例では借方差異(不利差異)のため、P/Lの原価差異の区分にて、製造間接費配賦差異の金額だけ原価を増やすためにプラスで表示します。
まとめ
本書の解説は以上です。
本書が皆さんの工業簿記の学習に役立ち、さらなる向上に貢献できれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
