委託販売とは|積送品の仕訳方法を解説(上級論点)
執筆日:2023年8月26日
「委託販売」は、特殊商品売買の1つです。「収益認識に関する会計基準」において、「仕切精算書到達日基準」の適用可否について議論になる場合があるようです。
本記事では、委託品販売について「積送品」に代表される勘定科目の使い方など、仕訳方法を中心に解説します。
委託販売とは|積送品の仕訳方法を解説(上級論点)
目次
委託販売の仕訳一覧(まとめ)
はじめに委託販売の仕訳方法の一覧を示します(「三分法-都度法」の場合)。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
商品の購入 | 仕入 | xxx | 買掛金など | xxx |
商品の積送 | 積送品 | xxx | 仕入 | xxx |
積送品の販売 | 売掛金など | xxx | 積送品売上 | xxx |
仕入 | xxx | 積送品 | xxx | |
商品の返品 | 仕入 | xxx | 積送品 | xxx |
決算整理仕訳 | 仕入 | xxx | 積送品 | xxx |
積送品 | xxx | 仕入 | xxx | |
※「xxx」は、2行とも「期末積送品残高」の金額 |
委託販売とは
「委託販売」とは、当社(委託会社)が他社(受託会社)に依頼して商品を販売することをいいます。
商品を販売してもらうために、委託会社が受託会社に送付する商品を「積送品」といいます。
委託販売の特徴
積送した商品は、受託会社に預けた状態になっています。
積送時点では販売したことにならず、受託会社が顧客に積送品を販売することではじめて当社の販売となり、当社の売上になります。
その他、委託販売では、積送品の売上に関する業務の報酬を、手数料として受託会社に支払います。
活動別の仕訳方法(三分法-都度法)
委託販売の仕訳方法には、「三分法(都度法)」「三分法(期末一括法)」「分記法」「総記法」があります
本記事では、「三分法(都度法)」を中心に解説します。
商品の購入と仕訳
「積送品の仕入」という取引は存在せず、一般商品の仕入です。
従って、「三分法」の場合には、借方に「仕入」を記入し、貸方には「買掛金」などを記入して仕訳します。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
商品の購入 | 仕入 | xxx | 買掛金など | xxx |
商品の積送と仕訳
受託会社に商品を送付した場合には、会計帳簿上で一般商品と区別するため「積送品」として記帳します。
そこで、貸方には「仕入」を記入して一般商品を減少させるとともに、借方には「積送品(資産に属する勘定科目)」を記入して積送品を増加させます。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
商品の積送 | 積送品 | xxx | 仕入 | xxx |
積送品の販売と仕訳
受託会社が積送品を販売した場合には、借方に「売掛金」などの回収手段を記入し、貸方に「積送品売上(収益に属する勘定科目)」を記入して仕訳します。
「三分法(都度法)」の場合には、売上原価の計上の仕訳も記帳します。
積送品の販売以降は一般商品と区別せずに記帳するため、借方に「仕入」を記入して一般商品を増加させるとともに、貸方に「積送品」を記入して積送品を減少させます。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
積送品の販売 | 売掛金など | xxx | 積送品売上 | xxx |
仕入 | xxx | 積送品 | xxx |
積送品の返品と仕訳
「商品の積送時の仕訳」とは貸借反対の仕訳を記帳します。
この仕訳によって、積送品が減少し、仕入が増加するため、一般商品が戻ったことになります。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
商品の返品 | 仕入 | xxx | 積送品 | xxx |
決算整理仕訳
「三分法(都度法)」では、売上原価は積送品の販売の都度、計上していることから、売上原価における決算整理仕訳は必要ありません。
しかし、期末時点の積送品残高を備忘録として下記の通り、記帳します。
2仕訳とも同額のため、残高への影響はありません。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
決算整理仕訳 | 仕入 | xxx | 積送品 | xxx |
積送品 | xxx | 仕入 | xxx | |
※「xxx」は、2行とも「期末積送品残高」の金額 |
三分法(期末一括法)の場合
「都度法」と異なり、「期末一括法」では販売時に売上原価を計上しないことから、決算整理仕訳として、一括して売上原価を計上します。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
決算整理仕訳 | 仕入 | xxx(※1) | 積送品 | xxx(※1) |
積送品 | xxx(※2) | 仕入 | xxx(※2) | |
※1「前T/B積送品残高(積送品期首残高 + 当期積送額 - 当期返品額)」。一般商品の「期首商品 + 当期商品仕入高」に該当する金額 | ||||
※2「期末積送品残高」の金額 |
仕訳の仕組みの詳細は、下記の「未着品の仕訳に関する記事」で解説しています。
分記法・総記法の場合
一般商品の分記法で使用する勘定科目のうち、「商品」は「積送品」、「商品販売益」は「積送品販売益」に替えて仕訳します。
※分記法と総記法の仕訳方法は、下記の記事で解説。