貸付・借入の短期長期の振替と仕訳(簿記2級)

硬貨の山

記事最終更新日:2024年1月14日
記事公開日:2021年8月5日

※本記事の一部では、会計学の知識(簿記2級の範囲外)についても解説しています。

簿記2級では、「貸付金」「借入金」を「短期」と「長期」に振り替える仕訳が出題されます。この仕訳は貸借対照表上の流動・固定区分につながり、簿記1級以上で学習する「会計学」を学ぶ上でも重要な論点といえます。

本記事では、「貸付金」と「借入金」の短期・長期の振替と仕訳について、簿記2級の試験範囲を中心に解説します。

※貸付金と借入金に関する基本仕訳については、下記の記事で解説しています。

仕訳例

<仕訳例>
1.決算日現在、借入金残高100のうち1年以内に返済予定の残高は20である。借入金を短期と長期に振り替える決算整理仕訳を示しなさい。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1借入金100短期借入金20
長期借入金80

貸付・借入の短期と長期とは

短期」とは、1年以内に回収又は返済することをいいます。

長期」とは、1年を超えた後に回収又は返済することをいいます。

(補足)短期と長期に区分する理由

※簿記2級の範囲外

1年以内に回収又は返済できるかどうかで短期と長期に区分し、それぞれを「貸借対照表」の「流動資産・固定資産(貸付金の場合)」又は「流動負債・固定負債(借入金の場合)」に区分することで、「1年以内に回収予定の貸付金や返済予定の借入金がどれ位あるのか」に関する有用な情報を、債権者や投資家(株主)などの「利害関係者」に提供するためです。

債権者や投資家は、短期と長期とに区分された貸借対照表を分析することで、今後の意思決定に役立てることができます。

(参考)「正常営業循環基準」と「1年基準」

※簿記2級の範囲外

上記の「1年以内に回収・返済予定かどうか」で短期と長期に区分する流動資産・負債と固定資産・負債の判定基準を「1年基準」といいます。

その他の判定基準として「正常営業循環基準」があり、この2つの基準に基づいて、各資産科目・負債科目を流動・固定に分類して貸借対照表に表示します。

仕訳方法

「決算整理仕訳」として貸付金勘定を「長期貸付金」と「短期貸付金」へ振り替えます。

同様に「決算整理仕訳」で借入金勘定を「長期借入金」と「短期借入金」へ振り替えます。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
貸付金の振替短期貸付金×××貸付金×××
長期貸付金×××
借入金の振替借入金×××短期借入金×××
長期借入金×××

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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