資産の流動固定区分を解説|正常営業循環基準と一年基準

お金

資産の区分には、流動資産と固定資産があります。

この区分の方法について、「正常営業循環基準」と「一年基準」という2つの基準があります。

本記事では、これらの用語を解説するとともに流動資産と固定資産の区分について解説します。

資産とは

資産とは簡単に言うと「お金がどれだけあり、また、将来、現金として入金されそうなお金や提供を受けるモノやサービスがどれだけあるのか」を表します。

次の貸借対照表には、資産の区分に表示される勘定科目が現金及び預金から貸倒引当金まで22種類掲載(会計上の用語で「表示」といいます。)されています。上記の貸借対照表では22種類ですが、あるサイトによると資産の科目だけで、60種類近くもありました。

貸借対照表

資産区分

会社によっては、代表的な科目では適切に取引を表現できないケースもあるでしょうから、その場合には適切な科目名称を考えて設定することもできます。そういったケースも含めると、表示科目というものは「非常に多い」と感じます。

従って、この科目をもう少し別の視点から整理したいという要求が生じます。

資産を分類して区分することから「資産区分」といいます。

流動資産と固定資産

どのように区分するのかというと、「流動資産」と「固定資産」に分けます。

具体的には次の2つの視点、「正常営業循環基準(せいじょうえいぎょうじゅんかんきじゅん)」と「一年基準(いちねんきじゅん)」で区分します。

正常営業循環基準

正常営業循環基準とは、会社の主目的たる営業取引によって発生する科目かどうか」という視点による資産の区分基準をいいます。

一年基準

一年基準とは、「貸借対照表作成日の翌日から数えて1年以内に現金として入金(回収)されるかどうか。」という視点による資産の区分基準をいいます。

区分の方法と理由

上記の2つの視点から考えて、どちらかに該当する場合には「流動資産」、両方とも該当しない場合には「固定資産」として区分されることとなります。

理由

会社というものはビジネスを通じて利益を得ることが目的となります。従って、会社の事業目的である営業取引(モノ・サービスの製造・販売など)によって生じた取引(勘定科目)なのかどうか、という視点は言うまでもなく重要です。

また、会社に出資する投資家(株主)やお金を貸している金融機関、債権者にとっては、資産に計上されている科目が将来、現金として入金されるといってもどの位の予定なのか、1年後なのか10年後なのか、50年先なのか、といった情報は重要です。なぜならば、そのような情報があれば、会社に出資してもいいかどうか、貸したお金を返してもらえそうなのかどうか、といったことを判断することができるからです。

そして貸借対照表は年度単位で作成することが制度上求められるため、1年以内かどうかで区分する、ということになります。

流動資産と固定資産との区分の判断ポイント

「流動」と「固定」という言葉についてイメージできましたでしょうか。

もう一度、「流動資産」と「固定資産」との区分の判断となるポイントを説明すると次の通りです。

(1)流動資産か固定資産かどちらに区分するのかは、まず「1.正常営業循環基準」で判定し、Yesであれば流動資産になります。

(2) (1)でNoの場合は「2.一年基準」で判定し、Yesであれば流動資産、Noであれば固定資産に区分します。

具体例

ここでは「受取手形と売掛金」「有価証券」について具体例を示します。

受取手形と売掛金

受取手形も売掛金も、通常の営業取引で会社が扱っている製品やサービスをお客さんに販売したときに、現金ではなく、例えば1ヶ月後や2ヶ月後など、会社とお客さんとの契約によって決めた、将来のある時期に、お金を回収するといった場合に使用する科目です。

会社の主目的たる営業取引で使用する科目であることから、正常営業循環基準で判定した結果、流動資産に区分します。

有価証券

有価証券とは、株式や国債、社債等のことです。

会社は有価証券を様々な理由で保有します。

例えば、資産運用上、頻繁に売買するために保有する場合もあれば、債券の満期まで保有するケース、取引先との関係を円滑にする等、事業遂行上の目的のため保有するケース、子会社化するため保有するケース、等、様々な保有目的が存在します。

そこで、有価証券を「保有目的に応じて科目もいくつか用意しておき、保有目的に従って流動資産と固定資産に区分する」という考えになります。

どのような表示科目があるのか、といいますと「有価証券、投資有価証券、関係会社株式、関係会社社債、出資金」といった表示科目が存在します。

これらの科目のうち、有価証券以外の科目は固定資産に区分します。

なぜこのような区分になるのかは次の通り説明できます。

まず、有価証券の売買は、証券会社等、一部の会社を除き、一般的には会社の主目的たる営業取引で使用する科目ではないことから、正常営業循環基準で判定した結果、流動資産にはなりません。

そこで次に一年基準で考えます。

保有目的のうち、日常的に売買を繰り返す目的(トレーディング目的)で保有している有価証券、および1年以内に満期が到来する債券が流動資産として区分されます。これらは「有価証券」という科目で貸借対照表に表示します。

これに対して、例えば満期まで保有する目的で取得した債券は、1年以内に満期が到来する場合には一年基準で有価証券として流動資産となりますが、満期まで1年を超える場合には、固定資産の区分に「投資有価証券」として表示します。

また、事業遂行目的で保有する株式や子会社化を目的として保有する株式であれば、長期保有が想定されるため、1年基準により「投資有価証券」「関係会社株式」として固定資産に区分表示します。

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