会計入門 資産の区分、受取手形と売掛金、有価証券

更新日:2020年3月3日
作成日:2012年4月14日

前回、「会計入門その4~資産と負債、純資産の関係」では、資産、負債、純資産とは何か、およびこれらの関係について説明しました。

今回から貸借対照表の区分(資産、負債、純資産)と表示科目について解説していきます。今回は資産の区分(流動資産と固定資産)について解説します。また、資産科目のうち、受取手形、売掛金、有価証券について解説します。

「流動資産」と「固定資産」

前回、資産について次のように説明しました。

「お金がどれだけあり、また、将来、現金として入金されそうなお金や提供を受けるモノやサービスがどれだけあるのか。」

上記の貸借対照表では資産の区分に表示される勘定科目が現金及び預金から貸倒引当金まで22種類掲載(会計上の用語で「表示」といいます。)されています。上記の貸借対照表では22種類ですが、あるサイトによると資産の科目だけで、60種類近くもありました。

会社によっては、代表的な科目では適切に取引を表現できないケースもあるでしょうから、その場合には適切な科目名称を考えて設定することもできます。そういったケースも含めると、表示科目というものは「非常に多い」と感じます。

従って、この科目をもう少し別の視点から整理したいという要求が生じます。ではどういった視点から区分するのかというと、「流動資産」と「固定資産」に分けます。

具体的には次の2つの視点、「正常営業循環基準(せいじょうえいぎょうじゅんかんきじゅん)」と「一年基準(いちねんきじゅん)」で区分します。

  • 1.正常営業循環基準:会社の主目的たる営業取引によって発生する科目かどうか。
  • 2.一年基準:貸借対照表作成日の翌日から数えて1年以内に現金として入金(回収)されるかどうか。

上記の2つの視点から考えて、どちらかに該当する場合には「流動資産」、両方とも該当しない場合には「固定資産」として区分されることとなります。

会社というものはビジネスを通じて利益を得ることが目的となります。従って、会社の事業目的である営業取引(モノ・サービスの製造・販売など)によって生じた取引(勘定科目)なのかどうか、という視点は言うまでもなく重要です。

また、会社に出資する投資家(株主)やお金を貸している金融機関、債権者にとっては、資産に計上されている科目が将来、現金として入金されるといってもどの位の予定なのか、1年後なのか10年後なのか、50年先なのか、といった情報は重要です。なぜならば、そのような情報があれば、会社に出資してもいいかどうか、貸したお金を返してもらえそうなのかどうか、といったことを判断することができるからです。

そして貸借対照表は年度単位で作成することが制度上求められるため、1年以内かどうかで区分する、ということになります。

「流動」と「固定」という言葉についてイメージできましたでしょうか。

もう一度、「流動資産」と「固定資産」との区分の判断となるポイントを説明すると次の通りです。

<流動資産と固定資産との区分の判断ポイント>

(1)流動資産か固定資産かどちらに区分するのかは、まず「1.正常営業循環基準」で判定し、Yesであれば流動資産になります。

(2) (1)でNoの場合は「2.一年基準」で判定し、Yesであれば流動資産、Noであれば固定資産に区分します。

※資産の区分については、固定資産をさらに「有形固定資産」、「無形固定資産」、「投資その他の資産」に区分する、というもう一つの論点があります(ページ最下部の関連リンクよりアクセスできます)。

※繰延資産は会計の入門として位置づけている当サイトでは説明しません。

以上で流動資産と固定資産の区分について説明が終わりました。

次は上記の貸借対照表に表示されている資産科目について説明していきます。

受取手形と売掛金

受取手形売掛金(うりかけきんと読む)も、通常の営業取引で会社が扱っている製品やサービスをお客さんに販売したときに、現金ではなく、例えば1ヶ月後や2ヶ月後など、会社とお客さんとの契約によって決めた、将来のある時期に、お金を回収するといった場合に使用する科目です。

会社の主目的たる営業取引で使用する科目であることから、正常営業循環基準で判定した結果、流動資産に区分します。

受取手形や売掛金の金額は、製品やサービスを販売した場合に増加します。

また、お金を回収して現金化された場合に減少します。

ただし、お客さんが倒産等の理由でお金をもらえない可能性があります(これを「貸し倒れ(かしだおれ)」といいます)。

手形は、銀行と会社との間で当座勘定取引契約を締結していないと発行(振出)することができず、また、売却(譲渡)しやすいといった性質から売掛金よりも安全性が高いといえます。

例えば、5ヶ月後に現金化される手形を受け取った場合、もう少し早く現金化したい時には銀行に持っていけば買い取ってもらうことができます。ただし5ヶ月後の回収日(満期)までの期間に応じて利息を取られますので、その分、回収できるお金は少なくなります(これを「割引」といいます)。

それに対して売掛金は、会社とお客さんとの間で取り交わした約束のみです。契約書や注文書で文書化している場合もあれば、中には口約束だけといったケースもあります。

従って会社がお客さんに製品やサービスを販売するため契約する場合には、「お客さんが払うだけのお金を持っているのか」「どの位払うことができるのか」といった「信用調査(しんようちょうさ)」を行います。

その結果に応じて、販売する金額の上限を設定します(これを「与信(よしん)設定」といいます)。

有価証券

有価証券(ゆうかしょうけん)とは、株式や国債、社債等のことです。

有価証券のうち、売買することを目的として保有しているものや、売買を目的としてはいないが、1年以内に満期の到来する債券を「有価証券」として計上し、流動資産として区分します。

そして、それ以外の有価証券は別の科目で区分します。

【補足】つまり、有価証券でありながら「有価証券」という流動科目に計上しないことがある、ということです。株式や国債、社債であれば全て有価証券として流動資産に区分して計上するわけではありません。間違えやすいのでご注意下さい。

会社は有価証券を様々な理由で保有します。

例えば、資産運用上、頻繁に売買するために保有する場合もあれば、債券の満期まで保有するケース、取引先との関係を円滑にする等、事業遂行上の目的のため保有するケース、子会社化するため保有するケース、等、様々な保有目的が存在します。

そこで、有価証券を「保有目的に応じて科目もいくつか用意しておき、保有目的に従って流動資産と固定資産に区分する」という考えになります。

どのような表示科目があるのか、といいますと「有価証券、投資有価証券、関係会社株式、関係会社社債、出資金」といった表示科目が存在します。

これらの科目のうち、有価証券以外の科目は固定資産に区分します。

なぜこのような区分になるのかは次の通り説明できます。

まず一年基準で考えると、日常的に売買を繰り返す目的(トレーディング目的)で保有している有価証券、および1年以内に満期が到来する債券が流動資産として区分することが相応しいからです。

これに対して、有価証券以外の勘定科目を考えてみた場合、例えば満期まで保有する目的で取得した債券は、1年以内に満期が到来する場合には一年基準で有価証券として流動資産となりますが、満期まで1年を超える場合には、同様に一年基準で考えて固定資産の区分に表示します(表示科目は投資有価証券)。

また、事業遂行目的で保有する株式や子会社化を目的として保有する株式であれば、長期保有が想定されるため、1年基準により固定資産として表示されます(関係会社株式として貸借対照表に表示)。

関連記事

ページトップへ