借入金とは|仕訳を分かりやすく解説(簿記3級)

記事最終更新日:2024年1月13日
記事公開日:2021年8月5日

※本記事の一部では、簿記2級や会社法に関する実務に役立つ知識を解説しています。

「借入金」は簿記3級で学習しますが、「貸付金」と比較すると、ほとんどの会社で銀行から借入れを行うことから、経理実務上、より重要な勘定科目といえます。

本記事では、「借入金」の仕訳について、簿記3級の試験範囲を中心に例を示して分かりやすく解説します。

仕訳例

<仕訳例>
4/1 銀行から200を借入れ、当座預金に振り込まれたことを確認した(借入条件 ①借入期間:1年 ②年利率:6% ③利払日:7/31、11/30及び3/31 ※利息計算は月割りとする)。
7/31 当座預金から利息を支払った。
11/30 当座預金から利息を支払った。
12/31 決算日を迎えた。未経過利息(利息の未払額)を計上する。
1/1 翌期首。再振替仕訳を記帳する。
3/31 借入れの返済日が到来したため、借入金の元本及び利息について指定の銀行口座に当座預金から振り込んだ。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
4/1当座預金200借入金200
7/31支払利息4当座預金4
11/30支払利息4当座預金4
12/31支払利息1未払利息※1
※「未払費用」でも正解(1/1も同様)
1/1未払利息1支払利息1
3/31借入金200当座預金204
支払利息4

借入金とは

借入金」とは、金銭を他の会社から借り入れた場合に発生する、利息や借り入れた資金(キャッシュ)を返済する義務(債務)のことをいいます。

(参考)多額の借入れと会社法

※簿記3級の範囲外の論点

債権者保護の見地から、会社法では、会社規模に比して多額の借入れを行う場合には、取締役会を設置する会社は事前に「取締役会」による決議を必要とするように定めています。

勘定科目の属性

「借入金」は、返済日に現金を支払う「将来の支払い義務」であることから、「借入金」は「負債に属する勘定科目」に分類されます。

従って、「取引の8要素」のうち「負債」の仕訳に基づいて、「借入金」の増加は貸方に記入し、「借入金」の減少は借方に記入します。

仕訳方法

以下、活動別に解説します。

借入れと返済

銀行等と金銭貸借契約を締結して借入れを実行した場合、増加する「借入金」を貸方に記入するとともに、入金された「現金・預金」を借方に記入します。

借り入れた資金を返済した場合には、減少する「借入金」を借方に記入するとともに、支払った「現金・預金」を貸方に記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
借入れ現金・預金×××借入金×××
返済借入金×××現金・預金×××

利息の支払い

「利息の支払い」はキャッシュが減少する要因であるため、会計上、「費用の発生」として「取引の8要素」に従って「支払利息」を借方に記入します。

貸方には支払手段となる「現金・預金」を記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
利息の支払い支払利息×××現金・預金×××

支払利息の計算

簿記3級では「月割り計算」が出題されます。「月割り計算」による借入利息額は、年間の利息額(借入金元本 × 年利率)を12ヶ月で割って計算した「1ヶ月当たりの利息額」に「経過月数」を乗じて計算します。

未払利息の計上

決算日時点において、利息を支払っていない月が存在する場合には、「利息の未払い」として「未払利息又は未払費用(負債に属する勘定科目)」を貸方に記入し、借方には「支払利息」を記入することで、「未経過利息」を計上します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
未経過利息の計上支払利息×××未払利息・未払費用×××
※「決算整理仕訳」として決算日に記帳する。

再振替仕訳

「翌期首(決算日の翌日)」に、上記の未経過利息の仕訳について、貸借反対の仕訳(再振替仕訳)を記帳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
再振替仕訳未払利息・未払費用×××支払利息×××

(簿記2級)貸借対照表上の表示科目

1年以内に返済予定かどうかによって、B/S上では、「借入金」を流動負債と固定負債に区分して表示するため、「借入金」の期末残高を「短期借入金」と「長期借入金」に振り替える仕訳を決算日に記帳します。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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