10-4 通信費・収入印紙・消耗品費

通信費とは

通信費(つうしんひ)とは、その名の通りインターネットや電話回線を使用して通信に要した支出をいいます。

例えばNTTやau、ソフトバンク、その他SIMフリーの回線業者を利用したスマートフォンやPCによるデータ通信や、固定電話にかかる通信料金が、通信費に該当します。

その他、代表的な取引として、「切手」が存在します。

通信費の仕訳

通信費が発生するような取引は、「通信費(費用に属する勘定科目)」で仕訳します。

借方に「通信費」を記入し、貸方には現金や預金、未払金などの勘定科目を記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
通信費の発生通信費×××現金預金など×××

取引の8要素

収入印紙とは

収入印紙(しゅうにゅういんし)とは、領収書や契約書などの書類に張り付ける切手に似た紙面をいいます。

収入印紙を購入して、対象となる書類に貼るなどの手続きを行うことで印紙税と言われる税金を国に納めたことになります。

印紙税法といわれる法律によって、対象となる書類や貼る収入印紙の金額などを定めています。

収入印紙の仕訳

収入印紙を購入した場合には、「租税公課(費用に属する勘定科目)」で仕訳します。

借方に「租税公課」を記入し、貸方には現金や預金、未払金などの勘定科目を記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
収入印紙の購入租税公課×××現金預金など×××

取引の8要素

貯蔵品の仕訳

決算時に切手や収入印紙などの在庫が存在する場合には、切手や収入印紙の在庫をカウントし、在庫の金額を「通信費」や「租税公課」から 「貯蔵品(資産に属する勘定科目)」に振り替える仕訳を記帳します。

この仕訳によって、切手や収入印紙に関する費用は使用したものの金額だけを計上し、未使用の切手や収入印紙は貯蔵品として資産計上します。

翌期首には再振替仕訳を行い、「貯蔵品」から「通信費」「租税公課」へ振り替えます。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
切手在庫のカウント貯蔵品×××通信費×××
収入印紙在庫のカウント貯蔵品×××租税公課×××
翌期首通信費×××貯蔵品×××
租税公課×××

取引の8要素

振替仕訳と再振替仕訳

上記で「振替仕訳」「再振替仕訳」という言葉が登場しました。

(1)振替仕訳とは

振替仕訳(ふりかえしわけ)とは、勘定科目を振り替える(変更する)ための仕訳をいいます。

期中に購入した切手・収入印紙は「通信費」「租税公課」を借方に記入して仕訳します。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
通信費×××現金預金など×××
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
租税公課×××現金預金など×××

しかし、決算時に未使用の切手・収入印紙は「貯蔵品」で仕訳しなければなりません。

そこで、期中に「通信費」「租税公課」で仕訳した切手・収入印紙のうち、未使用の金額は「貯蔵品」に変更するため、振替仕訳を記帳します(仕訳を再掲します)。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
切手在庫のカウント貯蔵品×××通信費×××
収入印紙在庫のカウント貯蔵品×××租税公課×××

取引の8要素

「通信費(費用)」「租税公課(費用)」を貸方に記入してそれぞれの残高を減少し、代わりに借方に「貯蔵品(資産)」を記入して残高を増加させています。

振替仕訳を記帳することを「振り替える」といいます。

(2)再振替仕訳とは

再振替仕訳(さいふりかえしわけ)とは、決算時に記帳した振替仕訳の反対仕訳を翌期首に記帳することをいいます。

反対仕訳とは貸借反対の仕訳をいいます。

決算時に未使用の切手・収入印紙について、「通信費」「租税公課」から「貯蔵品」に振り替えました。

この仕訳を、期中に仕訳した「通信費」「租税公課」に戻すため、翌期首に「貯蔵品」から「通信費」「租税公課」へ「再度」振り替える仕訳(再振替仕訳)を記帳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
翌期首通信費×××貯蔵品×××
租税公課×××

取引の8要素

消耗品費とは

消耗品費(しょうもうひんひ)とは、消耗品を消費した場合の支出額をいいます。

具体的には、ボールペンやクリップ、コピー用紙などの文房具や蛍光灯、電池などを消耗品といいます。

消耗品費の仕訳

消耗品に関する取引には「消耗品費(費用に属する勘定科目)」を使用します。

消耗品を購入した場合には「消耗品費」を借方に記入し、貸方には現金、預金、未払金などを記入します。

切手や収入印紙とは異なり、決算時に在庫のカウントは行いません。購入したものを全額費用に計上します。

取引仕訳する金額借方科目借方金額貸方科目貸方金額
消耗品の購入購入額消耗品費×××現金、預金の勘定科目など×××

取引の8要素

仕訳問題

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1通信費5,000現金5,000
2通信費100,000普通預金100,000
3租税公課20,000現金20,000
4消耗品費10,000未払金10,000
5貯蔵品8,000通信費2,000
租税公課6,000
6通信費2,000貯蔵品8,000
租税公課6,000
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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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著者プロフィール

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