3-8 固定予算とシュラッター図(予算差異と操業度差異)
<出題可能性・重要度>★★★★☆
ここでは、固定予算のシュラッター図を解説します。すでに、変動予算のシュラッター図は「予算差異・操業度差異とシュラッター図」までの解説で学習済みのため、新しく覚えることは、ほとんどありません。予算差異と操業度差異の計算式とシュラッター図の描き方は、変動予算と異なりますが、固定予算の方が単純な構造です。
固定予算の予算差異と操業度差異
固定予算の予算差異と操業度差異の計算式は、次の通り。
<Check>予算差異と操業度差異(固定予算)の計算式
- ・予算差異 = 製造間接費予算額 - 製造間接費実際発生額
- ・操業度差異 = 製造間接費予定配賦額 - 製造間接費予算額
変動予算のように、予算許容額を求めることはありません(変動費が存在せず、操業度の増減に応じて製造間接費が増減することがなく、計算する意味がないため)。「製造間接費予算額」とは、月間の予算です。年間の製造間接費予算を12ヶ月で除したものです。
固定予算のシュラッター図
次に、固定予算のシュラッター図を示します。
最後に、例題を掲載します。変動予算の例題と同じ設定にしました。変動予算のシュラッター図も再掲しますので、比較して理解すれば、覚えやすくなります(変動予算と異なる箇所を太字で表示)。
<Check>例題-予算差異と操業度差異(固定予算)
- 当社は実際原価計算を採用しており、ズボン製造の直接作業時間を配賦基準として製造間接費を各製品に配賦している。
- (設定)
- ・年間の予定直接作業時間 48,000時間(基準操業度)
- ・当月の実際直接作業時間 4,300時間
- ・実際製造間接費 1,720,000円 ※
- ※(内訳)間接材料費720,000円 間接労務費650,000円 間接経費 350,000円
- ・年間製造間接費予算 17,280,000円
(計算)
- ・月間基準操業度 = 年間基準操業度48,000時間 ÷ 12ヶ月 = 4,000時間
- ・予定配賦率 = 年間製造間接費予算17,280,000円 ÷ 基準操業度48,000時間 = @360円
- ・予定配賦額 = 予定配賦率@360円 × 実際操業度4,300時間 = 1,548,000円
- ・製造間接費予算額 = 年間製造間接費予算17,280,000円 ÷ 12ヶ月 = 1,440,000円
- ・製造間接費配賦差異 = 予定配賦額1,548,000円 - 実際発生額1,720,000円 = △172,000(不利差異・借方差異)
- ・予算差異 = 製造間接費予算額1,440,000円 - 実際製造間接費1,720,000円 = △280,000円(不利差異・借方差異)
- ・操業度差異 = 予定配賦額1,548,000円 - 製造間接費予算額1,440,000円 = +108,000円(有利差異・貸方差異)
(仕訳)
- (消費 ←製造投入とも)
- 製造間接費 1,720,000/材料 720,000
- /賃金・給料 650,000
- /現金・未払金など 350,000 ←間接経費
- (予定配賦)
- 仕掛品 1,548,000/製造間接費 1,548,000
- (原価差異)
- 製造間接費配賦差異 172,000/製造間接費 172,000
- 予算差異 280,000/製造間接費配賦差異 172,000
- /操業度差異 108,000
<固定予算のシュラッター図>
<変動予算のシュラッター図>
固定予算の予算差異と操業度差異の解説は、以上です。
本章は、以上で終了です。第4章では、部門別計算を解説します。
