6-4 等級別総合原価計算
<出題可能性・重要度>★★★☆☆
次に、「等級別総合原価計算」を解説します。
等級別総合原価計算とは
等級別総合原価計算とは、同種の製品だが、形状やサイズなどが異なる製品を連続生産(大量生産)する場合に適用する製品別計算をいいます。
問題の解き方は、「単純総合原価計算」に「等価係数」が追加されるだけです。「単純総合原価計算」が解ければ、難しくありません。
等級製品
等級製品とは、「S,M,Lサイズのズボン」のように、形状やサイズが異なる同種の製品をいいます。
「等級別総合原価計算」とは、等級製品の原価計算です。1つのボックス図で、複数の等級製品の原価を計算します。
等価係数と使い方
等価係数とは、形状やサイズを基準とする、原価を案分するための等級製品の比率をいいます。
等価係数の使い方は、次の図の通り。
はじめに、「S、M、Lサイズの3種類のズボン(等級製品)」を製造している場合で、図の通り、それぞれ400本、500本、300本完成した場合を考えます。
月末仕掛品原価と完成品原価を求めるところまでは、あくまでも「1種類のズボン」として、「単純総合原価計算」と同じ計算を行います。ボックス図に書く完成品数量は「400 + 500 + 300 = 1,200本」です。
次に、「単純総合原価計算」と同様に、ボックス図を使って、月末仕掛品原価と完成品原価を計算します。
そして、ボックス図で計算した完成品原価を、図の「計算式の分母1,175」で割り算して、3種類の「計算式の分子」を、それぞれ掛け算します。
例えば、3サイズの合計完成品原価が1,175,000円であった場合、Sサイズの完成品原価は、
完成品原価1,175,000円 ÷ 1,175 × 300(0.75×400) = 300,000円
と計算します。MサイズとLサイズも同じです(500,000円と375,000円になります)。
<用語>等級別総合原価計算・等級製品・等価係数
- ・等級別総合原価計算 = 同種の製品だが、形状やサイズなどが異なる製品を連続生産(大量生産)する場合に適用する製品別計算
- ・等級製品 = S,M,Lサイズのズボンのように形状やサイズが異なる同種の製品
- ・等価係数 = 形状やサイズを基準とする原価を案分するための等級製品の比率
<Check>等級製品の完成品原価の計算方法
- ・各サイズ(各等級製品)の「等価係数×完成品数量」をセットで計算します。
- ・等級製品の完成品原価 = 完成品総合原価 × {(等価係数×完成品数量)÷ 各等級製品の(等価係数×完成品数量)の累計}
- →解説の図を見て、同じように計算用紙に書いて計算すること
例題(等級別総合原価計算と等価係数)
それでは例題です。仕損費の度外視法は、「単純総合原価計算」の例題とは、別パターンの計算方法に設定しました。
※本例題のように、等級製品に分ける前の完成品原価を「完成品総合原価」という場合があります。
<Check>問題例-総合原価計算(等級別総合原価計算と等価係数)>
- 当社は1種類のズボン(S、M、Lの3サイズ)を製造しており、原価計算制度として等級別総合原価計算を採用している。
- 今月の原価活動の状況と必要な数値資料は次の通り(カッコ内の数字は加工費の進捗度と原価)。
- (設定)
- ・原料費は製造工程の始点に投入し、加工費は平均的に投入する。
- ・原価を完成品と月末仕掛品に配分する方法として、先入先出法を用いる。
- ・仕損は工程の最後で、かつ正常な範囲で発生した(以下、「正常仕損」とする)。
- (生産データ)
- ・月初仕掛品 800本(50%) 正常仕損 100本(終点) 月末仕掛品 1,000本(30%) 完成品 2,500本
- ・完成品の内訳:Sサイズ500本 Mサイズ1,300本 Lサイズ700本
- (原価データ)
- ・月初仕掛品原価 92,000円(347,850円) 当月製造費用 350,000円(2,162,500円)
- (等価係数)
- ・Sサイズ:Mサイズ:Lサイズ= 0.75:1.0:1.25
- (問1)当月の完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めましょう。
- (問2)各等級製品の製品単価を求めましょう(小数点以下第2位まで求めること)。
- (問3)各等級製品の完成品原価計上の仕訳を示しましょう(「S製品」「M製品」「L製品」の各勘定科目を使用すること)。
<Check>解答(問1)-完成品総合原価と仕掛品原価)
- 完成品総合原価 2,567,850円
- 月末仕掛品原価 384,500円
<Check>解答(問2)-各等級製品の製品単価)
- S製品 755.25円
- M製品 1,007.00円
- L製品 1,258.75円
<Check>解答(問3)-等級製品の完成品原価計上の仕訳)
- (借方)S製品 377,625 (貸方)仕掛品 2,567,850
- (借方)M製品 1,309,100
- (借方)L製品 881,125
単純総合原価計算で未解説だった論点を中心に、解説します。
解説1-仕損費の度外視法
例題文を読むと、「仕損は工程の最後で、かつ正常な範囲で発生した」と書いてあります。例題のうち、問1に関係する部分を再掲します。
<Check>(再掲)問題例-総合原価計算(等級別総合原価計算と等価係数)>
- 当社は1種類のズボン(S、M、Lの3サイズ)を製造しており、原価計算制度として等級別総合原価計算を採用している。
- 今月の原価活動の状況と必要な数値資料は次の通り(カッコ内の数字は加工費の進捗度と原価)。
- (設定)
- ・原料費は製造工程の始点に投入し、加工費は平均的に投入する。
- ・原価を完成品と月末仕掛品に配分する方法として、先入先出法を用いる。
- ・仕損は工程の最後で、かつ正常な範囲で発生した(以下、「正常仕損」とする)。
- (生産データ)
- ・月初仕掛品 800本(50%) 正常仕損 100本(終点) 月末仕掛品 1,000本(30%) 完成品 2,500本
- ・完成品の内訳:Sサイズ500本 Mサイズ1,300本 Lサイズ700本
- (原価データ)
- ・月初仕掛品原価 92,000円(347,850円) 当月製造費用 350,000円(2,162,500円)
- (問1)当月の完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めましょう。
仕損費の度外視法の<Check>を再掲します。
<Check>(再掲)度外視法
- (工程の途中で発生)
仕損費・減損費は完成品と月末仕掛品の両方に負担させる
→計算では仕損・減損は存在しないとみなして、ボックス図に仕損費・減損費の換算量を反映せずに計算する。 - (工程の最後で発生)
仕損費・減損費は完成品のみに負担させる
→計算では仕損・減損は完成品とみなして、ボックス図では仕損費・減損費の換算量を完成品に含めて計算する。
工程の最後で発生したので、ボックス図では、仕損費・減損費の換算量を完成品に含めて計算します。従って、解答のボックス図の通りになります(ボックス図を再掲します)。
<Check>(再掲)解答(問1)-完成品総合原価と仕掛品原価)
- 完成品総合原価 2,567,850円
- 月末仕掛品原価 384,500円
完成品2,500本に仕損費100本を足すので、2,600本分の原価を完成品に集計することになります。
ただし、完成品数量はあくまでも2,500本です。製品単価は完成品原価を2,500本で除して計算します。
本問は「等級別総合原価計算」のため、等級製品の単価計算になりますが、やはり、同じく仕損費100本は含めずに計算します。
解説2-等級製品の製品単価の計算
例題の(問2)関係部分と(問1)の解答を再掲します。
<Check>(再掲)問題例-総合原価計算(等級別総合原価計算と等価係数)>
- 当社は1種類のズボン(S、M、Lの3サイズ)を製造しており、原価計算制度として等級別総合原価計算を採用している。
- 今月の原価活動の状況と必要な数値資料は次の通り(カッコ内の数字は加工費の進捗度と原価)。
- (等価係数)
- ・Sサイズ:Mサイズ:Lサイズ= 0.75:1.0:1.25
- (問2)各等級製品の製品単価を求めましょう(小数点以下第2位まで求めること)。
<Check>(再掲)解答(問1)-完成品総合原価と仕掛品原価)
- 完成品総合原価 2,567,850円
- 月末仕掛品原価 384,500円
問1で、完成品総合原価を求めた後、等価係数を用いて次の図表を描いて、各等級製品(S、M、L)の完成品原価、そして等級製品ごとの製品単価を計算します。
製品単価の計算では、完成品数量を用います。間違えて、等価係数×完成品数量の値を使用しないように注意。
例えば、Sサイズの場合には、完成品数量500本で除します。間違えて375で除さないこと。
<Check>(再掲)解答(問2)-各等級製品の製品単価)
- S製品 755.25円
- M製品 1,007.00円
- L製品 1,258.75円
解説3-等級製品の完成品原価計上の仕訳
(問3)に関係する部分を、再掲します。
<Check>(再掲)問題例-総合原価計算(等級別総合原価計算と等価係数)>
- (問3)各等級製品の完成品原価計上の仕訳を示しましょう(「S製品」「M製品」「L製品」の各勘定科目を使用すること)。
単一の製品について、完成品原価を計上する仕訳は「製品 ×××/仕掛品 ×××」です。
今回は等級製品であり、かつ勘定科目については「S製品」「M製品」「L製品」を使用する、という問題の指示のため、次の解答の通りになります。
<Check>(再掲)解答(問3)-等級製品の完成品原価計上の仕訳)
- (借方)S製品 377,625 (貸方)仕掛品 2,567,850
- (借方)M製品 1,309,100
- (借方)L製品 881,125
「等級別総合原価計算」の解説は以上です。次に、「組別総合原価計算」を解説します。
