受取手形とは|勘定科目と仕訳の基本を解説(簿記3級)

記事最終更新日:2024年5月15日
記事公開日:2017年11月5日

※本記事の一部で簿記2級の試験範囲を解説しています。

受取手形(勘定科目)について仕訳を中心に解説します。

※手形については下記の記事で解説

受取手形とは

受取手形」は資産に属する勘定科目です。商品販売の代金として受け取った手形を記帳する際に使用します。

「約束手形」と「為替手形」のどちらを受け取った場合にも使用します。

勘定科目の性質

受取手形は売掛金と同じく将来に現金として回収されることから「会社財産」です。従って、「資産に属する勘定科目」に分類されます。

受取手形の仕訳

取引別に解説します。

1.商品販売時の仕訳

販売代金として手形を受け取った場合には受取手形(資産)が増加するため、借方に「受取手形」を記入し、貸方に売上を記入します。

<仕訳例>
商品100の代金として約束手形を受け取った。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
受取手形100売上100

2.現金回収時の仕訳

受取手形の減少のため「受取手形」を貸方に記入し、借方には現金、普通預金などを記入します。

<仕訳例>
手形の満期日が到来し、得意先より100が当座預金に振り込まれた。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
当座預金100受取手形100

3.売掛金を手形で回収した時の仕訳

商品を掛けで販売した時に得た売掛金が減少するため、借方に「売掛金」を記入し、受け取った手形を借方に記入します。

<仕訳例>
先日の掛け販売100の代金として、1ヶ月後に満期となる手形を受け取った。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
受取手形100売掛金100

4.手形貸付けを行った場合

商品販売ではなく、お金を貸付けた際に手形を受け取った場合には「手形貸付金」で仕訳します。

<仕訳例>
6ヶ月後に返済を受ける条件で100の貸付けを行い、普通預金から借主の銀行口座へ振り込むとともに手形を受け取った。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
手形貸付金100普通預金100

5.手形を割り引いた場合

※以降は簿記2級の試験範囲

受取手形を減少させ、手数料は「手形売却損」で仕訳するとともに受け取った回収額を現金・預金として仕訳します。

<仕訳例>
銀行で手形100を割引き、手数料3を差し引いた残額が普通預金に振り込まれた。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
普通預金97受取手形100
手形売却損3

6.手形の裏書きを行った場合

取引に応じて「仕入」や「買掛金」を借方に記入するとともに受取手形の減少として仕訳します。

<仕訳例>
商品100を仕入れ、代金として得意先から受け取った約束手形を裏書き譲渡した。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入100受取手形100

7.手形が不渡りになった場合

「受取手形」の減少、「不渡手形」の増加として仕訳します。

<仕訳例>
裏書き譲渡した手形100が不渡りになり、償還請求代金5を現金で支払った。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
不渡手形105受取手形100
現金5

8.手形を更改した場合

更改前の手形を減少させ、更改した手形を増加させます。どちらも「受取手形」で仕訳します。追加利息は「受取利息」で記入します。

<仕訳例>
得意先から手形満期日を延長したいと申し出があり、旧手形額面100に利息5を加算した手形を受け取った。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
受取手形105受取手形100
受取利息5

9.有形固定資産や有価証券の売却代金として手形を受け取った場合

「営業外受取手形」で仕訳します。

<仕訳例>
土地100を95で売却し、代金として手形を受け取った。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
営業外受取手形95土地100
固定資産売却損5

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須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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