4-4 クレジット売掛金

クレジット売掛金とは

クレジット売掛金とは、クレジットカードを利用した売上取引に使用する勘定科目をいいます。

得意先が売上代金の支払にクレジットカードを使用する場合があります。

得意先がクレジットカードによる売上代金の支払いを選択した場合には、商品を販売した会社は、クレジットカード会社(信用会社)に対して売掛金が発生します。

普通の販売取引では、得意先に対して売掛金が発生しますが、クレジットの場合は違います。

例えば販売側がA社、仕入側がB社である場合のクレジットカードを使用した支払に関する取引は次の通り。

売上代金のうち「信用会社が受け取る手数料を差し引いた金額」がA社に入金されます。

信用会社(クレジットカード会社)取引のメリットとデメリット

販売側の会社(上の例ではA社)は販売数を増やすために様々な取り組みを行いますが、その取り組みの一つとして、「購入者が様々な支払方法を選択できるようにする」ことがあります。

そこで得意先がクレジットカードで支払いできるように、信用会社と契約を締結するのです。

もう1つのメリットとして、クレジットカード取引は「売上代金を安全に回収できること」があります。

得意先の中には業績や財政状態が良くない会社も存在します。そのような会社に商品を販売した場合には、得意先が倒産した結果、売上代金を回収できないというケースも考えられます(これを「貸倒(かしだおれ)」といいます。「7-1 貸倒引当金と仕訳」で解説)。

そこで信用会社と契約締結してクレジットカードでの支払方法を選択すれば、販売側は信用会社から代金を回収すればいいことになります。

万が一、得意先が倒産したとしても販売側は信用会社から代金を支払ってもらうことができます。信用会社が倒産する可能性は得意先が倒産する可能性よりもずっと低いので、安全に売上代金を回収することができるのです。

一方でデメリットとしては、貸倒による代金回収できないというリスクを信用会社が引き受けてくれるので、その分、「販売側は手数料を信用会社に支払わなければならない」ということがあります(購入側も信用会社に対して利息を支払います)。

仕訳

商品の販売取引では通常の売掛金勘定ではなく、「クレジット売掛金(資産に属する勘定科目)」で仕訳します。

同時に信用会社へ支払う利息分は「支払手数料(費用に属する勘定科目)」を使って借方に仕訳します。

例えば、100円の商品を販売した際に信用会社へ5円の利息を払う場合には次の通り。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
クレジット売掛金95売上100
支払手数料5

代金回収も含めて、まとめると次の通りです。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
商品の販売クレジット売掛金×××売上×××
支払手数料×××
売上代金の回収現金預金など×××クレジット売掛金×××

取引の8要素

仕訳問題

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1クレジット売掛金485,000売上500,000
支払手数料15,000
2当座預金485,000クレジット売掛金485,000

(解説)
1.クレジット手数料 = 売上500,000円 × 3% = 15,000円

\ SHARE /

著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

詳細はこちら↓
著者プロフィール

☆電子書籍の「0円キャンペーン」
日商簿記テキスト・問題集で実施中。X(旧twitter)で告知します。
「PDCA会計」をフォロー