原則法と簡便法とは|連結キャッシュフロー計算書の用語を解説

会計書類と虫眼鏡

記事公開日:2022年6月23日

連結キャッシュフロー計算書の関連用語としての「原則法と簡便法」は、CF計算書の作成方法に関する用語です。

本記事では、「原則法」と「簡便法」について図を示して具体的に解説します。

連結キャッシュフロー計算書の作成方法

連結キャッシュフロー計算書には、「原則法」「簡便法」という2種類の作成方法が存在します。

原則法とは

原則法とは、各連結会社の「個別キャッシュフロー計算書」を作成し、これらを合算した後、連結会社相互間のキャッシュフローは相殺消去して連結キャッシュフロー計算書を作成する方法をいいます。

「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」では、「連結会社相互間のキャッシュフロー計算書の作成に当たっては、連結会社相互間のキャッシュフローは相殺消去しなければならない」と定めています。当該規定は、原則法による作成を想定しています。

「連結財務諸表規則」にも、次の通り、原則法を示す定めがあります。

<原則法の作成フロー>

原則法

簡便法とは

簡便法とは、各連結会社では個別キャッシュフロー計算書を作成せず、連結損益計算書、連結貸借対照表及びその他の情報から連結キャッシュフロー計算書を作成する方法をいいます。

<簡便法の作成フロー>

簡便法

「連結財務諸表におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」では、連結損益計算書並びに連結貸借対照表の期首残高と期末残高の増減額の分析及びその他の情報から、連結キャッシュフロー計算書を作成することを認めています(47項、及び設例Ⅲ)。

作り方の違い

原則法によると、各連結会社の個別キャッシュフロー計算書を作成しなければなりません。例えば、親会社1社と子会社5社の企業集団だとすると、合計6社分の個別CFを作成するため、事務的な作業負担が大きくなります。

しかし、金融商品取引法に基づき、上場企業が報告する財務諸表の表示方法を規定する「財務諸表等規則」には、「キャッシュ・フロー計算書は、連結財務諸表を作成していない会社が作成するものとする」と定めがあるため、子会社の個別キャッシュフロー計算書は必ずしも作成する必要はありません。

これに対して簡便法では、個別CFは作成せずに連結CFを作成できることから、「簡便法」と名付けられています。

直接法・間接法との違い

「直接法」「間接法」は、キャッシュフロー計算書の区分のうち、「営業活動によるキャッシュフロー」の表示方法に関する用語になります。

会計基準等・参考文献

会計基準等

※2022年6月23日現在。リンク先の会計基準等は最新版でない場合があります。

連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準(企業会計審議会)
連結財務諸表におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針(会計制度委員会報告第8号)(注)
連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則

(注)クリックするとzipファイル(本文と新旧対照表)をダウンロードします。

参考文献

・スタンダードテキスト財務会計論II 応用論点編(第14版) 中央経済社 2021年

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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