未実現損益の消去と連結仕訳を解説
記事最終更新日:2022年10月5日
記事公開日:2022年6月18日
成果連結を学習する際に、最も重要といってもいい位、重要な用語として「未実現損益」があります。
本記事では、連結会社間取引で発生した未実現損益の取り扱いについて、基本的なことを中心に解説します。
未実現損益とは
未実現損益とは、取引高の内部取引で発生した損益のうち、企業集団の外部に販売していない部分をいいます。
取引内容
例えば、連結会社相互間の商品売買取引として親会社が子会社に利益を付加して販売した商品のうち、企業集団の外部に販売されず期末まで保有しているものには、未実現利益が含まれます。
連結財務諸表固有の一時差異
未実現損益を含む資産、負債は、「(個別)財務諸表上の一時差異」だけでなく、「連結財務諸表固有の一時差異」として、税効果会計を適用します。
持分法上の未実現損益
持分法において、投資会社と持分法適用会社(関連会社・非連結子会社)との間の取引で発生した未実現損益も、連結財務諸表上の処理の対象になります。
ただし、本記事で紹介する会計処理とは異なる方法で処理します。
会計処理・基準
連結会社相互間の取引によって取得した棚卸資産、固定資産その他の資産に含まれる未実現損益は、その全額を消去します。ただし、未実現損失については、売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分は消去しません。
未実現損益の金額に重要性が乏しい場合には、これを消去しないことができます。
売手側の子会社に非支配株主が存在する場合には、未実現損益は、親会社と非支配株主の持分比率に応じて、親会社の持分と非支配株主持分に配分します(以上、「企業会計基準第22号 連結財務諸表上に関する会計基準」より)。
連結仕訳
例として、期末商品の未実現利益に関する仕訳を示します。
| 取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 未実現利益の消去 | 期末商品棚卸高 | ××× | 商品 | ××× |
| 非支配株主持分 | ××× | 非支配株主に帰属する当期純損益 | ××× | |
| 繰延税金資産 | ××× | 法人税等調整額 | ××× | |
| 非支配株主に帰属する当期純損益 | ××× | 非支配株主持分 | ××× |
仕訳例
- 子会社(80%支配)が当期末時点で保有する、内部取引により取得した商品残高:200(未実現利益50)。法定実効税率40%。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 期末商品棚卸高 | 50 | 商品 | 50 |
| 非支配株主持分 | 10 | 非支配株主に帰属する当期純損益 | 10 |
| 繰延税金資産 | 20 | 法人税等調整額 | 20 |
| 非支配株主に帰属する当期純損益 | 4 | 非支配株主持分 | 4 |



