商品評価損と仕訳
記事最終更新日:2021年10月12日
記事公開日:2021年9月2日
商品評価損と仕訳を解説します。
商品評価損とは
商品評価損とは、品質低下や陳腐化、市場価格の下落による商品価値の低下に基づく評価損をいいます。
棚卸減耗損との違い
棚卸減耗損とは、棚卸資産の紛失や盗難による損失をいい、帳簿残高と実地棚卸高との差額として計算されます。
計算方法
次の通り。
商品評価損の計算方法
- 商品評価損 = ( @取得原価 - @時価 ) × 実地棚卸数量
品質低下と陳腐化
品質低下とは、時間の経過や管理上の問題から生じる物理的な劣化をいいます。陳腐化とは流行や技術革新、競合品の登場などによる経済的価値の低下をいいます。
期末評価と正味売却価額
棚卸資産は決算期末に評価します。評価の結果、品質低下や陳腐化していると判断された場合、棚卸資産は帳簿価額から正味売却価額まで簿価を切り下げます。
正味売却価額とは、売却市場の時価から見積追加製造原価および見積販売直接経費を控除した金額をいいます。
市場価格の下落と低価法
品質低下や陳腐化が発生していなくとも市場価格など期末時価が取得原価を下回る場合には、棚卸資産は時価で評価します。
このように取得原価と期末時価とを比較し、低い方で評価する方法を低価法といいます。
商品評価損の仕訳
決算整理仕訳として商品評価損勘定で仕訳します。
出来事 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
商品価値の下落 | 商品評価損 | ××× | 繰越商品 | ××× |
P/L上の表示
簿記2級では売上原価の内訳科目として当期商品仕入高や期末商品棚卸高の下に表示します。従って期末商品棚卸高は実地棚卸高ではなく帳簿残高で表示します。
実務では原価性の有無や臨時巨額かどうかといった判断基準により売上原価(製造原価)または特別損失の区分に表示します。
仕訳例
- 1.決算整理仕訳として商品評価損10を計上する。
No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
1 | 商品評価損 | 10 | 繰越商品 | 10 |
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