6-1 販売のつど、売上原価勘定に振り替える方法
簿記3級で学習した商品売買の仕訳方法
簿記3級では、「3分法」によって、「仕入」「売上「繰越商品」で仕訳する方法を学習します。
3分法の特徴は、「売上原価は、仕入勘定で計算するです。
3分法のデメリット
3分法には、「月次や決算の時点まで待たないと売上原価を把握することができない」というデメリットがあります。
「いつでも売上原価を把握できる」というわけではありません。
販売のつど、売上原価を把握する方法とは
そこで、販売のつど、売上原価を把握する方法として、「売上原価勘定を用いて仕訳処理する方法」が今回解説する方法です。
販売のつど、売上原価を把握する方法の仕訳
「売上原価(費用に属する勘定科目)」「商品(資産に属する勘定科目)」「売上(収益に属する勘定科目)」で仕訳します。
※「繰越商品」ではなく、「商品」です。
具体的には、商品の仕入時には「商品」で仕訳します。
そして、販売時には、商品の販売額を「売上」に記入するとともに、販売した商品の仕入額は、「商品」から「売上原価」に振り替えます。
仕訳(まとめ)
各取引を集計する勘定科目をまとめると、次の通りです。
<取引と勘定科目>
- (1)仕入取引:商品勘定
- (2)売上原価の集計:売上原価勘定
- (3)販売取引:売上勘定
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
商品の仕入 | 商品 | ××× | 買掛金など | ××× |
商品の販売 | 売掛金など | ××× | 売上 | ××× |
売上原価 | ××× | 商品 | ××× |
仕訳問題
- 1.A社はB社より商品100個を@¥20,000で仕入れた。支払は掛けとした。
- 2.A社はC社へ商品50個を@¥30,000で掛け販売した。販売商品の仕入単価は1.と同様とする。
- 3.A社は決算を迎えた。
No1 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
1 | 商品 | 2,000,000 | 買掛金 | 2,000,000 |
2 | 売掛金 | 1,500,000 | 売上 | 1,500,000 |
売上原価 | 1,000,000 | 商品 | 1,000,000 | |
3 | 仕訳なし |
解説
3分法では、繰越商品勘定と仕入勘定の間で決算整理仕訳(「しーくり」「くりしー」の仕訳)を行いますが、販売のつど売上原価勘定を用いて仕訳する方法では、 この決算整理仕訳は記帳しません。
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