6-4 出荷基準・着荷基準・検収基準
様々な売上の計上基準について解説します。
売上の計上基準
売上とは、会社が事業として扱っている商品を販売して獲得します。
このように、売上は商品を販売した時に計上します。
売上の認識
しかし、販売とは「いつ」であるのかは、扱っている商品や取引慣行(ビジネス上の習わし)によって異なります。
「売上をどの時点で計上するのか」といった点に関する基準(ルール)を「認識基準」といいます。
そして売上の認識基準には、出荷基準、着荷基準、検収基準などがあります。
出荷基準
出荷基準とは、出荷する時に売上を計上する方法をいいます。
出荷とは、得意先(顧客)の注文に従って商品を倉庫から出庫し、トラックなどで運搬することをいいます。
出荷時点では、顧客の手許には届いていないので、厳密に考えれば顧客には未だ引き渡してはいません。
しかし、次に説明する着荷基準だと売上の計上作業が大変であることや、オーダーメイド品(特注品)ではなく一般大衆向けの大量消費製品であれば、厳しい検品もなく、ほとんど返品なく引渡できます。
出荷基準は、日本では慣行として認められている、最も一般的な売上の認識基準です。
着荷基準
着荷基準(ちゃくにきじゅん)とは、商品が顧客に届いた時点で売上計上する方法をいいます。納品基準や引渡基準も、同様の意味合いと考えて差し支えありません。
スーパーなどで買い物をした場合には、モノの引き渡しと同時に対価を支払います。着荷基準も同様に、モノが引き渡された日に売上を計上します。
検収基準
検収基準とは、ソフトウェア業界でゲームソフトなどに対して適用する、売上の認識基準です。
最新ゲームのプログラムを卸売業者である顧客(いわゆるゲーム会社)に納品した後、顧客はプログラムを、大量に複製してソフトウェアとして、インターネット通販やゲーム販売店といった小売業者を通じて一般消費者へ販売します。
しかし、プログラムはオーダーメイド、すなわち、世界でたった1つのモノです。従って、注文した通りのモノが出来上がったのかどうか、プログラムが納品された後に顧客側自身で検証する必要があります。ソフトウェアを注文した顧客で検証する作業を特に「検収」といいます。
通常は、ソフトウェア開発会社と顧客との間で基本取引契約書や注文書上に、検収期間に関する取り決めを記載しておきます。
そして、検収が終了し、顧客が検収印や検収日付を押印・記載した検収書をソフトウェア開発企業が受け取った時、その検収書に記載された日付で売上を計上します。
仕訳問題
次の取引について仕訳を示しなさい。全て掛け取引とする。
- 1.A社は商品¥1,000,000を得意先に販売した。
- 2.B社は出荷基準に基づき売上計上している。本日の商品出荷高は¥300,000であった。
- 3.C社は出荷した商品100個(@¥20,000)が顧客に届いたことを確認した(着荷基準を採用している)。
- 4.D社は受注ソフトウェア¥500,000の開発を終え、顧客に納品後、検収書を受領した。
| No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 売掛金 | 1,000,000 | 売上 | 1,000,000 |
| 2 | 売掛金 | 300,000 | 売上 | 300,000 |
| 3 | 売掛金 | 2,000,000 | 売上 | 2,000,000 |
| 4 | 売掛金 | 500,000 | 売上 | 500,000 |
解説
出荷基準、着荷基準、検収基準といった売上認識基準の用語や問題文の言葉の使い方に慣れておき、本試験で出題されても対応できるようにしておきましょう。
