6-3 棚卸減耗損と商品評価損
棚卸減耗とは
棚卸減耗とは、商品が紛失や盗難などで減少することをいいます。
棚卸減耗損の計算
商品は、商品毎に受入と払出の都度、商品有高帳に記録して把握しています。
しかし、商品の紛失や盗難があった場合には、商品有高帳の数量(帳簿数量)と実際の商品数量(実地棚卸数量)が一致しません。
この差異を棚卸減耗損として仕訳します。次の式によって計算します。
<棚卸減耗損の計算>
- ( 帳簿数量 - 実地棚卸数量 ) × @原価(単価)
商品評価損とは
商品評価損とは、商品の価値が下落した場合の下落した部分のことをいいます。
期末時点の商品の時価を「正味売却価額(しょうみばいきゃくかがく)」といい、期末時点の売却価額を表します。この正味売却価額が商品原価(仕入れ価格)よりも低い場合には、商品の期末残高を正味売却価額まで引き下げないといけません。
この商品の減少額(損失)を商品評価損といい、次の式で計算します。
<商品評価損の計算>
- ( @原価 - @時価 ) × 実地棚卸数量
棚卸減耗損と商品評価損の仕訳
棚卸減耗損は「棚卸減耗損(費用に属する勘定科目)」、商品評価損は「商品評価損(費用に属する勘定科目)」で、それぞれ仕訳します。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
棚卸減耗損の発生 | 棚卸減耗損 | ××× | 繰越商品 | ××× |
商品評価損の発生 | 商品評価損 | ××× | 繰越商品 | ××× |
仕訳問題
- A社は決算を迎えた。商品の情報は次の通り。
- 1.期首商品棚卸高¥350,000
- 2.期末帳簿数量200(@¥2,000) 期末実地棚卸数量190
- 3.期末時点の1単位当たりの時価(正味売却価額)は¥1,900である。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 350,000 | 繰越商品 | 350,000 |
繰越商品 | 400,000 | 仕入 | 400,000 |
棚卸減耗損 | 20,000 | 繰越商品 | 20,000 |
商品評価損 | 19,000 | 繰越商品 | 19,000 |
解説
簿記3級で学習する「仕入/繰越商品」「繰越商品/仕入」を仕訳し、期末商品の帳簿価額を反映した後に、棚卸減耗損と商品評価損の仕訳を行います。
・棚卸減耗損 ( 200 - 190 ) × @¥2,000 = ¥20,000
・商品評価損 ( @¥2,000 - @¥1,900 ) × 190 = ¥19,000
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