為替予約と仕訳|FR

ユーロ紙幣

記事公開日:2021年10月2日

為替予約(FR)と仕訳を解説します。

為替予約とは

為替予約とは、将来において外貨を購入又は売却する契約について、為替レートと数量を契約締結時点で予め定めておく契約をいいます。

輸出・輸入取引が代表的な使用例です。

デリバティブ取引

為替予約は先物取引の1つでありデリバティブ取引に該当します。先物取引、先渡取引、オプション取引、スワップ取引及びこれらに類似する取引をデリバティブ取引といいます。

目的とヘッジ会計

為替予約の目的は為替リスクの回避です。ヘッジ目的といいます。

デリバティブ取引がヘッジ会計の要件を満たす場合にはヘッジ会計を適用できます。

会計基準

外貨建取引等会計処理基準外貨建取引等の会計処理に関する実務指針に基づいて処理します。ただしヘッジ会計の適用については金融商品に関する会計基準に基づきます。

仕訳

次の通り(輸入取引の場合)。

取引為替相場借方科目借方金額貸方科目貸方金額
輸入HR仕入×××買掛金×××
FR(※2)仕入×××買掛金×××
為替予約契約の締結(※1)FR < HR買掛金×××為替差損益×××
FR > HR為替差損益×××買掛金×××
決算FR仕訳なし
代金支払(決済)FR買掛金×××現金預金×××
  • HR:発生時の為替相場 FR:先物為替相場 CR:決算日レート SR:決済時のスポットレート
  • ※1:振当処理を適用し、かつ為替予約差額は期間配分をしない場合
  • ※2:仕入れ前に為替予約を締結した場合

為替予約と実務上の取り扱い

上記の仕訳は振当処理を適用した場合ですが、原則的な方法を独立処理といい、輸入と為替予約は別個の取引として仕訳します。ただし、為替予約がヘッジ会計の要件を満たす場合には振当処理を適用できます。

仕訳例

  • 1.商品1ドルを輸入した(掛け仕入)。為替相場100円/ドル
  • 2.先物為替相場110円/ドルで為替予約契約を締結した。
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1仕入100買掛金100
2為替差損益10買掛金10

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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