1-1 原価計算(工業簿記)とは
原価計算とは、モノ・サービスを生み出すのにかかったお金(=原価)を集計して経済的価値(日本であれば「円」で価値を測定する)として計算し、分析・管理し、決算書作成に役立てるための技術をいいます。
工業簿記とは、「モノ・サービスが完成するまでの工程(プロセス)を、簿記を利用して1つ1つの取引の仕訳を作成し、製造に関する科目別に残高集計して商業簿記とともに決算書を作成するための技術」のことをいいます。
簡単に説明すると、原価計算とは、「モノを作るのに要した支出額(コスト)を計算して分析・管理する方法」をいいます。
「モノ(製品)を作るのに要した支出額(コスト)」のことを「原価(げんか)」いいます。
例えば、ズボン1本を作るのに1,000円かかったとした場合、ズボン1本当たりの原価は「1,000円」です。
このズボンを月に1,000本作った場合、その月に製造したズボンの原価は「1,000円 × 1,000本 = 1,000,000円」になります。
※さらに、このズボンを月に800本販売した場合、売上になった原価、すなわち「売上原価」は「 1,000円 × 800円 = 800,000円」です。
※販売しなかったズボン200本(1,000円 × 200本 = 200,000円)は「製品」になります(「第8章 製品勘定」で解説)。
工業簿記は原価計算のうち、「簿記の部分に焦点を当てたもの」、すなわち、「仕訳や勘定元帳への記帳」の部分をいいます。
<用語>原価・原価計算・工業簿記
- ・原価 = モノ(製品)を作るのに要した支出額(コスト)
- ・原価計算 = モノやサービスを作るのに要したコストを計算して、分析・管理する方法
- ・工業簿記 = 原価計算のうち、仕訳や勘定元帳を記帳する方法
本書では、衣服メーカーのモノのうち「ズボンの原価計算・工業簿記」を例に解説します。
<Check>本書で解説すること
- ・衣服メーカーの工場を例に「ズボンの原価計算・工業簿記」を解説
- →「ズボンを作るのに、いくら要したのかを計算して分析・管理する方法や、仕訳・勘定元帳の記帳方法」を解説
