商業簿記入門その64~リース会計・取引と分類(2級)

更新日:2018年4月23日 公開日:2018年2月8日

リース会計・取引と分類

前回、「商業簿記入門その63~投資その他の資産(長期前払費用)と仕訳処理(2級)」では、投資その他の資産のうち、主に長期前払費用を中心にその仕訳処理を解説しました。

今回は、リース会計についてリース取引とその分類について説明します。

※簿記2級の論点になります。


リース取引とは

リース取引とは、物件を所有する貸手が借手にリース期間にわたり使用収益する権利を与え、借手はリース料を貸手に支払う取引をいいます。

リース取引で扱われる資産には様々なものがありますが、例えば、自動車、コピー機、特殊な機械、PC、デスクなどの備品などが挙げられます。

そしてリース取引に適用する会計処理(仕訳処理や表示など)のことを総称してリース会計といいます。

リース取引の分類に関する考え方

リース取引は、その契約形態によって分類します。

「契約形態によって」とは、具体的には締結したリース契約について、次の2点を確認します。

(1)ノンキャンセラブル:リース期間の中途で解約することができない、又は多額の違約金を支払うなど実質的に解約することができない。

(2)フルペイアウト:借手が、リース物件を自己所有している場合と同様の経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなる。

(2)フルペイアウトは難しいことが記載してありますが、要するに「借りたリース物件を自分で購入した場合と同じく制限なく使用することができる。また、リース料の中には自分で購入した場合に支払うコスト(リース物件の購入額だけでなく、関連する税金や維持管理のコスト、廃棄費用など)も含まれている。」ということです。

例えば自動車をリースした場合に、契約書の中に走行距離の制限が記載されていたり、又はリース料には車検費用や自動車税は含まれておらず、リース会社が負担する、といった条項が存在すれば、フルペイアウトとは言えないということになります。

※あくまでも「例え」です。分かりやすい例を考えてみました。

ただし、リース料の中には金利が含まれますので、この点は自分で購入した場合と異なります。

実務では、リース契約を締結した場合には、契約書類を読み込み、ノンキャンセラブルやフルペイアウトに該当するような条項が含まれていないかどうかを確認することになります。なぜならば、次に説明しますが、この2項目に該当するかどうかによって、リース取引に適用される会計処理が全く異なってくるからです。


ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引

リース契約書類から「ノンキャンセラブルかどうか」「フルペイアウトかどうか」を確認することができたらば、この2つからリース取引を「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」とに分類します。

(1)ファイナンス・リース取引:ノンキャンセラブルとフルペイアウトを両方とも満たしているリース取引

(2)オペレーティング・リース取引:ファイナンスリース取引以外のリース取引

この2つに分類する理由は次の通りです。

(1)ファイナンス・リース取引について
①ノンキャンセラブルかつフルペイアウトであるため、実質的には、金融機関からお金を借りて、そのお金で自分で購入した場合と同様の取引である。
②従って、ファイナンス・リース取引に該当する場合には、固定資産の売買処理に準じた会計処理を適用すべきである。

(2)オペレーティング・リース取引について
①ノンキャンセラブルとフルペイアウトを両方とも満たすわけではないため、ファイナンス・リース取引のようにリース物件を自分で購入した場合と同じだと考えることはできない。
②従って、オペレーティング・リース取引に該当する場合には、リース契約という取引の通り、通常の賃貸借処理に準じた会計処理を適用すべきである。

以上をまとめると、ファイナンス・リース取引は売買処理に準じた会計処理を適用し、オペレーティング・リース取引には賃貸借処理に準じた会計処理を適用するということになります。


【補足】リースとレンタルの違いについて

※簿記2級の範囲外の話になります。ご興味ある方はお読みください。

リース取引と似た取引にレンタル取引というものがあります。

法や会計上の用語ではなく、業界上の用語といった方が正しいでしょう。

両者に明確な区分があるわけではありませんが、違いを説明すると、次の通りです。

(1)リース取引ではリース会社が借り手の要望に応じて新品を調達してリースする。一方でレンタル取引では、レンタル会社が取り揃えている在庫(中古品)から借り手が選んでレンタルする。
(2)リース取引は契約期間が長期になり、一方でレンタル取引では最短1日といった取引も存在するように短期の取引を扱う。

このようにリース取引とレンタル取引が存在しますが、会計の世界では、レンタル取引の会計基準といったものは存在せず、どちらの取引もまずは、「リース取引に関する会計基準」に従って、ファイナンス・リース取引なのかオペレーティング・リース取引なのかを検討することになります。

まとめ

今回は、リース会計とリース取引及び分類について解説しました。まずはファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引という用語が問題の中に現れた場合に慌てないようにしておくことから始めましょう。


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