商業簿記入門その56~有形固定資産の減価償却と仕訳処理(3級)

更新日:2019年4月28日
公開日:2017年12月24日

有形固定資産の減価償却と仕訳処理

前回、「商業簿記入門その55~有形固定資産の売却と仕訳処理(3級)」では有形固定資産の売却とその仕訳処理について解説しました。

今回は有形固定資産の減価償却と仕訳処理について説明します。


減価償却とは

土地以外の有形固定資産は、使用していくにつれて価値が減少していきます。

この価値の減少を一定のルールに基づいて、有形固定資産の帳簿価額から差し引くための計算手続を「減価償却(げんかしょうきゃく)」といいます。

また、減価償却に従って計算された金額のことを「減価償却費(げんかしょうきゃくひ)」といいます。

減価償却費の計算方法

減価償却費の計算方法にはいくつかの種類がありますが、簿記3級では「定額法(ていがくほう)」を学習します。

定額法では、毎期、同じ金額の減価償却費を仕訳します。計算方法は次の通りです。

減価償却費(定額法) = ( 取得原価 - 残存価額 ) ÷ 耐用年数

ここで「残存価額(ざんぞんかがく)」とは、有形固定資産が使用できなくなった場合の見込処分額のことをいいます。

また、「耐用年数(たいようねんすう)」とは、有形固定資産を使用することができると見込まれる年数をいいます。

有形固定資産の減価償却に関する仕訳処理

有形固定資産の減価償却に関する仕訳処理には、「直接法」と「間接法」とがあります。

直接法では、減価償却の金額だけ、有形固定資産の勘定科目の金額を直接減らします。

すなわち減価償却によって有形固定資産の帳簿価額は減少させるため、貸方には建物、備品、車両運搬具、土地といった有形固定資産を表す勘定科目を記入します。

そして借方には、「減価償却費勘定(費用に属する勘定科目)」を使用して記入します。

これに対して間接法では、有形固定資産の勘定科目の金額を減らすのではなく、減価償却の減少のために使用する勘定科目に金額を計上します。

具体的に説明すると、借方は直接法と同じく減価償却費勘定を用いますが、貸方には「建物減価償却累計額勘定(たてものげんかしょうきゃくるいけいがくかんじょう)」「備品減価償却累計額勘定(びひんげんかしょうきゃくるいけいがくかんじょう)」「車両運搬具減価償却累計額勘定(しゃりょううんぱんぐげんかしょうきゃくるいけいがくかんじょう)」といった減価償却の減少のための勘定科目を設定して使用します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
減価償却直接法減価償却費×××建物、備品など×××
間接法減価償却費×××〇〇減価償却累計額×××

【補足】〇〇減価償却累計額勘定の性質
有形固定資産を減少させる減価償却費の相手勘定であり、「資産の控除(こうじょ)科目」という性質を持っています。

控除とは「マイナスする」という意味です。「資産」「負債」「資本(純資産)」「費用」「収益」には属さない特別な勘定科目として覚えておきましょう。

【補足】減価償却費の月割り計上について
例えば、3月決算の会社で、×1年12月に建物を購入した時に、×2年3月の決算でこの建物について減価償却費を計算する場合には、上述の定額法に基づいて計算しますが、上述の計算式は1年間(12か月間)の減価償却費になります。

12月に購入したのであれば、12月~3月までの4か月分だけを減価償却費として仕訳します。

この場合には、上述の式で計算した減価償却費を12か月で割って、1か月分の減価償却費を計算し、それに4(4か月)を掛け算することで計算します。

日は関係ありません。10月1日に購入しても10月30日に購入しても同じ1か月として計算します。


仕訳例

  • A社は×2年3月の決算を迎えた。
  • 有形固定資産の状況は次の通りである。
  •  1.建物:×1年4月に購入。取得原価2千万円 残存価額ゼロ 耐用年数40年
  •  2.本棚:×1年10月に購入。取得原価60万円 残存価額は取得原価の5% 耐用年数8年
  • これら固定資産の減価償却に関する仕訳について、1.は直接法、2は間接法で仕訳処理しなさい。
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1減価償却費500,000建物500,000
2減価償却費35,625備品減価償却累計額35,625

【解説】
1.建物の減価償却費:( 取得原価2千万円 - 残存価額ゼロ ) ÷ 耐用年数40年 = 500,000円

2.本棚(備品)の減価償却費:( 取得原価60万円 - 残存価額3万円(※) ) ÷ 耐用年数8年 × 6か月(×1年10月~×2年3月)/12か月 = 35,625円
※残存価額:取得原価60万円 × 5% = 30,000円


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まとめ

今回は、有形固定資産の減価償却と仕訳処理について解説しました。反復演習で覚えていきましょう。


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