商業簿記入門その62~無形固定資産(のれん、ソフトウェアなど)と減価償却、仕訳処理(2級)

公開日:2018年2月4日

無形固定資産(のれん、ソフトウェアなど)と減価償却、仕訳処理

前回、「商業簿記入門その61~有形固定資産の減価償却(定率法と生産高比例法)」では有形固定資産の減価償却方法のうち、定率法と生産高比例法について解説しました。

今回は、のれんやソフトウェアなどの無形固定資産の種類や減価償却、及びその仕訳処理について説明します。

※簿記2級の論点になります。


無形固定資産と種類

無形固定資産(むけいこていしさん)とは、固定資産のうち、目に見えないようなものをいいます。

無形固定資産には次のようなものがあります。

・のれん
・ソフトウェア
・その他:特許権(とっきょけん)、借地権(しゃくちけん)、商標権(しょうひょうけん)など

のれんとは

のれんとは、合併や買収といったM&Aの際に使用される会計用語であり、合併や買収される企業のその時点での純資産額と、その支払対価との差額をいいます。

「超過収益力(ちょうかしゅうえきりょく)」という言葉で説明されることが多いです。また少し前までは「営業権(えいぎょうけん)」という言葉が使われていました。

会計上では、合併や買収される企業は、その時点で個別の資産や負債を評価することになりますが、合併・買収時に支払う対価を決める場合には、個別資産・負債の合計(= 資産の合計から負債の合計を差し引いた純資産額)ではなく、それらが組み合わさって機能している企業全体を評価して対価を決めます。

具体的には会計上の個別資産・負債の評価には表せないブランドイメージや信用力、各種のノウハウといったものなどが合併・買収の対価に含まれることになります。

以上をまとめると、会計上の個別資産・負債の合計(= 資産-負債で表される純資産)と支払対価には差額が生じることになり、差額の源泉(原因、要因)はブランドイメージや信用力などの超過収益力であり、これらをまとめて「のれん」として取り扱う、ということです。


ソフトウェアとは

ソフトウェアとは、コンピュータープログラムと、コンピュータープログラムに関連する文書(ソフトウェア仕様書、フローチャートなど)のことをいいます。

PCのOSであるWindowsやゲームソフトがイメージしやすいでしょう。

会計上のソフトウェアは、利用目的から「自社利用目的のソフトウェア」「市場販売目的のソフトウェア」などに分類することができますが、2級では自社利用目的のソフトウェアが出題範囲になります。

自社利用目的のソフトウェアですが、無形固定資産として資産計上するための要件として、その自社利用ソフトウェアが、「将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められること」があります。この要件を満たさない場合には資産計上することができず、費用として処理することになります。

もう一つ、ソフトウェアの論点として、「ソフトウェア仮勘定」があります。「建設仮勘定」勘定と同様に、完成して引き渡す前の開発中(制作中)の時点で、ソフトウェアに要した支出を集計するための勘定科目です。

※ソフトウェア仮勘定の仕訳処理は建設仮勘定と同様です。詳細は「商業簿記入門その60~建設仮勘定と仕訳処理(2級)」をご参照ください。


無形固定資産の減価償却と仕訳処理

無形固定資産は残存価額ゼロの定額法で減価償却します。

耐用年数は、のれんは20年以内、ソフトウェアは利用可能期間を合理的に見積もった年数(通常5年以内を使用)になります。

上述その他に掲げた各種無形固定資産(特許権、借地権、商標権)は、法令上・契約上の権利になりますので、法令や契約上に記載された年数に基づいて耐用年数を決めます。

※試験では耐用年数は問題の指示に従いましょう。

減価償却の仕訳処理ですが、有形固定資産のように「〇〇減価償却累計額」勘定を使用した間接法ではなく、直接法で仕訳します。

具体的には、借方に「のれん償却」勘定や「ソフトウェア償却」勘定というように「〇〇償却勘定(費用に属する勘定科目)」を記入します。

貸方には減額させる無形固定資産の勘定科目を記入します。

なお無形固定資産を期中に取得した場合には使用開始月から決算月までの月数を計算し、1年(12か月)の月割りで減価償却費を計算します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
減価償却〇〇償却×××のれん、ソフトウェアなど×××

仕訳例

A社は×2年3月期の決算を迎えた。次のソフトウェアについて減価償却の仕訳をきりなさい。
1.A社は×1年4月1日にB社を買収し、のれん1,000万円を無形固定資産として計上した。耐用年数20年の定額法(残存価額ゼロ)で減価償却する。
2.A社は×1年10月1日に自社利用目的のソフトウェア50万円を購入し使用開始した(利用可能期間5年)。当該ソフトウェアは将来の収益獲得又は費用削減の効果が確実であると認められる。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1のれん償却500,000のれん500,000
2ソフトウェア償却50,000ソフトウェア50,000

【解説】
No1 のれんの減価償却費:取得原価1,000万円 ÷ 耐用年数20年 = 500,000円
No2 ソフトウェア減価償却費:取得原価50万円 ÷ 対象年数5年 × ( 経過月6か月 / 12か月 ) = 50,000円

まとめ

今回は、のれんやソフトウェアなどの無形固定資産について、減価償却の仕訳処理を含めて解説しました。のれんやソフトウェアの用語は上述の説明のようにブランドイメージやゲームソフトなど具体的にイメージできるものと結び付けて理解しながら覚えましょう。


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