子会社株式とは|仕訳を分かりやすく解説(簿記2級)

ビジネスマンと紙幣

記事最終更新日:2023年11月25日
記事公開日:2017年8月27日

「子会社株式」といえば、連結会計の範囲としての子会社株式が思い浮かびますが、個別財務諸表上でも子会社株式の会計処理については会計ルールが存在し、簿記2級の出題範囲になっています。

本記事では、簿記2級の個別財務諸表上の子会社株式の仕訳を分かりやすく解説します。

※連結会計上の子会社株式の取り扱いに関する記事は下記のリンクから参照できます(上級・実務家対象論点を含む)。

※本記事の一部では、「補足」として、理解に役立つ簿記2級の出題範囲外の会計知識(会計学の考え方)を記載しています(上級者・実務家レベル)。

※有価証券全般に共通する基本的な仕訳(取得・端数利息・売却・配当金・利息)や保有目的による有価証券の種類(満期保有目的債券、その他有価証券など)、各有価証券の「表示科目」については、下記の記事で解説しています。

子会社株式とは

子会社株式とは、発行済株式数の50%超を保有した会社の株式をいいます。

※厳密な定義ではなく簿記2級の出題範囲に基づいた説明

※会計基準に基づいた子会社の厳密な範囲は下記の記事を参照(上級者・実務家向け)

子会社株式を取得するメリット

「子会社株式を取得する」ということは、その会社の意思決定機関(株主総会など)の支配を意味します。

すなわち、「親会社のビジネスに有利に働くように子会社の経営にモノを言い、実現することができる」ということです。

会計処理の特徴

子会社株式の増減は、「子会社株式(資産に属する勘定科目)」で仕訳します。

また、子会社株式は原則として期末日に取得原価で貸借対照表に掲載し、表示科目は「関係会社株式」を用います。

(補足)子会社株式を期末日に取得原価で評価する理由

「子会社株式」は「売買目的有価証券」のように売買の繰り返しによって、時価の変動利益の獲得を目的としているわけではないことから、期末日に時価で評価したとしても財務諸表の利用者にとって有用な情報とはなりません。

一方で、会社は子会社を含めた「連結財務諸表」を公表(開示)することで、企業集団の財政状態・経営成績を連結財務諸表の利用者に伝えます。つまり、子会社の期末時点のB/S・P/Lの情報に基づいて作成した「連結財務諸表」を通じて、間接的に子会社の期末日に関する有用な情報を、連結財務諸表の利用者に伝えています。

以上の理由から、親会社の個別財務諸表においては、子会社株式は原則として期末日に取得原価で評価します。

子会社株式の仕訳

基本的な取引について、「仕訳一覧」と「仕訳例」を示します。

基本仕訳の一覧

次の通り。

※仕訳の内容は、冒頭で紹介した関連記事で解説しています。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
取得子会社株式×××現金預金など×××
配当金の受け取り現金×××受取配当金×××
期末評価仕訳なし

<仕訳例>
1.S社株式を100で取得し子会社とした。対価は来月支払う。
2.S社で配当が決議され、配当金領収証5が郵送で届いた。
3.決算日。S社株式の時価は110である。

問題借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1子会社株式100未払金100
2現金5受取配当金5
3仕訳なし

期末評価

子会社株式は原則として期末時に取得原価で評価します。従って、決算整理仕訳はありません。

(補足)時価・実質価額の著しい下落

ただし、時価(実質価額)が著しく低下した場合には評価損を計上します(簿記2級の範囲外)。

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