商業簿記入門その20~子会社株式および関連会社株式、その他有価証券の手続と仕訳処理(2級)

更新日:2019年1月30日 公開日:2017年8月27日

子会社株式および関連会社株式、その他有価証券の手続と仕訳処理

前回、「商業簿記入門その19~満期保有目的債券の手続と仕訳処理」では満期保有目的債券の手続と仕訳処理について解説しました。

今回は子会社株式および関連会社株式、その他有価証券の手続と仕訳処理について説明します。

※簿記2級の論点になります。


子会社株式および関連会社株式

子会社株式とは、発行済株式数の50%超を保有した会社の株式をいいます。

関連会社株式とは、発行済株式数の20%以上50%以下を保有した会社の株式をいいます。

※どちらも厳密な定義ではありませんが、簿記2級の段階ではこの説明で差し支えありません。

子会社株式および関連会社株式を取得するメリット

「子会社株式を取得する」ということは、その会社の意思決定機関(株主総会など)を支配しているということになります。

すなわち、親会社のビジネスに有効に機能するよう子会社の経営にモノを言い、実現することができる、ということを意味します。

また、上場企業の決算書は連結ベースで評価することが当たり前になった昨今では、業績の良い会社を子会社にすることで、親会社の連結ベースの決算書(貸借対照表や損益計算書など)の業績を、より良くすることができます。

関連会社株式を取得することも、子会社ほどではありませんが、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、関連会社の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができます。

また、上場企業の決算書にも、「持分法会計」という会計基準の適用によって、業績の良い関連会社は、関連会社株式を取得した会社の損益計算書に良い影響を及ぼすことができます。


子会社株式および関連会社株式の手続と仕訳処理

子会社株式および関連会社株式で学習しておく手続は、取得と配当金の受け取り、および決算日の評価手続です。

※今回、説明がない手続の内容については「商業簿記入門その16~有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)」と同様の手続になります。併せてご参照ください。

子会社株式および関連会社株式の取得と仕訳処理

商業簿記入門その16~有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)」では、有価証券の取得は有価証券勘定を使用して仕訳すると述べました。

一方で、保有目的に応じて仕訳処理する簿記2級では、子会社株式および関連会社株式の取得には子会社株式勘定および関連会社株式勘定を使用します。

出来事ケース借方科目借方金額貸方科目貸方金額
取得子会社株式の取得子会社株式×××現金預金など×××
関連会社株式の取得関連会社株式×××現金預金など×××

子会社株式および関連会社株式の配当金の受け取りと仕訳処理

固有の特別な仕訳処理はありません。仕訳処理については、「商業簿記入門その16~有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)」をご参照ください。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
配当金の受け取り現金×××受取配当金×××

子会社株式および関連会社株式の決算日の評価と仕訳処理

決算時の評価とは、主に資産科目について、貸借対照表の科目で表示する金額を決めるための手続をいいます。

※資産の評価については「会計入門その9~固定資産の資産計上と減価償却」以降で固定資産を例として詳細を解説しています。

子会社株式および関連会社株式は取得原価で評価します。従って、特に決算日に仕訳処理は必要ありません。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
決算日の評価仕訳なし

その他有価証券

その他有価証券とは、売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社株式および関連会社株式のいずれにも分類されない有価証券をいいます。

例えば、事業提携のために取得する場合や、配当金によるインカムゲインを得ることを目的として株式を長期的に保有する場合などが該当します。

その他有価証券の手続と仕訳処理

その他有価証券で学習しておく手続は、取得と利息、売却、配当金の受け取り、および決算日の評価手続です。

※今回、説明がない手続の内容については「商業簿記入門その16~有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)」と同様の手続になります。併せてご参照ください。

その他有価証券の取得と仕訳処理

商業簿記入門その16~有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)」では、有価証券の取得は有価証券勘定を使用して仕訳すると述べました。

一方で、保有目的に応じて仕訳処理する簿記2級では、その他有価証券の取得にはその他有価証券勘定を使用します。

債券を購入した場合で、端数利息を支払う場合の仕訳処理は「商業簿記入門その18~売買目的有価証券の手続と仕訳処理」と同様ですのでご参照ください。

出来事ケース借方科目借方金額貸方科目貸方金額
取得一般的な仕訳その他有価証券×××現金預金など×××
端数利息を支払った場合その他有価証券×××現金預金など×××
有価証券利息×××

その他有価証券の売却と仕訳処理

固有の特別な仕訳処理はありません。仕訳処理については、「商業簿記入門その16~有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)」をご参照ください。

ただし、その他有価証券は、表示科目が投資有価証券になることから、売却損益は「投資有価証券売却益」「投資有価証券売却損」という勘定科目で仕訳します(先頭に「投資」が入ります)。

出来事ケース借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売却利益が発生現金預金など×××その他有価証券×××
投資有価証券売却益×××
損失が発生現金預金など×××その他有価証券×××
投資有価証券売却損×××

その他有価証券の利息、配当金の受け取りと仕訳処理

固有の特別な仕訳処理はありません。仕訳処理については、「商業簿記入門その16~有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)」をご参照ください。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
配当金の受け取り現金×××受取配当金×××
利息の受け取り現金×××有価証券利息×××

その他有価証券の決算日の評価と翌期首の仕訳処理

その他有価証券は決算日の時価で評価します。

すなわち、取得原価よりも時価が高い場合には、その他有価証券は増加し、取得原価よりも時価が低い場合には、その他有価証券は減少します。

相手勘定にはその他有価証券評価差額金勘定を用います。その他有価証券評価差額金勘定は純資産に属する勘定科目です。

売買目的有価証券で使用した有価証券評価益勘定や有価証券評価損勘定のような、収益や費用の科目ではなく、全額純資産に直接計上します。

これを全額純資産直入法といいます。

決算日の仕訳処理は、翌期首に逆の仕訳をきり、決算日の仕訳処理の影響をないものとします。このような処理を「洗替処理(あらいがえしょり)」といいます。

ケース出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
時価 > 取得原価決算日の評価その他有価証券×××その他有価証券評価差額金×××
繰延税金負債×××
翌期首その他有価証券評価差額金×××その他有価証券×××
繰延税金負債×××
時価 < 取得原価決算日の評価その他有価証券評価差額金×××その他有価証券×××
繰延税金資産×××
翌期首その他有価証券×××その他有価証券評価差額金×××
繰延税金資産×××

【補足】「税効果会計(平成30年度改定)」が出題された場合の仕訳処理について

平成30年度から、簿記2級には税効果会計が新たに出題範囲として追加されました。

その他有価証券は決算日評価について、税効果会計の問題として出題される場合がありますが、その場合の仕訳処理は上記解説とは異なります。

この点、「その112~税効果会計の仕訳処理」にて、その他有価証券の仕訳処理も詳細を解説していますのでご参考ください。


仕訳例

  • 1.A社はB社の株式1,000株を400万円で取得した。取得時に手数料10万円がかかった。代金は全額、翌月支払う。
  • ※B社の発行済株式数は1,800株である。
  • 2.A社はC社の株式300株を150万円で取得した。取得時に手数料3万円がかかった。代金は全額、当座預金より振り込んだ。
  • ※C社の発行済株式数は1,200株である。
  • 3.A社はD社の株式500株を200万円で取得した。取得時に手数料15万円がかかった。代金は全額、現金で支払った。
  • ※D社の発行済株式数は5,000株である。
  • ※D社の株式は長期的に保有する意図を持って購入した。
  • 4.D社から5万円の配当金受領証が送付されてきた。
  • 5.A社は決算日を迎えた。D社株式の時価は@4,500円である。
  • ※実行税率は40%とする。
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1子会社株式4,100,000未払金4,100,000
2関連会社株式1,530,000当座預金1,530,000
3その他有価証券2,150,000現金2,150,000
4現金50,000有価証券利息50,000
5その他有価証券100,000その他有価証券評価差額金60,000
繰延税金負債40,000

【解説】
ポイントは①保有目的の判断 ②その他有価証券の決算日評価

1.A社のB社株式の保有割合 = 1000株 ÷ 1,800株 = 55.5555...%
→50%を超える(50%超)ため、子会社株式

2.A社のC社株式の保有割合 = 300株 ÷ 1,200株 = 25%
→20%以上50%以下であるため、関連会社株式

3.A社のD社株式の保有割合 = 500株 ÷ 5,000株 = 10%
→子会社株式にも関連会社株式にも該当しない。

長期的に保有する意図を持って購入
→短期的な時価の変動による利益を得る目的である売買目的有価証券にも該当しない。

債券ではなく、株式→満期保有目的債券にも該当しない。

以上から、D社株式は売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社株式および関連会社株式のいずれにも該当しないので、その他有価証券になります。

5.時価評価額 1株当たり時価@4,500円 × 500株 = 2,250,000円
取得原価との差額 時価評価額2,250,000円 - 取得原価2,150,000 = 100,000円 (時価 > 取得原価)

繰延税金負債 100,000円 × 実効税率40% = 40,000円

その他有価証券評価差額金 貸借差額で計算。

その他
1,2,3.手数料など有価証券の取得に要した付随費用は取得原価に含めます。「商業簿記入門その16~有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)」を参照。

4.配当金領収証は現金として取り扱う。「商業簿記入門その9~現金(為替証書、配当金領収証、公社債利札の仕訳処理)」を参照。

まとめ

今回は、子会社株式および関連会社株式、その他有価証券の手続と仕訳処理について解説しました。

有価証券の範囲だけでも覚えることが多いですが、過去問分析の結果、出題可能性は高いので、学習計画を立てて計画的、効果的、かつ効率的に学習しましょう(インプットとアウトプットのバランス、学習のタイミング、反復学習などがどんな学習にも共通するキーワードです)。


戻る | 次へ

一覧


【運営者情報・免責事項】





関連リンク

会計入門
~実務に役立つ会計の入門

決算書が読めるようになるサイト。「実務に役立つシリーズ」第1弾!!

原価計算入門
~簿記資格の学習を支援

衣服メーカーを例に分かりやすく解説。「実務に役立つシリーズ」第2弾!!

会計ヘッジ
将来リスクを回避するためのサイト

会計、簿記、経理、税務、起業など、トピックやトレンドも含め、様々な情報を配信

日商簿記検定の勉強におすすめの過去問題集

日商簿記検定だけでなく、どの資格試験でも過去問を解くことは有効な勉強方法です。日商簿記検定の過去問の入手方法は次の通り。(1)WEB(解答や分析・傾向のみ)・・・

日商簿記検定2級|次回の試験情報(出題論点など)

商工会議所サイトには改正論点のサンプル問題や出題範囲変更箇所が掲載されています。使用する勘定科目も変更するので、過去問の出題意図も含めて・・・

日商簿記検定2級の合格に必要な勉強時間とは

個々人によって勉強時間は異なるのは当然ですが、合格するのに必要とされる標準的な勉強時間を知らないと学習スケジュールを立てることができません。日商簿記検定2級は・・・

有価証券のポイント|日商簿記2級【改定論点の過去問分析と対策】

平成28年度の改定によって、日商簿記2級の出題範囲が大幅に拡大されましたが、その論点の一つが有価証券です。まずは日商簿記2級のサイト情報を参考に、有価証券の改定について・・・

商業簿記入門その21~売掛金、買掛金の手続と仕訳処理(3級)

売掛金とは、事業として取り扱うモノやサービスを販売する場合に、契約書や注文書(口約束も含めて)で締結した日までに代金を受け取る・・・

商業簿記入門その22~売掛金と買掛金の記帳(得意先、仕入先元帳、人名勘定)(3級)

売掛金と買掛金についても、主要簿の記帳は他の勘定科目と同様です。すなわち、会社の売掛金と買掛金の増減取引は、仕訳帳または伝票に記入・・・

商業簿記入門その23~売掛金明細表と買掛金明細表(3級)

売掛金元帳(得意先元帳)や買掛金元帳(仕入先元帳)を補助簿として使用すれば、各取引先ごとに売掛金、買掛金の増減や残高・・

商業簿記入門その24~クレジット売掛金(2級)

クレジット売掛金とは、クレジットカードを利用した売上取引に使用する勘定科目をいいます。得意先が、売上代金の支払にクレジットカード・・・

商業簿記入門その25~貸付金・借入金の手続と仕訳処理(3級)

貸付金とは、金銭を他の会社(若しくは人間)に貸し付けた場合に発生する、利息や貸し付けたお金を回収する権利(債権)の・・・