日商簿記2級 子会社株式、関連会社株式、その他有価証券の仕訳

更新日:2020年12月27日
公開日:2017年8月27日

前回は満期保有目的債券の手続と仕訳処理について解説しました。

今回は子会社株式および関連会社株式、その他有価証券の取引と仕訳について説明します。

子会社株式および関連会社株式とは

子会社株式とは、発行済株式数の50%超を保有した会社の株式をいいます。

関連会社株式とは、発行済株式数の20%以上50%以下を保有した会社の株式をいいます。

※どちらも厳密な定義ではなく日商簿記2級の出題範囲に基づいた説明です。

その他有価証券

その他有価証券とは、売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社株式および関連会社株式のいずれにも分類されない有価証券をいいます。

例えば、事業提携のために取得する場合や、配当金によるインカムゲインを得ることを目的として株式を長期的に保有する場合などが該当します。

以下、最初に子会社株式、関連会社株式について解説し、次にその他有価証券を解説します。

※有価証券の基本的な取引と仕訳や保有目的と区分については下記の記事を参照。

子会社株式および関連会社株式を取得するメリット

「子会社株式を取得する」ということは、その会社の意思決定機関(株主総会など)の支配を意味します。

すなわち、「親会社のビジネスに有利に働くように子会社の経営にモノを言い、実現することができる」ということです。

上場企業の決算書は連結ベースで評価することが当たり前になった現在では、業績の良い会社を子会社にすることで親会社の連結ベースの決算書(貸借対照表や損益計算書など)の業績を、より高くできます。

関連会社株式の取得も、子会社ほどではありませんが出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、関連会社の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができます。

上場企業の決算書にも「持分法会計」という会計基準を適用した結果、業績の良い関連会社が関連会社株式を取得した会社の損益計算書に好影響を及します。

子会社株式および関連会社株式の取引

子会社株式および関連会社株式に関する取引は、取得と配当金の受け取り、および決算日の評価手続です。

子会社株式および関連会社株式の取得と仕訳

子会社株式および関連会社株式の取得には「子会社株式勘定(資産に属する勘定科目)」および「関連会社株式勘定(資産に属する勘定科目)」を使用します。

出来事ケース借方科目借方金額貸方科目貸方金額
取得子会社株式の取得子会社株式×××現金預金など×××
関連会社株式の取得関連会社株式×××現金預金など×××

子会社株式および関連会社株式の配当金の受け取りと仕訳

配当金の受け取りは受取配当金勘定で仕訳します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
配当金の受け取り現金×××受取配当金×××

※ここでいう「受け取り」とは、株式の配当金領収証を受け取った日をいいます。詳細は下記の記事を参照。

子会社株式および関連会社株式の決算日の評価と仕訳

「決算時の評価」とは、主に資産科目について貸借対照表の科目で表示する金額を決めるための手続をいいます。

子会社株式および関連会社株式は取得原価で評価します。従って、特に決算日に仕訳は必要ありません。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
決算日の評価仕訳なし

その他有価証券の取引

その他有価証券に関する取引は、取得と利息、売却、配当金の受け取り、および決算日の評価手続です。

その他有価証券の取得と仕訳

その他有価証券の取得には「その他有価証券勘定(資産に属する勘定科目)」を使用します。

出来事ケース借方科目借方金額貸方科目貸方金額
取得一般的な仕訳その他有価証券×××現金預金など×××
端数利息を支払った場合その他有価証券×××現金預金など×××
有価証券利息×××

※端数利息を支払う場合の仕訳は下記の記事を参照。

その他有価証券の売却と仕訳

その他有価証券は、表示科目が投資有価証券になることから、売却損益は「投資有価証券売却益勘定(収益に属する勘定科目)」「投資有価証券売却損勘定(費用に属する勘定科目)」で仕訳します。

出来事ケース借方科目借方金額貸方科目貸方金額
売却利益が発生現金預金など×××その他有価証券×××
投資有価証券売却益×××
有価証券利息×××
損失が発生現金預金など×××その他有価証券×××
投資有価証券売却損×××
有価証券利息×××

その他有価証券の利息、配当金の受け取りと仕訳

配当金の受け取りは受取配当金勘定で仕訳します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
配当金の受け取り現金×××受取配当金×××
利息の受け取り現金×××有価証券利息×××

※ここでいう「受け取り」とは、株式の配当金領収証を受け取った日や債券の利札(クーポン)の利息支払い期限が到来した日をいいます。詳細は下記の記事を参照。

その他有価証券の決算日の評価と翌期首の仕訳

その他有価証券は「決算日の時価で評価」します。

すなわち取得原価よりも時価が高い場合には、その他有価証券は増加し、取得原価よりも時価が低い場合には、その他有価証券は減少します。

相手勘定には「その他有価証券評価差額金勘定(純資産に属する勘定科目)」を用います。

この勘定科目は純資産の科目です。売買目的有価証券で使用した有価証券評価益勘定や有価証券評価損勘定のような収益や費用の科目ではなく、全額純資産として計上します。

これを「全部純資産直入法」といいます。

決算日の仕訳処理は、翌期首に逆の仕訳をきり、決算日の仕訳の影響をないものとします。このような処理を「洗替処理(あらいがえしょり)」といいます。

ケース出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
時価 > 取得原価決算日の評価その他有価証券×××その他有価証券評価差額金×××
繰延税金負債×××
翌期首その他有価証券評価差額金×××その他有価証券×××
繰延税金負債×××
時価 < 取得原価決算日の評価その他有価証券評価差額金×××その他有価証券×××
繰延税金資産×××
翌期首その他有価証券×××その他有価証券評価差額金×××
繰延税金資産×××

※繰延税金資産と繰延税金負債について詳細は下記の記事を参照。

仕訳例

  • 1.A社はB社の株式1,000株を400万円で取得した。取得時に手数料10万円がかかった。代金は全額、翌月支払う。
  • ※B社の発行済株式数は1,800株である。
  • 2.A社はC社の株式300株を150万円で取得した。取得時に手数料3万円がかかった。代金は全額、当座預金より振り込んだ。
  • ※C社の発行済株式数は1,200株である。
  • 3.A社はD社の株式500株を200万円で取得した。取得時に手数料15万円がかかった。代金は全額、現金で支払った。
  • ※D社の発行済株式数は5,000株である。
  • ※D社の株式は長期的に保有する意図を持って購入した。
  • 4.D社から5万円の配当金領収証が送付されてきた。
  • 5.A社は決算日を迎えた。D社株式の時価は@4,500円である。
  • ※実行税率は30%とする。
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1子会社株式4,100,000未払金4,100,000
2関連会社株式1,530,000当座預金1,530,000
3その他有価証券2,150,000現金2,150,000
4現金50,000有価証券利息50,000
5その他有価証券100,000その他有価証券評価差額金70,000
繰延税金負債30,000

【解説】
ポイントは①保有目的の判断 ②その他有価証券の決算日評価

1.A社のB社株式の保有割合 = 1000株 ÷ 1,800株 = 55.5555...%
→50%を超える(50%超)ため、子会社株式

2.A社のC社株式の保有割合 = 300株 ÷ 1,200株 = 25%
→20%以上50%以下であるため、関連会社株式

3.A社のD社株式の保有割合 = 500株 ÷ 5,000株 = 10%
→子会社株式にも関連会社株式にも該当しない。

長期的に保有する意図を持って購入
→短期的な時価の変動による利益を得る目的である売買目的有価証券にも該当しない。

債券ではなく、株式→満期保有目的債券にも該当しない。

以上から、D社株式は売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社株式および関連会社株式のいずれにも該当しないので、その他有価証券になります。

5.時価評価額 1株当たり時価@4,500円 × 500株 = 2,250,000円
取得原価との差額 時価評価額2,250,000円 - 取得原価2,150,000 = 100,000円 (時価 > 取得原価)

繰延税金負債 100,000円 × 実効税率30% = 30,000円

その他有価証券評価差額金は貸借差額で計算。

その他
仕訳例1,2,3. 手数料など有価証券の取得に要した付随費用は取得原価に含めます。

仕訳例4. 配当金領収証は現金として取り扱います。

まとめ

今回は、子会社株式および関連会社株式、その他有価証券の取引と仕訳について解説しました。

有価証券の範囲だけでも覚えることが多いですが、過去問分析の結果、出題可能性は高いので、学習計画を立てて計画的、効果的、かつ効率的に学習しましょう(インプットとアウトプットのバランス、学習のタイミング、反復学習などがどんな学習にも共通するキーワードです)。

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