商業簿記入門その14~小口現金と仕訳処理、出納帳(3級)

更新日:2018年9月18日 公開日:2017年8月12日

小口現金と仕訳処理

前回、「商業簿記入門その13~当座借越の仕訳処理と当座預金出納帳(3級)」では当座借越と仕訳処理、および当座預金出納帳について解説しました。

今回は小口現金と仕訳処理や管理方法、及び小口現金出納帳について説明します。


小口現金とは

小口現金(こぐちげんきん)とは、切手、ハガキなど文房具の購入や経費精算など、日常的な会社活動で発生する少額の現金取引に利用するために、現金のうち、一般の現金とは区別して管理するような現金をいいます。

例えば、常に100万円の現金を金庫に施錠して管理している会社が存在するとします。

この会社では、100万円とは別に、日常的な少額の支払に利用するための現金を用意しています。

なぜならば、金庫の中の現金は、金庫のカギを財務部長が保管しているからです。

財務部長は会議や外出が多いため、頻繁に利用する現金取引には、金庫の中の現金を使用するのは効率的とはいえません。

そこで、日常的な少額の支払に利用するための現金を、担当者(用渡係「ようどがかり」といいます)に渡しておき、金庫の中の現金とは別に管理します。

こうしておけば、日常的な支払は管理部長がわざわざ金庫の中から現金を取り出す必要がなくなるわけです。

このように、日常的な支払に利用するための現金を、他の現金とは分けて管理して運用していく場合の、この現金のことを「小口現金」といいます。


定額資金前渡法(インプレストシステム)

定額資金前渡法(ていがくしきんまえわたしほう。別名「インプレストシステム」)とは、小口現金の管理手法の一つです。

1週間や1か月といった一定の間隔で、小口現金が定額となるように差額を補充する方法をいいます。

例えば、ある会社では小口現金を10万円と定めておき、1週間毎に金額を補充する管理手法を採用しているとします。

補充する場合の手続きは次の通りです。

まず、財務部が用渡係の支払報告を受けます。

そして財務部は受けた支払報告について、領収証や経費精算書などを確認し、問題がなければ小切手を振り出して用渡係に渡します。

このような管理にしておけば、上述の小口現金の説明と同様、わざわざ金庫の中から現金を取り出す必要がないため、金額の重要度に応じた現金管理を行うことができます。

小口現金の仕訳処理

一般の現金とは別に管理するため、簿記上でも現金勘定とは別に小口現金勘定(資産に属する勘定科目)で仕訳します。

仕訳例を示しましたのでご覧ください。

【設定】

  • (1)A社は定額資金前渡法(インプレストシステム)を採用している。
  • (2)小口現金は毎月末日に5万円となるよう補充している。
  • (3)用渡係は毎月末日に会計課まで支払報告を行う。
  • (4)支払報告を受けた会計課は、補充に際して小切手を振り出して用渡係に渡している。
  • ※伝票(仕訳)は支払報告を受けた時に、会計課が作成しているとする。

【取引と仕訳】
1.8月5日 切手1,000円を購入した。
2.8月12日 従業員の交通費2,500円を支払った。
3.8月18日 文房具を5,000円購入した(消耗品費として処理する)。
4.8月24日 会議用のお茶菓子2,000円を購入した(雑費として処理する)。
5.8月31日 会計課は用渡係から1~4の支払報告を受けたため、補充する金額だけの小切手を振り出して用渡係に渡した。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1仕訳なし
2仕訳なし
3仕訳なし
4仕訳なし
5通信費1,000小口現金10,500
旅費交通費2,500
消耗品費5,000
雑費2,000
小口現金10,500当座預金10,500

【解説】
商業簿記の小口現金の問題としてオーソドックスな例を挙げました。

問題の設定から、毎月末日に会計課へ支払報告が届きます。また、仕訳はこれも問題の設定から、会計課が行うため1から4の時点では仕訳はきりません。

5.で用渡係が会計課へ支払報告を行いました。従って、この時点で1~4の取引に関する仕訳をきっています。

1~4の取引では小口現金から支払われるため小口現金が減少します(小口現金を貸方に記入)。

1~4の取引に支払った総額は10,500円だったため、会計課は10,500円分の小切手を振り出して用渡係へ渡しました。

小切手を振り出した場合には当座預金を減少させるため、貸方に当座預金を記入。

また、同額の小口現金が増加したため、借方に小口現金勘定を記入しています。


小口現金出納帳

小口現金出納帳(こぐちげんきんすいとうちょう)とは、「商業簿記入門その7~帳簿(仕訳帳と総勘定元帳)と伝票(3級)」にて説明しました補助簿のうちの1つです。小口現金取引の詳細を1箇所に記録する場合に使用します。

補助簿を利用するメリットとデメリットについては現金出納帳と同じです。「商業簿記入門その10~現金出納帳の記帳方法(3級)」にて解説しています。

※帳簿組織や伝票制度については、「商業簿記入門その7~帳簿(仕訳帳と総勘定元帳)と伝票(3級)」にて解説しています。

小口現金出納帳の記帳例

小口現金出納帳と記帳について、例を示しましたのでご覧ください(上述の仕訳例と同じ取引を記入しています)。

受入平成29年摘要支払内訳
通信費旅費交通費消耗品費雑費
50,0008月1日前月繰越
8月5日切手代1,0001,000
8月12日交通費2,5002,500
8月18日文房具代5,0005,000
8月24日お茶菓子代2,0002,000
合計10,5001,0002,5005,0002,000
10,5008月31日小切手で補充
8月31日次月繰越50,000
60,50060,500
50,0009月1日前月繰越

小口現金出納帳には、小口現金の取引のみを記載します。内訳には、支払の勘定科目毎に記入します。

上述の仕訳では、支払報告を受けた時に仕訳を行っていましたが、小口現金出納帳では取引があった日付で記入します。

※簿記試験で出題された場合には、問題の指示に従ってください。

まとめ

今回は小口現金の仕訳処理と管理、及び小口現金出納帳について解説しました。出題可能性は高くはないですが、試験範囲ですので押さえておきましょう。


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