小口現金・インプレストシステムとは|概要と仕訳方法を解説

記事最終更新日:2023年7月31日
記事公開日:2017年8月12日

会社で運用される現金関係の手続きとして、「インプレストシステムによる小口現金」があります。

経理実務を学び始めた人には「なぜ現金と区別するのだろう?」と考えるかもしれません。

本記事では、小口現金とインプレストシステム(定額資金前渡法)について、「概要」や「現金と分けて管理する理由」を説明した後に、仕訳方法を解説します。

小口現金とは

小口現金」とは、切手、ハガキなど文房具の購入や経費精算など、日常的な会社活動で発生する少額の現金取引に利用するために、現金のうち、一般の現金とは区別して管理するような現金をいいます。

 

インプレストシステム(定額資金前渡法)とは

インプレストシステム」とは、「定額資金前渡法(ていがくしきんまえわたしほう」ともいい、小口現金の管理手法の一つです。1週間や1ヶ月といった一定の間隔で、小口現金が定額となるように差額を補充する方法をいいます。

一般的には、小口現金を採用する場合には、インプレストシステムも採用します。

会社が小口現金を活用する理由

取引金額の重要度(大きさ)に応じて適切に現金管理しながら、効率よく現金支出の手続きを進めるためです。

例えば、日常的に使用する金額は小金庫にしまって小口現金の担当者が管理し、それ以外の現金は、小切手や手形などとともに財務部長が大金庫で管理します。

このように現金管理することで、会議や重要事項などで忙しい部長に承認行為を得ることなく、日常的な現金支出の迅速な手続きが可能となり、さらに、会社にとって多額の現金は部長が管理しているため、現金管理の観点からも有効です。

インプレストシステムのメリット

小口現金の運用が楽になります。

会社が予め、「小口現金の設定金額」や「小口現金の補充時期」を定めてルール化しておくことで、担当者や上長がこれらの事項を毎回判断することなく、手続きを進められます。

小口現金の仕訳

小口現金(資産に属する勘定科目)」で仕訳します。

小口現金からの支出時には、小口現金の減少として「小口現金」を貸方記入するとともに、「通信費(切手代)」「消耗品費(事務用品)」「旅費交通費(電車・バス乗車料金)」などを借方に記入して費用計上します。

小口現金の補充時には、小口現金が増加するため、「小口現金」を借方に記入し、貸方には支出側となる「当座預金(小切手の振り出し)」「現金(現金金庫からの補充)」などを記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
小口現金からの支出費用の勘定科目×××小口現金×××
小口現金の補充小口現金×××当座預金・現金など×××

仕訳例

1.切手1,000円を小口現金から購入した。
2.会計担当は補充する金額だけの小切手を振り出して小口現金担当に渡した。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1通信費1,000小口現金1,000
2小口現金1,000当座預金1,000

仕訳問題(簿記3級)

PDCA会計の電子書籍に掲載の仕訳問題を全問お試しできます。

PDCA会計 無料アプリのご案内

・日商簿記の最新試験範囲に対応
・基本の仕訳問題150問を掲載(全問無料)
・シンプル画面&分かりやすい操作
・アプリ初心者も安心。プライバシーに配慮。課金なし。アカウント登録なし。
・Google Playの厳しい審査を通過

PDCA会計 電子書籍のご案内

日商簿記3級に準拠したスマホで読みやすいテキストと問題集。試験範囲の改定の都度、改訂版を発売しています。

簿記3級の記事

サイト内検索

著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

詳細はこちら↓
著者プロフィール

☆電子書籍の「0円キャンペーン」
日商簿記テキスト・問題集で実施中。X(旧twitter)で告知します。
「PDCA会計」をフォロー

簿記3級テキスト(PDCA会計の電子書籍)

関連記事