13-1 決算手続きの流れ

はじめに決算手続きの流れの概要を解説します。

※ここで全てを理解する必要はありません。

簿記手続き

「2-1 簿記の流れ」で解説した簿記手続きとは次の手続きでした。

ここまで解説してきた手続きは、上記のうち、「(1)取引の把握」「(2)仕訳の記入」「(3)勘定元帳の記入」「(4)補助元帳の記入」でした。

これらの簿記手続きを期首から期末(決算日)まで(1)から(4)を1年間繰り返します。

決算手続きとは

次に行うのが「(6)決算手続き」です。

決算手続き(けっさんてつづき)とは、これまでの簿記手続きで記入した仕訳や勘定元帳といった情報を集計して、貸借対照表や損益計算表といった「財務諸表」と呼ばれる決算書を作成するための手続きをいいます。

決算手続きの流れ

決算手続きには次の作業があります。

以上の作業が完了すると財務諸表の作成準備が整うため、簿記手続きの次の作業「(7)財務諸表の作成」を行います。

決算手続きの内容

1つずつ順番に解説します。

①決算整理前試算表の作成

試算表(しさんひょう)とは、決算時に財務諸表を作成する前の段階で、仕訳処理や総勘定元帳への転記など各取引の記帳の正確性を確認するとともに、各勘定科目を集計して全体を把握するために作成する表をいいます。

例として、試算表の種類のうち、借方合計・残高、貸方合計・残高を集計する「合計残高試算表」を示します。

合計残高試算表のサンプル

試算表は総勘定元帳の各勘定元帳から金額を転記することで作成します。

①の作業段階では「②決算整理次項等」で記帳する「決算整理仕訳」などの仕訳を反映する前の段階であるため、「決算整理前残高試算表」といいます。

②決算整理事項等

決算整理事項等(けっさんせいりじこうとう)とは、財務諸表を作成するために行う決算日に特別な事項などをいいます。

決算整理事項等は次の通り、分類できます。

(1)決算整理事項

「決算整理事項」とは、決算整理仕訳を行う事項をいいます。

決算整理仕訳(けっさんせいりしわけ)とは、財務諸表を作成するために行う決算日に特別な仕訳をいいます。

代表的な決算整理仕訳には、これまでに学習した「貸倒引当金の見積もり計上」「減価償却費の計上」「商品や貯蔵品の在庫計上」などがあります。

(2)未処理事項

未処理事項(みしょりじこう)」とは、期中取引のうち、仕訳処理していなかった事項(未処理の仕訳)をいいます。

(3)その他(仕訳の訂正)

その他、これまでに期首から期末までに作成した仕訳を確認していき、間違いがあれば「仕訳の訂正(訂正仕訳、ていせいしわけ)」を行います。

訂正仕訳は「修正仕訳(しゅうせいしわけ)」ともいいます。

③決算整理後試算表の作成

決算整理後試算表の形式は、①決算整理前試算表と同じです。

合計残高試算表の再掲

両者の違いは、

各勘定科目の借方・貸方の金額や残高

です。

つまり、決算整理「前」の合計残高試算表には決算整理事項等の仕訳による金額が含まれませんが、決算整理「後」の合計残高試算表には決算整理事項等の仕訳による金額が含まれます。

このように、決算整理事項等の仕訳を反映した総勘定元帳を転記して作成した合計残高試算表を「決算整理後残高試算表」といいます。

④決算振替と帳簿の締め切り

決算振替仕訳(けっさんふりかえしわけ)とは、決算時の作業のうち、帳簿の締め切りを行う方法のうちの1つをいい、勘定科目を締め切るための特別な勘定科目に残高の振り替えを行うことをいいます。

より具体的には損益計算書に関係する勘定科目、すなわち収益または費用に属する勘定科目の残高を損益勘定に振り替える手続きをいいます。

帳簿の締め切り(ちょうぼのしめきり)とは、当期の帳簿記入を完了させることをいいます。

より具体的には収益・費用に属する勘定科目の残高を損益勘定に振り替え、資産・負債・純資産に属する勘定科目の残高は次期に繰越す手続きをいいます。

⑤精算表の作成

精算表(せいさんひょう)とは、試算表の作成から決算書の作成までを勘定科目毎に一覧表にまとめた表をいいます。

決算書の数字の正確性の検証や全体の把握のために作成します。

精算表の種類のうち、8桁式の精算表を例として掲載します。

精算表のサンプル

以上で決算手続きは完了です。

次ページから各手続きについて詳細に解説していきます。

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