13-4 決算振替

決算整理後残高試算表の作成の次は、決算振替と帳簿の締め切りを行います。

ここでは決算振替を解説します。

決算振替とは

決算振替(けっさんふりかえ)とは、決算時の作業のうち、帳簿の締め切りを行う方法のうちの1つをいい、勘定科目を締め切るための特別な勘定科目に残高の振り替えを行うことをいいます。

決算振替のために行う仕訳を決算振替仕訳(けっさんふりかえしわけ)といいます。

英米式決算法

英米式決算法(えいべいしきけっさんほう)とは、次の方法で決算振替と帳簿の締め切りを行う方法をいいます。

日本の会社では、一般的に、決算手続きに際して英米式決算法を採用しています。

B/S勘定科目とは、貸借対照表上に表示する勘定科目をいい、資産または負債または純資産に属す勘定科目を意味しています。

同様にP/L勘定科目とは、損益計算書上に表示する勘定科目をいい、収益または費用に属す勘定科目を意味しています。

<補足>大陸式決算法
英米式決算法の他にも大陸式決算法が存在します(日商簿記3級の範囲外)。

決算振替仕訳(P/L科目)

上記の通り、売上や売上原価といったP/L勘定科目は決算振替仕訳を行います。

決算振替仕訳は、「損益(その他に属する勘定科目)」と「繰越利益剰余金(純資産に属する勘定科目)」)という勘定科目で仕訳します。

決算振替仕訳の手続きは次の通り。

1.損益勘定への振替

まず、収益の勘定科目と費用の勘定科目について、決算整理後残高試算表の残高を全て損益勘定に振り替えます。

(1)収益の勘定科目残高を損益勘定へ振り替え

収益の勘定科目は貸方残高です。従って、収益の勘定科目を借方に記入し、貸方には「損益」を記入することで、収益の勘定科目を損益勘定へ振り替えます。

例えば、決算整理後残高試算表上の売上残高が1千万円の場合、決算振替仕訳は次の通り。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
収益から損益勘定への振替売上10,000,000損益10,000,000

他の収益の勘定科目も同じく仕訳します。

(2)費用の勘定科目残高を損益勘定へ振り替え

費用の勘定科目は借方残高です。従って、費用の勘定科目を貸方に記入し、借方に「損益勘定」を記入することで、費用の勘定科目を損益勘定へ振り替えます。

例えば、決算整理後残高試算表上の売上原価残高(仕入勘定)が5百万円の場合、決算振替仕訳は次の通り。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
費用から損益勘定への振替損益5,000,000仕入5,000,000

他の費用の勘定科目も同じく仕訳します。

2.損益勘定から繰越利益剰余金勘定への振替

1.の手続きによって収益・費用に属する勘定科目の残高は、全て損益勘定に集計されたことになります。

損益勘定が貸方残高の場合には「費用 < 収益」、すなわち利益の発生を意味します。そこで損益勘定の残高について借方に「損益」、貸方に「繰越利益剰余金(純資産に属する勘定科目)」を記入して振替仕訳することで、繰越利益剰余金を増加させます。

損益勘定が借方残高の場合には「費用 > 収益」、すなわち損失の発生を意味します。そこで損益勘定の残高について借方に「繰越利益剰余金」、貸方に「損益」を記入して振替仕訳することで、繰越利益剰余金を減少させます。

例えば、損益勘定の借方合計が1千万円、貸方合計が1千7百万円、差し引きで残高が貸方に7百万円である場合、損益勘定から繰越利益剰余金勘定への振替仕訳は次の通り。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
損益勘定から
繰越利益剰余金勘定への振替
損益7,000,000繰越利益剰余金7,000,000

この結果、貸借対照表上の純資産は7百万円増加することになります。

決算振替仕訳(まとめ)

決算振替仕訳をまとめると次の通り。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
収益・費用から損益勘定への振替収益の勘定科目×××損益×××
損益×××費用の勘定科目×××
損益勘定から
繰越利益剰余金勘定への振替
収益 > 費用損益×××繰越利益剰余金×××
収益 < 費用繰越利益剰余金×××損益×××

取引の8要素の表

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