13-7 貸借対照表と損益計算書
精算表が完成し、これで決算手続きは全て終了しました。
次に財務諸表(貸借対照表と損益計算書)を作成します。
貸借対照表と損益計算書
貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう。略してB/S)とは、ある時点の企業の財政状態を表した表のことをいいます。
貸借対照表の要素には、資産・負債・純資産があります。
損益計算書(そんえきけいさんしょ。略してP/L)とは、ある期間の企業の経営成績を表した表のことをいいます。
損益計算書の要素には、収益と費用があります。
B/SとP/Lの作成
決算手続きで作成した「決算整理後の合計残高試算表」を基にして損益計算書を作成します。
貸借対照表と損益計算書の表形式
貸借対照表と損益計算書の表形式には、「勘定式(かんじょうしき)」と「報告式(ほうこくしき)」があります。
勘定式とは、Tフォームの表形式で、左側と右側に科目と金額を表示させる方法です。
報告式は、上から下に科目と金額を表示させる方法です。
※日商簿記3級では勘定式が出題されることから、以下、勘定式の貸借対照表と損益計算書について解説します。
勘定式の貸借対照表と損益計算書
下図は完成後の貸借対照表と損益計算書の一例です。
作り方
基本的には決算整理後合計残高試算表の金額を該当する科目にそのまま記入すれば完成します。
ただし、後述の通り、「科目名の変更」が必要となる科目があります。
記入完了後、B/SもP/Lも合計を計算して貸借が一致することを確認します。
表示科目
B/SとP/Lに掲載された科目名のことを表示科目(ひょうじかもく)といいます。
科目名の変更
ほとんどの表示科目は、勘定科目と同じ名称で記入すれば問題ありません。
しかし、次の科目は名称を変更して記入します。
B/S or P/L | 分類 | 勘定科目 | 表示科目 |
---|---|---|---|
貸借対照表 | 資産 | 繰越商品 | 商品 |
未収〇〇 | 未収収益 ※1 | ||
前払〇〇 | 前払費用 ※1 | ||
資産(控除科目) | 〇〇減価償却累計額 | 減価償却累計額 | |
負債 | 前受〇〇 | 前受収益 ※1 | |
未払〇〇 | 未払費用 ※1 | ||
損益計算書 | 収益 | 売上 | 売上高 |
費用 | 仕入 | 売上原価 |
- ※1:未収〇〇や前払〇〇のまま記入させる出題形式も考えられます。問題の指示や解答用紙上の空欄B/S、P/Lから推測します。
- ※2:その他の科目についても、問題の指示や解答用紙から推測して適切な科目を記入しましょう。
<ポイント:売上原価の表示>
- ・決算整理後合計残高試算表上の「仕入」は売上原価になります。
- ・これは、商品の棚卸と計上の決算整理仕訳(しーくり、くりしー)によって、仕入勘定に売上原価が集計されたためです。
- ・詳細は「8-1 3分法による商品売買取引の仕訳」を参照
貸倒引当金と減価償却累計額の記入
これらの科目は資産の控除科目(評価勘定)という性格を持っています。
貸倒引当金は、売掛金や受取手形といった債権の控除科目であり、減価償却累計額は固定資産の控除科目です。
具体的には対象となる資産科目の下に貸倒引当金や減価償却累計額を記入します。
まとめ
以上でB/SとP/Lの作成が完了し、決算手続きが終了します。
決算手続きは総合問題として出題されます。演習問題を行ってアウトプットを増やした方が早く覚えられますので、仕訳をある程度覚えた段階で総合問題に取り組むことをおすすめします。
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