13-2 試算表の作成
試算表とは
試算表(しさんひょう)とは、決算時の財務諸表を作成する前の段階で、仕訳処理や総勘定元帳への転記など各取引の記帳の正確性を確認するとともに、各勘定科目を集計して全体を把握するために作成される表をいいます。
試算表の目的
次の通り(覚える必要はありません)。
<ポイント:試算表の目的>
- ・仕訳帳(または伝票)や総勘定元帳への記帳の正確性を確認
- ・残高を集計した全ての勘定科目を一つの表にまとめることで全体を把握
試算表の種類
合計欄と残高欄があるかどうかで次の3種類があります。
<ポイント:試算表の種類>
- ・合計試算表:合計欄を掲載する試算表
- ・残高試算表:残高欄を掲載する試算表
- ・合計残高試算表:合計欄と残高欄の両方を掲載する試算表
ここでは、合計残高試算表を使って解説します。
決算整理前試算表と決算整理後試算表
決算整理事項等の仕訳を反映する前の試算表を決算整理前試算表、反映した後の試算表を決算整理後試算表といいます。
試算表の表形式はどちらも同じです。上の3種類のうち、どの試算表でも作成できます。
試算表の記入の仕方
簡単に言うと、「総勘定元帳から試算表への転記」を行います。期中に記帳した総勘定元帳を基にして合計残高試算表を作成します。
以下、期中取引から順番に説明します。
1.期中取引
期中には、日々の取引を次の流れで帳簿に記録しています。
<ポイント:簿記の手続き>
- 取引→仕訳帳(または伝票)→総勘定元帳
商品の仕入れと販売取引を例にすると次の通り。
(1)取引例
A社の当期(×3年4月1日~×4年3月31日)における期中取引
- 0.期首の繰越商品残高は、20万円である。
- 1.A社はB社より商品30万円を掛けで仕入れた。
- 2.A社はC社へ商品80万円(仕入額60万円)を掛けで販売した。
- 3.A社はD社より商品130万円を手形を振り出して仕入れた。
- 4.A社はE社へ商品120万円(仕入額80万円)を販売した。代金はE社振出の手形を受け取った。
(2)仕訳
No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
0 | 仕訳なし | |||
1 | 仕入 | 300,000 | 買掛金 | 300,000 |
2 | 売掛金 | 800,000 | 売上 | 800,000 |
3 | 仕入 | 1,300,000 | 支払手形 | 1,300,000 |
4 | 受取手形 | 1,200,000 | 売上 | 1,200,000 |
(3)総勘定元帳
例として3つの勘定元帳を示します。
このようにして記帳した総勘定元帳から、試算表を作成します。
2.決算日(試算表の作成)
売掛金の総勘定元帳を例にすると次の通り。
転記の手順
次の通り。
<ポイント:試算表の転記手順>
- ①総勘定元帳の借方合計と貸方合計を合計残高試算表の借方合計欄と貸方合計欄に記入
- ②合計残高試算表の借方合計と貸方合計を見て、両者の差額を多い側の残高欄に記入
- ③全ての勘定科目について①と②の作業を繰り返す。
- ④一番下の行に各欄の合計を記入
- ⑤合計欄と残高欄について借方と貸方の金額が一致していることを確認
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