13-5 帳簿の締め切り

続いて、帳簿の締め切りを解説します。

帳簿の締め切りとは

帳簿の締め切り(ちょうぼのしめきり)とは、決算時の作業のうち、帳簿記入を完了させることをいいます。

英米式決算法による帳簿の締め切り方

前回解説した英米式簿記法のポイントを再掲します。

上記の通り、B/S勘定科目とP/L勘定科目とで、帳簿の締め切り方が違います。

以下、P/L勘定科目とB/S勘定科目に分けて帳簿の締め切り方を解説します。

P/L勘定科目の帳簿締め切り

P/L勘定科目は決算振替仕訳を行う、と前回解説しました。

決算振替仕訳の仕訳帳から元帳(総勘定元帳)への転記例、および帳簿の締め切りを掲載します。

<取引例>
「売上が200万円。仕入勘定で計算した売上原価が160万円。差額で利益40万円が発生したので、再振替仕訳を行い繰越利益剰余金勘定を40万円増加させる。」

<決算振替仕訳)>

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1売上2,000,000損益2,000,000
2損益1,600,000仕入1,600,000
3損益400,000繰越利益剰余金400,000

<総勘定元帳>
期中の売上勘定と、決算整理・帳簿締切後の売上勘定・損益勘定・繰越利益剰余金勘定(Tフォーム)を示します。

P/L科目の帳簿締め切りの記入例

総勘定元帳のうち、売上勘定に注目。

期中では、借方合計と貸方合計が一致せず、貸方残高2百万円です。

しかし、決算振替仕訳を行い、貸方残高2百万円を損益勘定へ振り替えた結果、借方も貸方も合計は2百万円となり一致しました。

この貸借合計の一致を確認する行為が帳簿の締め切りです。貸借どちらにも合計2百万円を記入し、その下に2重線を引いています。

これが「P/L科目の帳簿の締め切り方」です。

勘定元帳の比較(帳簿締め切り後)

上図のうち、B/S勘定科目である繰越利益剰余金勘定の総勘定元帳には「前期繰越」「次期繰越」といった記載があります。

P/L科目である売上勘定や損益勘定の総勘定元帳には記載がありません。

これは、繰越利益剰余金勘定といったB/S勘定科目は決算振替仕訳を行わず、次に解説する「元帳上での帳簿締め切り」によって帳簿を締め切るからです。

そこで、次はB/S勘定科目の帳簿締め切りについて説明します。

B/S勘定科目の帳簿締め切り

上述の通り、P/L勘定科目は決算振替仕訳の後に帳簿締め切りを行いました。

これに対して、資産、負債、純資産といったB/S勘定科目については、追加の仕訳を行わず、元帳上で帳簿を締め切ります。

現金勘定の総勘定元帳の例を掲載します。

B/S科目の帳簿締め切りの記入例

<仕訳>

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳なし

P/L勘定科目と異なり帳簿締め切りの仕訳(決算振替仕訳)は行いません。

代わりに元帳上に「次期繰越」という文字を朱記(しゅき。赤文字で記載すること)して貸借それぞれの合計額の差額を記入します。この記帳によって貸借の残高を一致させます。

B/S勘定科目はP/L勘定科目と異なり、次期へ残高を引き継ぐ必要があります

P/L勘定科目は残高を全て損益勘定を経由して繰越利益剰余金勘定(純資産に属する勘定科目)へ全額を引き継ぎましたが、B/S勘定科目はそれぞれの勘定元帳が残高を次期に引き継ぎます。

そこで、元帳上には次期繰越とは反対側の貸借に「前期繰越」と記入して残高を引き継ぎます。

P/L科目の帳簿締め切り例の再掲

勘定元帳への記入について、帳簿締め切り以外のポイントは「2-4 勘定元帳と転記」を参照ください。

まとめ

以上の帳簿締め切りを全ての総勘定元帳で行い貸借一致を確認すれば、決算振替仕訳と帳簿の締め切りは完了です。

次は精算表を作成します。

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