13-6 精算表
精算表を解説します。
※精算表の作成は、損益計算書や貸借対照表と同じく、問題演習が最も効果的です。
まだ総合問題を解いていない人は、概要を理解する程度に読み、その後、問題演習で分からない点があればこの項で確認しましょう。
精算表とは
精算表(せいさんひょう)とは、試算表の作成から決算書の作成までを勘定科目毎に一覧表にまとめた表をいいます。
決算書の数字の正確性の検証や全体の把握のために作成します。
精算表の種類
精算表には、6桁式と8桁式の2種類が存在します。
6桁の精算表では、(残高)試算表、損益計算書、貸借対照表についてそれぞれ、借方と貸方の残高を表記します。
8桁の精算表では、6桁の精算表に決算整理(修正記入)を追加した表形式になっています。
8桁の精算表を作成することが一般的であることから、以下では8桁の精算表を例として作成方法を解説します。
精算表の作成方法
次の通り。
<精算表の作り方>
- (1)決算整理前の合計残高試算表の各残高を「残高試算表」欄に記入
- (2)決算整理仕訳について、「修正記入」欄に記入
- (3)「残高試算表」と「修正記入」の各欄のうち、収益と費用の勘定科目について損益計算書に記入し、借方合計と貸方合計の差額を計算して、当期純利益の金額を記入
- (4)「残高試算表」と「修正記入」の各欄のうち、資産、負債、純資産の勘定科目について貸借対照表に記入。また、損益計算書の当期純利益について、同額を貸借反対にして貸借対照表欄に記入
- (5)合計が貸借一致しているかどうか確認
その他のポイント
上述(2)の修正記入欄への記入について、残高試算表欄に記入のない勘定科目は、残高試算表欄の合計行(3,800,000円が記載された箇所)の下行に追加できます。上の例では、「貸倒引当金繰入」勘定が該当します。
「繰越商品」「貸倒引当金」「仕入」は既に勘定科目が存在します。従って、その勘定科目の行に決算整理仕訳を転記します。
詳細の解説
(3)と(4)について、詳細に解説します。
<(3)(4)損益計算書欄と貸借対照表欄の残高計算と記入の仕方>
- ・残高を記入します
- 例1:現金=残高試算表(借方)50,000を貸借対照表欄(借方)に記入
- 例2:繰越商品=残高試算表(借方)200,000 + 修正記入欄(借方)150,000 - 修正記入欄(貸方)200,000=150,000(借方)を貸借対照表(借方)に記入
- 例3:貸倒引当金=残高試算表0 + 修正記入欄(貸方) = 20,000(貸方)を貸借対照表欄(貸方)に記入
- 例4:仕入=残高試算表(借方)1,600,000 + 修正記入欄(借方)200,000 - 修正記入欄(貸方)150,000=1650,000(借方)を損益計算書(借方)に記入
全ての科目について残高計算と損益計算書・貸借対照表への記入が完了した後、当期純利益の計算と記入を行います。
<当期純利益の計算と記入(損益計算書欄)>
- (手順1) 損益計算書欄に記入した各科目の残高について、借方の合計金額と貸方の合計金額を計算
- → 借方合計は「費用の合計」、貸方合計は「収益の合計」
- (手順2) (手順1)で計算した借方合計と貸方合計から「貸方合計 - 借方合計」を計算
- → プラスであれば「当期純利益」、マイナスであれば「当期純損失」
- (手順3) 損益計算書欄の「当期純利益」の行に、(手順2)の「貸方合計 - 借方合計」を記入
- ■損益計算書欄の借方合計と貸方合計が一致するように記入
詳細に記載していますが、■の部分さえ覚えていれば正しく記入できます。
例えば、損益計算書欄(当期純利益記入前)の借方合計が80(費用合計)、貸方合計が100(収益合計)の場合には、100 - 80 = 20(当期純利益)を借方に記入します。
掲載した精算表では、貸方が売上のみ2,000,000円、借方合計は1,650,000 + 20,000 = 1,670,000円のため、「2,000,000円 - 1,670,000円 = 330,000円(当期純利益)」となり、借方に記入しています。
<当期純利益の計算と記入(貸借対照表欄)>
- 損益計算書欄の「当期純利益」の行に記入した残高を、貸借対照表欄の「当期純利益」の行に「貸借反対にして記入」
- ■「繰越利益剰余金」を表す
例えば、損益計算書欄の「当期純利益」の行には借方に記入した場合には、貸借対照表欄では貸方に記入します。
掲載の精算表では、損益計算書欄の借方330,000円を貸借対照表欄の貸方に記入しています。
<補足>損益計算書欄と貸借対照表欄への当期純利益の記入と仕訳
当期純利益の行の記入は決算振替仕訳に相当します(「13-4 決算振替」を参照)。
今回の精算表について決算振替仕訳を示すと次の通り。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
損益の振替 | 売上 | 2,000,000 | 損益 | 2,000,000 |
損益 | 1,670,000 | 仕入 | 1,650,000 | |
貸倒れ引当金繰入 | 20,000 | |||
損益から繰越利益剰余金への振替 | 損益 | 330,000 | 繰越利益剰余金 | 330,000 |
貸借対照表欄の当期純利益は、精算表上では損益計算書から数字を貸借反対にして数字を引き継ぐので当期純利益の行に記入しますが、本来は上記の振替仕訳の通り、当期純利益ではなく「繰越利益剰余金」です。
まとめ
以上、精算表を解説しました。
文章だと難しく感じるかもしれませんが、冒頭に記載した通り、問題演習を繰り返すと覚えられます。
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