2-4 勘定元帳と転記

仕訳を勘定元帳に記入する方法を解説します。

※簿記3級の本試験では、主に第2問で出題されます。

文章で覚えるよりも、問題集を使って問題を解いて覚える方が効果的です。概要を把握するために一度読み、問題を解いて分からなかったらば、この項で確認しましょう。

勘定元帳

勘定(かんじょう)」とは、勘定科目毎に取引の記録を行うために、集計・計算するための場所をいいます。「勘定元帳(かんじょうもとちょう)」ともいいます。

転記

転記(てんき)」とは、取引に基づいて記入した仕訳を、勘定元帳に記入することをいいます。

仕訳例と勘定元帳(Tフォーム)への転記

勘定元帳の書式がアルファベットのTに似ていることから、勘定元帳を「Tフォーム」ということがあります。

仕訳例と勘定元帳(Tフォーム)を使って解説します。

※それぞれの仕訳や勘定科目は後の章で解説していきます。

<仕訳例>

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
7月20日現金100,000普通預金100,000
7月22日備品50,000現金50,000
8月 6日貯蔵品420現金420
8月18日交通費15,000現金15,000
12月2日発送料5,000現金7,500
仮払金2,500

これらの仕訳を現金の勘定元帳(現金勘定)に転記した場合には次の通りになります。

<勘定元帳>

現金勘定の記入例

転記のしかた

(1)一番上に勘定科目名を記入する。
→勘定(Tフォーム)は、勘定科目毎に作成します。上の例は、現金勘定の記入例です。

(2)左側が借方、右側が貸方を表す。
(3)取引の日付と仕訳の相手方勘定科目、および金額を記入する。

→例えば、右側に「7/22 備品 50,000」という記載があります。これは、7月22日に、50,000円の備品を、現金で購入したことを意味します。上の仕訳のうち、

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
7月22日備品50,000現金50,000

に該当します。

この仕訳では現金が貸方のため、日付(7/22)と相手勘定科目(備品)と金額(50,000)をTフォームの右側(貸方)に記入します。

現金の支払いは、取引の8分類から、資産の減少は貸方に記入することが分かるので、Tフォームの右側に記入しています。

取引の8要素の表

ちなみに、このTフォームが現金ではなく、備品であった場合には、この取引は、

Tフォームの左側(借方)に「7/22 現金 50,000」

と記入することになります。なぜならば、備品という資産に属する勘定科目が、増加するからです。

(4)ある日付の一つの取引に、相手方勘定科目が複数存在する場合には、「諸口(しょくち)」と記入する。
→上記の例では12月2日の仕訳を見ると、

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
12月2日発送料5,000現金7,500
仮払金2,500

借方に発送料と仮払金という2つの勘定科目が記入されています。このように相手方勘定科目が複数存在する場合には、相手勘定科目を記入するのではなく、「諸口」と記入しておきます。

(5)最終的に左側と右側の合計は一致する。
(6)貸借差額は、不足している側に「次期繰越」など適当な名称を記入し、金額を含めて朱記する。
(7)空白の行が存在する場合には斜線を引く。

→月末や決算期末など、区切りのよい時期で勘定は締め切ります。締め切る場合には借方・貸方それぞれで合計を計算し、両者の差額は足りない側に「次期繰越(じきくりこし)」など適当な名称とともに、その差額を朱記(しゅき)します。

この次期繰越は残高を表します。

この例は現金勘定のため、次期繰越27,080円は現金残高を表します。

また、空白の行があれば斜線を引きます。この例では借方に空白行がありますので、斜線を引いておきます。

(8)最期の行に合計金額を借方・貸方ともに記入する。
(9)合計金額のすぐ上には合計線を記入する。
(10)合計金額のすぐ下には締切線を記入する。

→この例では合計金額は100,000円になります。また、記入した合計金額のすぐ上には合計線(一本線)を、すぐ下には締切線(二重線)を引きます。

転記のポイント(まとめ)

まとめると次の通り。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
7月20日現金100,000普通預金100,000
7月22日備品50,000現金50,000
8月 6日貯蔵品420現金420
8月18日交通費15,000現金15,000
12月2日発送料5,000現金7,500
仮払金2,500

現金勘定の再掲

勘定元帳の役割

日々の取引は、仕訳を見れば分かります。

しかし、月や決算期といったある期間に、各勘定科目毎にどの位の金額になったのかを把握することは仕訳だけでは簡単ではありません。

そこで、「勘定科目毎に記入して集計しておく場所があればいい」ということになります。

この場所が勘定元帳(Tフォーム)です。

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