商業簿記入門その107~連結会社間取引の仕訳処理(土地の売却と取得、配当金の配当と受け取り)(2級)

公開日:2018年4月30日

連結会社間取引の仕訳処理(土地の売却と取得、配当金の配当と受け取り)(2級)

前回、「商業簿記入門その106~連結会社間取引の考え方との仕訳処理(商品の販売と仕入れ)(2級)」では、連結会社間取引の考え方と、連結会社間取引のうち、商品販売と仕入れについて解説しました。

今回は連結会社間取引のうち、土地の売却と取得に関する取引、および配当金の配当と受け取りの連結修正仕訳について解説します。

※簿記2級の論点になります。

※連結会社間取引についての考え方や、連結会社間取引に関する連結修正仕訳の解き方については、「商業簿記入門その106~連結会社間取引の考え方との仕訳処理(商品の販売と仕入れ)(2級)」にて解説していますのでご参照ください。


連結会社間取引-土地の売却と取得に関する取引

例えば、親会社が外部の取引先より当期に1,000円で取得(代金は次期に支払い)した土地を、子会社に1,000円で売却(代金は次期に支払い)した場合を考えてみます。

1,000円で買って1,000円で売っているため、親会社では売却益は発生しません。

前回、「商業簿記入門その106~連結会社間取引の考え方との仕訳処理(商品の販売と仕入れ)(2級)」にて解説した方法で連結修正仕訳を考えていきます。

(解き方1)個別の親会社と子会社の仕訳と財務諸表を検討する

まずは親会社と子会社に分けて、今回の例について個別の仕訳と個別のB/S、P/Lを検討します。結果は次の通りになります。

連結会社間取引(土地の売却と取得)

(解き方2)あるべき連結財務諸表を検討する

次に、あるべき連結財務諸表を考えてみます。あるべきは、最初の親会社が外部の取引先より土地を購入した取引のみが反映されている連結財務諸表です。従って、次の通りになります。

あるべき連結財務諸表

(解き方3)連結修正仕訳を検討する

最後に連結修正仕訳を考えてみます。結果は下の図の通りになります。

連結修正仕訳

前回の商品の販売と仕入れの連結修正仕訳について解説を読んだ方は、今回の例が非常に易しく感じたと思います。


連結会社間取引-配当金の配当と受け取りに関する取引

次に、子会社が配当を行う場合の連結修正仕訳を考えてみます。

例えば、親会社が80%の株式を取得している子会社が、繰越利益剰余金より50の配当を行う場合を考えてみましょう。

配当時には未払で処理し、当期中に普通預金より配当金の全額を支払ったとします(親会社は現金で受け取ったとする)。

(解き方1)個別の親会社と子会社の仕訳と財務諸表を検討する

親会社と子会社に分けて、今回の例について個別の仕訳と個別のB/S、P/Lを検討します。

結果は次の通りになります。

連結会社間取引(配当金の配当と受け取り)

親会社は子会社の株式の80%を保有する株主であるため、「配当金50 × 80% = 40」が親会社に配当されます。

留意点としては、まず、個別の仕訳では「繰越利益剰余金」と記入していますが、連結の問題では、貸借対照表(B/S)の純資産の株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金で表示します。

繰越利益剰余金は利益剰余金に含まれるので、子会社のB/Sは利益剰余金で表示しています。

同様に、仕訳上では現金や普通預金としていますが、貸借対照表では現金及び預金として表示します。

(解き方2)あるべき連結財務諸表を検討する

次に、あるべき連結財務諸表を考えますが、今回の例では、まず結果から掲載します。結果は、次の通りになります。

あるべき連結財務諸表

まず、現金及び預金ですが、親会社と子会社の取引は内部取引ですので、連結財務諸表には反映させません。

一方で、非支配株主に支払う配当については反映させる必要があります。そこで、配当の支払い50のうち、非支配株主への支払い10( = 配当金50 × 非支配株主持分20% )は反映させる必要があるため、「現金及び預金 △10」を反映させます。

次に、連結B/Sの貸方「非支配株主 △10」を考えてみましょう。

配当とは、純資産(今回の例では利益剰余金)を減少させて、株主に金銭を還元させる行為です。したがって、子会社が配当すれば、子会社の利益剰余金が減少します。

一方で、連結財務諸表では、子会社の純資産のうち、親会社の持分は資本連結の連結修正仕訳によって、親会社が取得した子会社株式と相殺されてしまいますが、子会社の純資産のうち、非支配株主の持分は「非支配株主持分」として純資産に表示させます(「商業簿記入門その105~開始仕訳と資本連結(支配獲得後)の仕訳処理(2級)」にて解説していますので、ご参照ください)。

したがって、子会社が親会社に行った配当については連結B/S、連結P/Lに反映しませんが、非支配株主への配当については反映させる必要があります。そして、配当とは純資産の減少となる行為であり、連結B/Sの「非支配株主持分」とは、子会社の純資産に対する非支配株主の持分を表すことから、今回の配当によって、非支配株主持分は10減少することになります。

以上から、上の図の通りになります。


(解き方3)連結修正仕訳を検討する

最後に連結修正仕訳を考えてみます。結果は下の図の通りになります。

連結修正仕訳

あるべき連結財務諸表を検討する部分が少し難しく感じるでしょう。

まとめ

今回は連結会社間取引のうち、土地の売却と取得、および配当金の配当と受け取りに関する連結修正仕訳について解説しました。前回の商品販売と仕入れと同様に、個別の仕訳、B/S、P/Lとあるべき連結B/S、連結P/Lを図にして、その図から連結修正仕訳を考える、といったように図を使って問題を解くことをお勧めします。例えば今回の図をより簡略化したものを使って問題を解いてみましょう。


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